【完結】ただ好きと言ってくれたなら

須木 水夏

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彼女はお姫様(仮)

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 ローゼマリア王女は、この国のお姫様である。現王の様の産んだお子、歳は今年で十八歳だ。

 妾様は、公式の場には殆ど顔を出すことはないが、鮮やかな深紅の髪色をしていて目鼻立ちの整った大層美しい方であると父から聞いていたサラは知っていた。

 妾様…男爵令嬢であったアマルナ様は、学生時代に現王であるウルク陛下と学園で出会い、それはそれは熱い恋をされたのだとか。


 けれど、ウルク陛下には婚約者である隣国の王女メーリア様が正妃となられることがとうの昔より決まっていた。隣国との関係を強固なものにしたい両国の思惑溢れる、違える事を許されない誓約結婚であった。


(嫁いで来る前からそんな恋人ひとがいるなんて聞いてたら、王女様だって面白くは無かった筈だわ。
 まあ、隣国もこの国も王族は一夫多妻制ではあるから状況的には問題は無いのだろうけど。問題点は王がアマルナ様を妃に望まれた事よね。)




 アマルナ様のご実家の男爵家で、所謂成金の新興貴族である。そもそも王族に嫁ぐ事は出来ない。
 隣国の王女が嫁いた後は、もしも一年以内に子が出来なかった場合に既に側妃となる予定の者達も五名も決まっていた。
 上から順に、公爵家(一名)、侯爵家(一名)、伯爵家(三名)の娘達である。抑が望まれたところで新興貴族の入る余地などない状況だった。
(正妃に第一子ができた後、彼女達はそのまま即妃となるか他で結婚するかを選択することができた。今では皆が側妃になる事を求めず他所に嫁いでいる。ちなみに、マルベリア様のお母様(公爵令嬢)、エミリア様のお母様(侯爵令嬢)、ガーヴィン、そしてサラの母達(それぞれ伯爵令嬢)も当時は候補者の内の一人だった。)


 特権階級と由緒正しい血統を重んじる四大公爵家を筆頭に、男爵家の娘との婚姻を大反対をされた陛下は当時、アマルナ様と婚事は許されなかった。またそれを覆せる程の想いも力も無かった様子。粛々と受け入れ、そして正妃様を迎え入れられたのである。

 正妃であるメーリア様を娶った後、王子が四人、姫が二人産まれた。その後になって漸くアマルナ様を妾とする事を許されたのだ。

 ちなみに現在王位継承権のある王太子フレデリック殿下は二十一歳。末の第二王女は八歳である。

 ちなみに第二王子のマクベス殿下は、ローゼマリア様と同い歳である。


 あっれれ~?おっかしいな~?

 そうなのだ。

 ウルク陛下はアマルナ様を妃にする事は出来なかったものの、彼女を後宮に囲い、妊娠と出産を許可されたのだ。勿論、産まれてくる子の王位継承権を剥奪する事を正妃に誓約した上で。

 認知はされているものの、王位継承権の外側にいる娘の為、は姫なのである。現王のこの話は民の中では面白可笑しく語伝えられている。無論、真似はするなという方の意味で。
 


 陛下の髪の色は、眩しいほどのド金髪。妾様の髪の色といい感じに混ぜたら、ああいう色になるんじゃないかなあと、サラは心の芯が冷えていくのを冷静に感じながら思った。
 


 てかなんで、人の婚約者と腕を組んでるんだ?!







 
 
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