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ここは。
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穏やかな月色の髪をした女の子が、目の前に立っていた。歳は、僕と同じくらいだろうか。
女の子は目を丸くして、僕に言う。
「びっ、くりした……
どっ……え?
今、どこから……」
「あのっ」
僕は立ち上がって尋ねた。
ぐずぐずしてはいられない。
一刻も早く、安全な場所を見つけ、隠れなくては。
逃げ石は、100%ではないけれど高い確率で、使用者が思い浮かべた場所へと運んでくれるという。
僕が望む場所は、一つしかなかった。
兄さんを裏切った後ろめたさで、何度も夢に見た。記憶に刻み込まれたその名前。
「この近くに、骨董屋はありませんか?」
『いや、そうか。その前に』
「ここって、中央都市ヨーシャーですよね?」
周りに目を走らせる。暗くなりかけているが、頭上には空、周りには建物。
ダンジョンの中でないことは確かだ。
「えっ、はい。そうですけど……」
『よかった……』
ひとまず胸を撫で下ろす。
「あの、骨董屋ってこのあたりにありますか?
確か、店の主人の名……えっ」
思わず言葉が止まった。
少女が折りたたんで抱えている立て看板。
古ぼけたそれに書かれている。
"古い物は何でもそろう ドースの骨董品店"
兄さんの声が、頭の中で反響する。
『本国の中央都市、ヨーシャーへ向かえ』
『役人の手を借りず、自分の足で行くんだ』
『骨董屋の主人ドースは、俺の古い知り合いだ。
絶対、力になってくれる』
『今は説明する時間がない。
向こうに行けば全部、ドースがお前の疑問に答えてくれるから』
『俺のこと、信じてるって言っただろ?』
『俺の言うことを信じてくれ。
頼む』
『お願いだ、××。
俺のことを信じてくれ……』
兄さん。
兄さんのこと、裏切ってごめんなさい。
でも、やっと来れた。
やっと来れたよ、タスラ兄さん……
「えっ……大丈夫ですか?」
僕は慌てて、目を擦り、鼻水を啜った。
「あ、すみません。
ここがドースの骨董品店、なんですね。
どうしても来たかったんです」
「はぁ」
月色の髪をした子は、困惑していた。というより、警戒しているようにも見える。
「いや……あっそうだ。主人のドースさん、いらっしゃいますか?」
「ドースに何か御用ですか?」
「僕の兄が、ドースさんの古い知り合いなんです。それで、ちょっとお話が……」
「古い知り合い……」
少女は僕をじっと見た。それから、何かに思い至った顔をした。
彼女はさっと首を振って周りを見た。暗くなり始めている通りに、人影はない。
そして彼女は顔を近づけていった。
「もしかして……ラグクラールの村の方ですか?」
「えっ」
僕は眉を顰めた。
確かにそうだ。でも、どうしてそのことがわかったのだろう。
この子のこと、信用してもいいのだろうか。
『ドースは俺の古い知り合いだ。
必ず力になってくれるから』
いや、信じよう。
兄さんは『ドースの骨董屋』にいけと言った。
だから大丈夫に違いない。
僕はもう、兄さんの言葉を疑ったりはしない。
「はい。ラグクラール民族の人間です。
ドースさんに会わせていただけませんか。
彼とお会いするよう、兄に……」
少女は最後まで聞かず、僕の手を捕まえた。
そして看板を入口の脇に立てかけ、僕を店の中へ引っ張り込んだ。
女の子は目を丸くして、僕に言う。
「びっ、くりした……
どっ……え?
今、どこから……」
「あのっ」
僕は立ち上がって尋ねた。
ぐずぐずしてはいられない。
一刻も早く、安全な場所を見つけ、隠れなくては。
逃げ石は、100%ではないけれど高い確率で、使用者が思い浮かべた場所へと運んでくれるという。
僕が望む場所は、一つしかなかった。
兄さんを裏切った後ろめたさで、何度も夢に見た。記憶に刻み込まれたその名前。
「この近くに、骨董屋はありませんか?」
『いや、そうか。その前に』
「ここって、中央都市ヨーシャーですよね?」
周りに目を走らせる。暗くなりかけているが、頭上には空、周りには建物。
ダンジョンの中でないことは確かだ。
「えっ、はい。そうですけど……」
『よかった……』
ひとまず胸を撫で下ろす。
「あの、骨董屋ってこのあたりにありますか?
確か、店の主人の名……えっ」
思わず言葉が止まった。
少女が折りたたんで抱えている立て看板。
古ぼけたそれに書かれている。
"古い物は何でもそろう ドースの骨董品店"
兄さんの声が、頭の中で反響する。
『本国の中央都市、ヨーシャーへ向かえ』
『役人の手を借りず、自分の足で行くんだ』
『骨董屋の主人ドースは、俺の古い知り合いだ。
絶対、力になってくれる』
『今は説明する時間がない。
向こうに行けば全部、ドースがお前の疑問に答えてくれるから』
『俺のこと、信じてるって言っただろ?』
『俺の言うことを信じてくれ。
頼む』
『お願いだ、××。
俺のことを信じてくれ……』
兄さん。
兄さんのこと、裏切ってごめんなさい。
でも、やっと来れた。
やっと来れたよ、タスラ兄さん……
「えっ……大丈夫ですか?」
僕は慌てて、目を擦り、鼻水を啜った。
「あ、すみません。
ここがドースの骨董品店、なんですね。
どうしても来たかったんです」
「はぁ」
月色の髪をした子は、困惑していた。というより、警戒しているようにも見える。
「いや……あっそうだ。主人のドースさん、いらっしゃいますか?」
「ドースに何か御用ですか?」
「僕の兄が、ドースさんの古い知り合いなんです。それで、ちょっとお話が……」
「古い知り合い……」
少女は僕をじっと見た。それから、何かに思い至った顔をした。
彼女はさっと首を振って周りを見た。暗くなり始めている通りに、人影はない。
そして彼女は顔を近づけていった。
「もしかして……ラグクラールの村の方ですか?」
「えっ」
僕は眉を顰めた。
確かにそうだ。でも、どうしてそのことがわかったのだろう。
この子のこと、信用してもいいのだろうか。
『ドースは俺の古い知り合いだ。
必ず力になってくれるから』
いや、信じよう。
兄さんは『ドースの骨董屋』にいけと言った。
だから大丈夫に違いない。
僕はもう、兄さんの言葉を疑ったりはしない。
「はい。ラグクラール民族の人間です。
ドースさんに会わせていただけませんか。
彼とお会いするよう、兄に……」
少女は最後まで聞かず、僕の手を捕まえた。
そして看板を入口の脇に立てかけ、僕を店の中へ引っ張り込んだ。
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