【完結】死ぬとレアアイテムを落とす『ドロップ奴隷』としてパーティーに帯同させられ都合よく何度も殺された俺は、『無痛スキル』を獲得し、覚醒する

Saida

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作戦会議

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ドースの骨董品店、地下にある水浴び場。

僕は魔法石で湯をためた浴槽の中に浸かり、一つ目のスキル、レアドロッパーについて考えていた。

『弁別するハンドアックス』がドロップしたとき、僕が気になったこと。


『スキルで出てくるアイテムは完全にランダムだと思っていた。

たしか学者のザン=ダールアンも、そんなことを言っていた気がする。

だからこそ、僕のことをひたすら痛めつけて、次々にアイテムを出すのだと。

でもおそらく、それは間違った知識なんじゃないか?』


もくもくと上がる湯気で白くなる浴室を見ながら、考えを巡らせる。


『ランダムにしては、出てくるアイテムが状況にマッチし過ぎている。

ゴダスたちのパーティーと対決することを考えていた時には、それに必要なアイテムばかりが出てきた。

もし完全にランダムなのだとすれば、戦闘に関係ないものが出現したり、同じアイテムが二度出てきたりしてもおかしくはないはずなのに。

それだけならまだしも、階層の主にやられた時なんて、まさにあの瞬間に喉から手が出るほど望んだ付与効果を持つアイテムが出てきた。

ドラゴンに化けていた魔物に対して、変身を暴く付与効果のアイテムだなんて。

ドロップするアイテムに、僕の意志や願望が反映されているとしか思えない』


「カウガ、聞こえるー?」

突然、ラコの声がした。

僕はびっくりして、浴槽から体を起こした。

「うん、聞こえるよっ」

「着替えとタオル、階段の上に置いておくからねー」

「あ、ありがとう!」

「ゆっくり浸かってもいいけど、浴槽の中で寝ないようにねー」

「うん、気をつけるよ」

蓋が閉まる音が微かに聞こえた。

『体も十分に洗えたし、あと少し温まったら上ろう』

僕は考え事をやめて、改めてお湯の温かさを味わった。



「おかえり、カウガ。すまないね、私の服で」と着替えを貸してくれたドースさんが言った。

三人とも、まだテーブルを囲んで座っていた。

「とんでもないです。着替えを用意してくださるだけで、すごく助かります……」

「いやいや。何も遠慮する必要はないよ」

ドースさんの心遣いは、いつも温かい。

「気分は落ち着いたかい?」

「はい、とても」

「そうか、それはよかった」

ドースさんは、穏やかに微笑んだ。

「じゃあもう遅いから、二階で寝てしまいなさい。

明日になったら、また今後のことについて話そう」

「わかりました。ありがとうございます」

「うん。今日はよく頑張ったな」

ドースさんは立ち上がり、僕の肩に手を置いた。

本当の親子みたいだと、幸せを感じた。


「じゃあ、また明日だね、カウガ君。

今日はゆっくり休んでね」とジルさんが言った。

「すみません、お会いできたばかりだというのに」と、ジルさんに謝る。

「とんでもないよ。僕もしばらくこの店でお世話になるつもりだ。

君の今後について、どんな手助けができるか、また明日、話し合おうじゃないか」

「はい、よろしくお願いします」

ジルさんはうんうんと頷いて、紅茶を啜った。


「ラコももう二階へ上がりなさい」とドースさんに言われ、

ラコは「うん」と立ち上がった。

「それじゃあ、また明日」

「また明日」

僕はラコに続いて、二階の自室に戻った。


「何かあったら、隣の部屋にいるから。もし寝てても、遠慮せずに起こしていいからね」

「うん、ありがとうラコ。

それじゃあ、また明日」

「うん」

僕はそう言って、部屋に入った。


ベッドに体を預けると、すぐに眠気が押し寄せてくる。

ダンジョンから戻ってきた直後は興奮がおさまらないと思っていたけれど、三人に話を聞いてもらったり、お湯で体を流したりしているうちに、だいぶ気分が落ち着いてきた。


『これから、か……』

僕は自分の生活がどうなるのだろうと思った。

どんなに穏やかな生活を送りたいと思っても、僕は国の管理を逸脱した脱走者で、きっと今もあの男が、血眼で僕を探している……

しかしそんな悪い想像もこみ上げてきた眠気には勝てず、僕はすぐに、意識を失ってしまった。



「ああ、起きたんだ。おはよう、カウガ」

「おはよう、ラコ」

次の日、僕が起きたときには、もうすっかり外が明るくなっていた。

疲れていたとは言え、こんなに寝過ごすなんて思いもしなかった。


ラコに聞くと、既にドースさんは仕事に出掛けてしまったらしい。

「町の広場で骨董市を開くの。私は店番ね」

「そうなんだ」

家主が朝から働いているといるというのに、呑気に眠っていたことを僕は申し訳なく思った。

「朝ごはん、食べるでしょう?」

「いいかな」

「もちろん。待ってて、すぐに準備するから」

「ありがとう」

ラコはそう言って、キッチンへと向かった。

ソファに腰を下ろす。

ラコが支度してくれている間、国が発行している新聞があれば目を通したいと思った。

何か自分に関する情報が出ていないかと思ったからだ。あるいはザンや、あのパーティー、『ゴダスの斧』について。

昨日の朝、ドースさんは朝食の時に新聞を読んでいた。

だからどこかにあると思ったけれど、テーブルの上にもソファの周りにも、それらしきものは見当たらなかった。

『まぁいいや』

ふぅ、と僕はソファにもたれかかった。

『やっぱりこのソファ、柔らかいなぁ……』

自然と瞼が下りてきて、体の中に残っていた眠気で、意識がとろとろに溶ける。


「ちょっと!」

ラコの悲鳴にも似た声。

僕はぱっと目を開けた。

「わっ!」

すぐ横に、ジルさんの顔があった。

「良かった。カウガ君、しっかり休めたみたいだね。

おはよう、二人とも」

ジルさんは僕の向かいに座った。

ラコが、僕の前に運んできた朝食を並べる。

パンにベーコンに卵、そして紅茶。

「ラコちゃん、僕も同じものをもらってもいいかな?」

「少々お待ちください」

心なしか、ラコの返事が尖って聞こえた。ジルさんのマイペースな感じが、ちょっと嫌だったのかもしれない。

そんなことを思いながら、僕は朝食を用意してくれたラコに、

「ありがとう、いただきます」と伝えた。

ラコはじろっと僕の顔を見て、

「どうぞ、召し上がれ」と、ジルさんに対するものと同じくらい、冷ややかな声で返事をした。

うーん。

ジルさんじゃなくて、僕の方が機嫌を損ねた原因なのかもしれない……

キッチンへ向かうラコの背中を見ながら、不安になった。

『何か、怒らせるようなこと、したっけ……?』

その考え事は、ジルさんの明るい声に打ち消された。

「さぁカウガ君。早速だけれどね、作戦会議を始めようじゃないか」

ジルさんは特にラコの様子を気にする風もなく、僕にそう言った。

「えっ? 何の作戦会議ですか?」

「決まっているでしょう。

今日のダンジョン探索に向けてだよ」
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