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正直に話して欲しかったり
しおりを挟む「誤魔化されている?どういう事かしら?
というか、サラはそもそもローゼマリアさんが貴方の婚約者にちょっかいを掛けていると、どうして分かったのです?貴女も諜報部員を持っているの?」
「真逆ですよ!それがですねー…。」
かくかく、しかじか。こんな事があったのです、とサラが植物園で彼らを見た日から翌週に学園で顔を合わせた時のことまで順を追って話すと、二人は顔を見合せた。
「元々約束の入っていた日にそんなものを見てしまうなんてサラさん、不運でしたわね。」
「この場合、婚約者様も不運ね。折角断りの手紙まで出したのにバレてしまうなんて。」
「ツメが甘いのではないかしら?あら、ハーヴェイ殿下の側近候補予定でいらっしゃるのに…。」
「そしてその日の予定を聞いたら誤魔化された、と。」
「…ツメが甘いとかは置いといて、まあ、そうなのです。」
ふぅむ、とマルベリアは頬に手を当てて首を傾げた。
「成程ねえ…。決定的な何かがある訳でもないしそれは本人に聞いてみない事には何ともね。
それにしても、王城内でしか本当に外出を認められていないのね、あの女は。」
「…『植物園』って王城内って言えます?」
「城の敷地内にあるからセーフなんじゃないかしら?一般市民の目に留まるところへ出してしまってるのは完全にアウトだと思うけれど。」
ですよねえ。というか、攫われでもしたらどうするのだろうか?王族の力を使えない王族の子どもなんて使えもしないと放置されているの?サラは疑問に思ったが案外見えないところに護衛がいるのかもしれない、と考え直した。
「それで?婚約者様は浮気をしているような感じでしたの?」
「…それが正直、その時のガーヴィンは喜んでいると言うよりもかなり顔が引き攣っていたので、無理やり連れてこられたのではないかと思っているのですが。…問題は、正直に話をしてくれていない所にありまして。」
「あら?」
「ハーヴェイ殿下に呼ばれて城に行った、という言葉しか聞いていないので、そこは正直に話して欲しかったなと。なんかモヤモヤするな、と。」
「うふふ、可愛い。」
(可愛い?)
にこにことこちらを見つめながら微笑むエミリアに戸惑うサラに、マルベリアは薔薇色の頬に右手を添えながら言った。
「その内容は合っているのではなくて?呼ばれて行ってみたら絡まれた、だと思うわ。
ちなみに植物園で貴女の婚約者とあの女が会っていたのは、それが初めてではないわ。二回目よ。間者が言っていたわ。」
「二回目?!」
約束を反故にされたのは一度しか無かったから、一度だけだと思っていたサラのショックは大きい。
「一度目は城の中を歩いている貴女の婚約者に近づき、偶然を装って体当たりをしていたらしいわよ。ハーヴェイ殿下は護りが固くて関われないから、強硬手段へと出たのね。」
「体当たり…。」
「正直に話さないのは、サラに誤解をして欲しくないからでは?貴女が実はこの前、貴方と彼女を植物園で見たのよとでも問い質せば、直ぐにでも教えてくれるのではないかしら?」
「…そう、でしょうか?」
「そうよ。」
「そうですわね。」
二人に背中を押されるような形で、サラは次のガーヴィンとのお茶会にて話を聞いてみる事に決めたのだった。
そして、茶会当日を迎えたのだが。
「…嘘でしょ…?」
サラの手元にあったのはまたしても「本日行けなくなりました」の謝罪の手紙だった。
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