【完結】ただ好きと言ってくれたなら

須木 水夏

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大好きな婚約者

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 サラはガーヴィンの事が幼い頃から好きだった。幼馴染としても、そして異性としても。



 王都の屋敷は隣同士。互いの家は伯爵家。中立同士仲良しこよしな二つの家は、ガーヴィンは嫡男、サラはその婚約者となる事が生まれて早々決まった。両親同士のお茶会の席で。



「ガーヴィンちゃん、本当に天使みたいね~!なんて可愛いのかしら?あ~、ほっぺたがふわふわ~おめめくりくり~。どんな貴公子になるのかしら…。」

「やだありがとう~。
サラちゃんも女神のようよ…。今からこんなにオーラって出るものなの?オリヴィエにそっくりな顔立ちとアル様の色合いだなんて。将来美人間違いなしじゃない?…取り合いになるわね?」

「そう思う…?」

「思うわ(真顔)。」

「どうする?婚約しとく?」

「…しときましょう!」

「「……(わあ、勝手に決めてる~。いいけど…)。」」

 


 当時、既に尻に敷かれていた夫'sは微笑んだまま置いてけぼりになったけれど、母親達の団結力は強く、そのまま婚約の運びとなった。
 手広く国内外で商会を営んでいるサラの実家ウィントマン伯爵家と、広大な領地を持ち季節ごとに多種多様な農産物を生産しているガーヴィンの実家ランマイヤー伯爵家は、商売面でも実際に大いに利益を生む結び付きだった。

 余談だがこの後、サラの家には弟が産まれ、ガーヴィンの家には妹が産まれたので母親達は同じ会話を二度している。(どんだけ仲良しやねん)









 まあ、そんな事は子供だったサラには全く関係なく。普通に全力でガーヴィンが好きだった。

 ガーヴィンはぽやぽやとした初羽のような、柔らかな白金髪に、澄んでいて明るい空色の瞳という大変可愛らしい、少女のような中性的な顔をしていた。正直、サラは自分よりも彼が百倍くらい可愛いと思っていた。

 そしてきその静かで優しい性質が。そして、柔らかな笑顔が、サラの鼓動をとくとくと急がせるようになったのは、何時の頃からだったのかもう覚えていない。



 何時も優しいガーヴィン。

 後ろをついてきてくれるガヴィン。

 時々後ろ頭に可愛い寝癖が付いているガーヴィン。

 おやつをわけっこしてくれようとするガーヴィン。

 なんか足元が覚束無くて、すぐ転んで泣いちゃうガーヴィン。




 どのガーヴィンも、サラはとても好ましく思っていた。


















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