デレがバレバレなツンデレ猫獣人に懐かれてます

キトー

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番外編

風邪【お年賀企画2025】

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「……おい、大丈夫かチビ」

「大丈夫じゃない……」

 年明けのめでたい日、俺は早々に熱を出して寝込んでいた。
 この世界は日本より雪が積もりやすく、ついつい珍しい光景にはしゃいで遊びすぎたのが原因だろう。
 ガキかお前はとアムールからは呆れられ、けれどなんだかんだアムールも一緒にはしゃいで遊んだんだ。
 なのになぜだか俺だが風邪を引いたのだった。なんでアムールはピンピンしてんだよ。解せん。
 どうやら俺の奇跡の力は怪我は治せても病気は治せないらしい。それとも俺自身が弱っているから力が出せないのか。どちらにしても役に立たないな。

「アムール、うつるから別の部屋に……」

「俺はチビほど軟じゃねーんだよ。ほれ、これ飲め」

「それ苦いやつ……」

「ったりめぇだろ、薬なんだからよ」

 いつも以上に俺に構うアムールの、そんな姿にふと思い出す。
 昔飼っていた愛猫の事だ。
 あの子も日頃はツンケンしてるくせに、弱ってる時はそっぽ向きながらもそばに居てくれたっけ。
 でも──

「──……へへ」

「なに笑って……うおっ!?」

 俺は笑いながら、ベッドから起き上がってアムールの胸に飛び込んだ。
 突然なのにふらつく事無く、あっさり受け止めてくれる大きな体。
 こんな大きな体で抱きしめてくれるのは、きっとアムールだけだろうから。

「……薬飲めってんだ」

「んー、後でー……」

「……たく」

 別の部屋に行けって言ってるのに聞かなのはアムールだ。
 だから、ちょっとだけ、今だけ、甘えたって良いだろう。
 文句を言いながらも、アムールは俺の髪をちょっと乱暴に撫でる。
 ついでにふさふさの尻尾も俺を包んでくれた。

「……いっつもこんぐらい甘えろっての……」

 アムールの甘いつぶやきを聞きながら、俺は眠りについた。
 熱が下がったとたんにベッドでもっと構い倒されるのは、後日の話だ。

おわり
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