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双子の魔女
封印の森
しおりを挟む彼らが去り、まだ後ろ手に縛りあげられたまま少女達が土の地面の上で芋虫のように蠢いていた時。
彼女達の近くの草むらががさり、と揺れた。
「…これはこれは、小さな娘さん達。」
そこに現れたのは、背の高い騎士だった。中年の、それほど歳をとってはいないように見える。厚みのある屈強な身体に身付けているものはしかしどれも草臥れ古びていて、奇妙に感じた。
しかも、その防具はこの国の兵士のつけるものでは無い事にクローディアは違和感を覚えた。そう言えば、先程かけられた言葉にも母国語にはない訛りがあった。何処の国のものなのかは分からなかったけれど。
「だれっ?!それ以上、来ないで…!」
近づいてくる足音に、猿轡の外れたシローネが怯えて『言霊』がのった悲鳴をあげた。いつもであれば、シローネが命じれば止まるはずだった。
「可哀想に。こんな幼い子どもに何でこんなことをするんだ、やつらは。」
そう言って男はシローネとクローディアの縄に手をかけた。
(言うことを聞かない…?)
驚いて固まる少女たちを尻目に、黒い皮の手袋に包まれた大きな手は意外にも器用に、硬く縛られていたその結び目を解いた。
双子は殴られ、蹴り飛ばされた頭や顔の傷痕があちこちズキズキと脈打っていた。ドレスも馬に縛られての移動によってあちこちが裂け、そして汚れていて。後ろ手に縛られた手首にもはっきりと縄の跡が残っていて、痛々しい姿この上なかった。
その男に助けられはしたものの、クローディアとシローネはきつく抱き合い、身を寄せて目の前の男を震えながら睨みつけた。
「貴族のお嬢さんかい?」
「…いいえ。私たちは孤児です。」
「孤児?そんな風には見えないが…。孤児が、なんの理由でまたこんなところに?」
何故?と聞かれた。貴方こそ、何故こんな所にいるのだ。少女達はそう聞きたかったが、声が出なかった。男の後ろに大きな影のようなものがゆらり、と現れたからだ。
【補足】
※アレクセイの生まれる50年ほど前に、城から繋がった地下道が作られました。なので、双子の生きていたリアルタイム時には、まだ馬を使い執行人達が森まで罪人を運んできていました。
そもそも、馬の身体に足を縛り付け、地面に身体を引き摺らせながら森まで進んでいくので、大抵の罪人は道行く半ばで命を落としていました。双子はまだ幼い子どもであったのと、罪状が『魔女』というあまりにも曖昧な理由の為(恐らくなんらかの薬を使ったと考えられたが、物的証拠が出てこなかった)馬に縛りつけられての移動だったので、最終的には生きたまま森の中へと放り込まれてしまいました。
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