【完結】死ぬとレアアイテムを落とす『ドロップ奴隷』としてパーティーに帯同させられ都合よく何度も殺された俺は、『無痛スキル』を獲得し、覚醒する

Saida

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レアドロッパーの秘密

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「……どういうことですか?」とラコが、険しい表情のまま尋ねた。

「んん?」

ジルさんはきょとんとした目で、彼女の方を見る。

ドースさんが口を開いた。

「ラコ、これが彼女のスキルなんだ」

「えっ……」

驚いたラコを見て、ジルさんはぽんと手を打った。

「あぁ、そうか。ラコちゃんは知ってるんだと思ってた。じゃあ驚かせたね、ごめんね」

「あっ、すみません、こちらこそ」

ラコは耳を赤くして、慌てて謝った。

「ううん、謝らなくても大丈夫だよ。

そう。僕はね、鼻が良いんだ。

においを嗅ぐといろんなことが分かる。特に首のあたりのにおいを嗅ぐと、その人のことがよくわかるから」

「へぇ……」と僕は嘆息した。

そんなスキルがあるのか、ということと、女性のスキル持ちは初めてみたな、という驚き。


「悪いね、カウガ君。体の中を勝手に覗くような真似をして。

でもこうするのが一番手っ取り早いからさ。

君の話を聞いてすごく気になったんだ。

複数回蘇生できるほどのオーバーヒールを溜め込むなんて、理論上はわかるけど、実際にあり得るなんて……

自分の鼻で確かめてみて、びっくり! ほんとにあるんだね、そんなこと」

ジルさんがキラキラした目で僕を見た。


「えっと……他にはどんなことがわかるんですか? ジルさんがその、においを嗅いだら」

「そりゃあもう、いろんなことがわかるよ」

そう言って、ジルさんはウインクを寄こした。

「しかし今嗅いだ感じからすると、君はちょっと休んだ方がいいだろうね。

体力は問題なさそうだけど、見た目以上に精神の方がすり減っている。

それと、これは非常に言い辛いことなんだが……」

ジルさんが不安そうな顔をするので、僕は身構えた。

「水浴びをした方が良いだろうね……今の君の体はその……すごく香しいよ。

もちろん僕は嫌いじゃないよ! うん、嫌いじゃない」

フォローするみたいに、ジルさんははっきりと言った。

僕は顔が火照るのを感じた。

ドースさんが彼女の頭をぱんと叩いた。

「何馬鹿なこと言ってるんだ。

カウガ、気にしないでくれ。一言多い奴なんだ」

「はい! いえ……」


ドースさんは腕を組んだ。

「しかし……そうだな。

ダンジョンから帰ってきたことだし、体を流した方が気持ちがすっきりするかもしれないね。

水浴び場の使い方は、もう分かるかい?」

「あ、はい。大丈夫です」

地下にある水浴び場は、一度使わせてもらった。その時、ラコから使い方を教わったので、もう一人でも大丈夫だろう。

「そうか。タオルと着替えは後で持っていくから」

「すみません、ありがとうございます。じゃあ、使わせていただきます」

僕はドースさんに頭を下げ、店の奥へと向かった。



裏口の扉を開けると、周りの建物に囲まれた小さな庭がある。その端に蓋がされている箇所があり、それを上げると地下へとつながる石段が現れる。

まるでダンジョンで次の階層に進む時のようだが、その石段を降りた先にあるのは、地下の水浴び場だった。


水浴び場は、僕が割り当ててもらった部屋と同じくらいの大きさで、壁も地面も、黒い石で仕切られている。

そして正面の床には、人が寝転がれるような窪みがついている。これを浴槽として使うのだ。

僕は部屋の隅に置いてある箱を開ける。その中には赤く輝く石がごろごろと入っている。魔法石だ。

ラコに使い方を教わったので、戸惑うことはない。前回、彼女がこの魔法石を使ってくれた時には、10個ぐらい、まとめて浴槽に投げ入れていた。

さすがにそこまで大量に使うのは気兼ねする。

でも、ジルさんの気を遣うような表情を思い出して、僕はしっかりと体の汚れを落としたくて、5個、6個くらい大きめのものを掴んで、浴槽に投げ入れた。

パシッ、パシッ、と弾けるような音をたてて、魔法石から湯気が出始める。

そしてみるみるうちに、窪みの中にお湯が溜まっていった。


僕はそれを見ながら、ぼんやりと考え事をする。

『こんな贅沢な暮らし、学者に捕まっていた時には考えることもできなかった。

僕のことを匿うこと自体、リスクを伴う行為のはずなのに……

ドースさんとラコには、これから何とか恩を返していかなくちゃな』


浴槽に、ひざ下くらいまでのお湯がたまった。

置かれた桶を使って、その湯で体を流す。

湯の温かさは、空腹のときに食べるのと同じくらい、生きているという実感を僕に与えてくれた。

『無痛スキルが、皮膚感覚まで奪うものじゃなくてよかった』

妙なところで、僕はスキルの特性にありがたみを感じた。


『スキルと言えば……』

体を綺麗に洗いながし、浴槽に十分な湯がたまったところで、僕は浴槽に体をつけた。

「はぁ……」と思わずため息が漏れる。

『スキルと言えば……何だっけ。

ああそうだ。一つ目のスキル、レアドロッパーのことだ』


階層の主に倒されて『弁別するハンドアックス』をドロップしたとき、僕はあることに引っかかった。
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