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プレゼン

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 俺の瞳が修君の瞳と交わった。

 今、何を言われた?

 理解するのに数秒かかった。

 言葉の意味が分かった瞬間、俺の全身が真っ赤に染まった。手しか見えないけど、体中熱いのできっとお尻まで赤いと思う。修君も同じくらい赤い。
 つまり、そういうことか。

「えっと」
「待って。言わないで」

 沈黙が気まずくて声を出したら止められた。待っても何も、こちらもまだ何を言うか決まってないくらいだけど。

「今はイエスでもノーでも耐えられない。とりあえず、俺の気持ちだけ知ってくれてたらいいから」
「わ、分かった」
「俺は梨央といられたら、それで十分だから」

 そう言って、修君がふんわり笑った。

 その破壊力ときたら。
 世界平和がやってきたのかと思った。

「でも、いつまでも待たせておくのも悪いよ。俺もちゃんと考えるから」

 急だったから、返事を今すぐしろと言われたらノーと言ってしまうかもしれない。それは嫌だと思う。しっかり、修君のことをどう思っているのか考えたい。

「じゃあ……撮影が終わったら、改めて告白させて」
「うん」

 撮影が終わったら、か。あと一か月も無いや。頑張ろう。撮影も、考えることも。
 お互い、というか修君が気まずいだろうし、今日のところは帰った方がいいかな。

「そろそろ帰るね」
「なんで」
「なんで?」

 びっくりしてオウム返ししちゃった。なんでって、だって。

「仕事午後なんだろ。まだいたらいいよ」
「あ、それなら」

 修君、心臓強強なのでは。唖然としていたら、修君が本棚から写真集とぬいぐるみを取って戻ってきた。

「どうせバレちゃったから、聞いてよ。俺の上渡梨央プレゼン」
「上渡梨央本人ですけど!?」
「誰かにプレゼンするの夢だったんだよ」
「聞いてる!?」

 結局全然聞いてくれなかった修君による俺をプレゼンする会が俺に開催された。一時間。一時間全部俺。二度と見ることはないと思っていた十年近く前の写真集ね。若いね。ぬいぐるみとか発売されてたんだ。記憶になかった。販促グッズ溜めてる部屋があるからそこに多分あるんだろう。

 二時間目に突入しようとしたところで、電話が着た。石野さん!

「ごめん。仕事がちょっと早まるから迎えに来るって」
「そっか、分かった。シャワー浴びていきなよ」

 残念そうにしながらも、すぐお風呂を促してくれる修君マジスパダリ。スマホを弄り出した画面がちらりと見える。あれ、なんか既視感。

「それ、しゅうりお特定班の人の?」
「うん。前に教えてくれたやつ」
「鍵になったのに」
「それ用のスマホ買ってアカウント作ったから」

 さらっと怖いこと言った。
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