2 / 87
大好きな婚約者
しおりを挟むサラはガーヴィンの事が幼い頃から好きだった。幼馴染としても、そして異性としても。
王都の屋敷は隣同士。互いの家は伯爵家。中立同士仲良しこよしな二つの家は、ガーヴィンは嫡男、サラはその婚約者となる事が生まれて早々決まった。両親同士のお茶会の席で。
「ガーヴィンちゃん、本当に天使みたいね~!なんて可愛いのかしら?あ~、ほっぺたがふわふわ~おめめくりくり~。どんな貴公子になるのかしら…。」
「やだありがとう~。
サラちゃんも女神のようよ…。今からこんなにオーラって出るものなの?オリヴィエにそっくりな顔立ちとアル様の色合いだなんて。将来美人間違いなしじゃない?…取り合いになるわね?」
「そう思う…?」
「思うわ(真顔)。」
「どうする?婚約しとく?」
「…しときましょう!」
「「……(わあ、勝手に決めてる~。いいけど…)。」」
当時、既に尻に敷かれていた夫'sは微笑んだまま置いてけぼりになったけれど、母親達の団結力は強く、そのまま婚約の運びとなった。
手広く国内外で商会を営んでいるサラの実家ウィントマン伯爵家と、広大な領地を持ち季節ごとに多種多様な農産物を生産しているガーヴィンの実家ランマイヤー伯爵家は、商売面でも実際に大いに利益を生む結び付きだった。
余談だがこの後、サラの家には弟が産まれ、ガーヴィンの家には妹が産まれたので母親達は同じ会話を二度している。(どんだけ仲良しやねん)
まあ、そんな事は子供だったサラには全く関係なく。普通に全力でガーヴィンが好きだった。
ガーヴィンはぽやぽやとした初羽のような、柔らかな白金髪に、澄んでいて明るい空色の瞳という大変可愛らしい、少女のような中性的な顔をしていた。正直、サラは自分よりも彼が百倍くらい可愛いと思っていた。
そしてきその静かで優しい性質が。そして、柔らかな笑顔が、サラの鼓動をとくとくと急がせるようになったのは、何時の頃からだったのかもう覚えていない。
何時も優しいガーヴィン。
後ろをついてきてくれるガヴィン。
時々後ろ頭に可愛い寝癖が付いているガーヴィン。
おやつをわけっこしてくれようとするガーヴィン。
なんか足元が覚束無くて、すぐ転んで泣いちゃうガーヴィン。
どのガーヴィンも、サラはとても好ましく思っていた。
486
あなたにおすすめの小説
私のことはお気になさらず
みおな
恋愛
侯爵令嬢のティアは、婚約者である公爵家の嫡男ケレスが幼馴染である伯爵令嬢と今日も仲睦まじくしているのを見て決意した。
そんなに彼女が好きなのなら、お二人が婚約すればよろしいのよ。
私のことはお気になさらず。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
嘘つきな唇〜もう貴方のことは必要ありません〜
みおな
恋愛
伯爵令嬢のジュエルは、王太子であるシリウスから求婚され、王太子妃になるべく日々努力していた。
そんなある日、ジュエルはシリウスが一人の女性と抱き合っているのを見てしまう。
その日以来、何度も何度も彼女との逢瀬を重ねるシリウス。
そんなに彼女が好きなのなら、彼女を王太子妃にすれば良い。
ジュエルが何度そう言っても、シリウスは「彼女は友人だよ」と繰り返すばかり。
堂々と嘘をつくシリウスにジュエルは・・・
あなたなんて大嫌い
みおな
恋愛
私の婚約者の侯爵子息は、義妹のことばかり優先して、私はいつも我慢ばかり強いられていました。
そんなある日、彼が幼馴染だと言い張る伯爵令嬢を抱きしめて愛を囁いているのを聞いてしまいます。
そうですか。
私の婚約者は、私以外の人ばかりが大切なのですね。
私はあなたのお財布ではありません。
あなたなんて大嫌い。
許婚と親友は両片思いだったので2人の仲を取り持つことにしました
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<2人の仲を応援するので、どうか私を嫌わないでください>
私には子供のころから決められた許嫁がいた。ある日、久しぶりに再会した親友を紹介した私は次第に2人がお互いを好きになっていく様子に気が付いた。どちらも私にとっては大切な存在。2人から邪魔者と思われ、嫌われたくはないので、私は全力で許嫁と親友の仲を取り持つ事を心に決めた。すると彼の評判が悪くなっていき、それまで冷たかった彼の態度が軟化してきて話は意外な展開に・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
幼馴染と仲良くし過ぎている婚約者とは婚約破棄したい!
ルイス
恋愛
ダイダロス王国の侯爵令嬢であるエレナは、リグリット公爵令息と婚約をしていた。
同じ18歳ということで話も合い、仲睦まじいカップルだったが……。
そこに現れたリグリットの幼馴染の伯爵令嬢の存在。リグリットは幼馴染を優先し始める。
あまりにも度が過ぎるので、エレナは不満を口にするが……リグリットは今までの優しい彼からは豹変し、権力にものを言わせ、エレナを束縛し始めた。
「婚約破棄なんてしたら、どうなるか分かっているな?」
その時、エレナは分かってしまったのだ。リグリットは自分の侯爵令嬢の地位だけにしか興味がないことを……。
そんな彼女の前に現れたのは、幼馴染のヨハン王子殿下だった。エレナの状況を理解し、ヨハンは動いてくれることを約束してくれる。
正式な婚約破棄の申し出をするエレナに対し、激怒するリグリットだったが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる