【完"( 人 )⸝⸝ᐛ⸝⸝)イヤンケツ】俺ケツ!異世界に来た俺は魔法少女100人からケツを狙われている!!!!!!

お花畑ラブ子

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第三章 異世界に来た俺は50人の魔法少女からケツを狙われている

蒼と赫3

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「赫打(レッダ)!赫打!赫打ぁ!だらぁ!!…ちっきしょう硬いな」
「俺様の七星剣の中で2番目に守りに適した形態なんだぜ。俺様の方が驚きだ。大抵武器が砕けるか、拳がいかれるか。拳に痛みを感じないのか?」
「……ガッハッハッ、お褒めに預かり光栄だな魔王様」

 殴打を続けながら、彼女は舌打ちをした。合図はまだか。

 さちよの脳裏に数刻前の事がよぎる。
 No.試験会場で、さちよは杖職人の少年とガブコを解凍した。

「ぎゃああああ」
「いぎゃああああ」

 広場に悲鳴が響き渡る。燃え上がる2つの氷像。一切躊躇いのない彼女の行動は純粋な気持ちから来ていた。

「氷!冷たい!炎!熱い!ガッハッハッ!解決!!」

 医療のいの字も知るよしがない彼女の短絡的な行動の結果だった。

「タカタカタカタカタカタカタ」
「タカタカタカタカタカタカタ」

 小刻みに震える少年と少女。

「かたかたうっせーよ!」

「さっきまで氷漬けだったんだ!仕方ないでしょう!」
「強引すぎるっす!!恐怖の震えっす」

 通常はゆっくりと低温で解凍していくのがセオリーだが。
 彼女は一気に焼いた。さくっと。

「ふむ、そうか。寒いのか」

 指を鳴らす。

「ぎゃああああ!燃えてる燃えてる燃えてる!」
「え?寒いんだろ?」

 地面を転がりまわる少年に不思議な顔をして、首をかしげていた。

「冗談ですまないですよ!!」

 純粋なキラッキラした瞳で言う。

「え?あたしはいつも本気だが?」

 だめだ。こいつ、やばい。

「冗談じゃない?!死んでしまうわ!!ガブコ助けて!」
「ふぇ?!」
「あ、お前もあったまるか?」
「いいっす!あっしは氷魔法に耐性あるからもう大丈夫っす!!」

 ぶんぶんと首を横にふる。目をランランと輝かせ、わきわきと手を握ったり離したりする赤髪の美人から一気に距離をとる。

「で、どうして?さちよさんここにいるんですか?」
「まずお前らに今何が起きてるかを把握してもらわねーとな」

 さちよは、今、コロシアムで起こっていることを簡単に伝える。

「おい、コロシアムって本試験会場なんだろ?かりんは無事なのか?」
「あんなことあった後っすけど、学園長の安否も気になります。」
「さてな。あたしが知ってんのは会場の様子はあの通り、中継されてるまんまだ。元々旧友から招待されててな。んで、王都についたらなんだか騒がしいし、こいつが飛んできたわけよ。焼き鳥にして食おうと思ったら、喋り出すんだわ」

 胸の谷間から氷の燕をとりだす。え?○次元ポケットなの?そのおっぱい。え?なに?挟まれてもいいですか?うらやまけしからん、氷のツバメはパカッと口を開くとしゃべりだした。

「至急応援求む。コロシアム。敵数5、被害甚大。援護か救援要請をされたし。至急応援求む。コロシアム。敵数5被害甚大。援護か救援要請をされたし。至急応援求む。コロシアム。敵数5被害甚大。援護か救援要請をされたし。」

「これは」

「蒼豹の魔法だな。ガッハッハッ!懐かしいぜ。戦闘の際に飛ばしたみたいだ。魔力が強い奴に飛ぶ仕掛けらしいな。奴らの危険度を見越してたようだな。すぐに手を打つのはあいつらしい。」

 燕の魔法は1番初めに魔王に飛ばした2羽のうちの一体だった。より強い魔法少女に届くようにと。蒼豹自身、保険をかけていたが、それが功を奏した。


「お前たちはかりんと合流して、観客たちの救助とあの魔道砲を停止させろ。かりんはコロシアムの入口近くに倒れてるそうだ。あと、ワープゲートくぐって、会場に入れ。あたしの役割は、お前たちが動きやすいようあの魔王の足止めだ。あたしは時間稼ぎは苦手でな。手早くやれよ」

「ワープゲートって?」
「たまずさも、会場に来てたらしいぞ。あいつはかりんの応援だろうな。かりんを救出して、コロシアム潜入用のゲートだけ作ってあるみたいだぜ。あいつも、人死がでないようにするって言ってたな。頼れる存在だぜ奴は。あたしもいざとなったら脱出用にゲート使うかもな」
「……そんなに強いんですか?」
「さてね!案外勝っちまうかもな。ガッハッハッ!自分の役割だけ考えてろ」
 同郷の杖職人の頭をくしゃっと撫でて言った。
「そんな不安そうな顔すんじゃねーよ。笑え、笑え!己を鼓舞しろ!不安な時にこそ、笑顔が必要だ!!笑え笑え!!己に笑われぬ自分である為にな!!」
「いくぞガブコ。まずはかりんと合流するぞ」
「はいっす!」




 戦いの音が聞こえる。さちよのバカは加減をしらないのか。
 敵の目的の一つがわたしだ。なら、わたしが死ねばもう、生徒たちやさちよに迷惑はかからない。さっさと奴の前に身投げしてしまえば。

 このままでいいのか。

 声が聞こえる。
「いいわけないだろ……」

 このままでいいのか。
 誰の声だ。

「いいわけないだろ……」

 このままでいいのか!

「いいわけないだろ……っ!!」

 慕ってくれた生徒たち。利用していたとはいえ、彼女たちに教えた日々は嘘でもなんでもない。わたしなんかのために身を張ってくれた友達がいる。

 わたしの人生は、無価値ではなかったのか。

「ははっ…。賢いふりして一番の大馬鹿ものは案外わたしだったってことか。」
 杖を取り出し見つめる。長い杖。氷のような透き通った薄水色に自分の顔が映る。いつもの凛とした姿はどうした。王都の仕立て人に高い金を払って作った服もぼろぼろじゃないか。価値あるもので飾っても、心は乾くばかりだった。いいわけないだろこのままじゃ。

「…おい、わたしのこの氷をここにいる『氷豹』のメンバーに渡せ。意識のないものには手に握らせるんだ。」
「秘策ですか?」
「あぁ、とっておきだ。君たちには、不便かけることになる」
「かまいません!我々はあなたのためなら!」
「すまないね」

 これで、わたしの周りには人は居なくなったな。
 慕ってくれるものたちには、悪いが
 私は私のケジメをつけなくてはならない。
 人を蔑ろにしたこともある
 手にかけたこともある
 幕引きの時間がもらえたのなら、せめてもの報いを

「ふぅ…」
 息が白い。
「さちよ!!頼みがある!!」
「うぉ!?なんだよ!!」

「君は5分時間を稼げ!!あとは私が引き受ける」
「勝算があるのか?」
「ない!」
「ない?!」
「戦いを止める。私を信じろ」
 彼女らしからぬ発言だった。漠然とした指示。次々にくる斬撃を避けながら、彼女は一瞬目を見開いたが、豪快に笑う。
「ガッハッハ!!!いーさ!!引き受けた!!あたしが引き受けたっていったんだ!!何がなんでも5分間、お前に傷ひとつつかせねーよ!!」
「ありがとう!!」
 さちよはつるりと足を滑らせる。大剣が頭の上を通り過ぎて、彼女の前髪が切り落とされる。
「はぁ?!」
 ますます彼女らしからぬ。
「っふ!ふははははは!!!魔王!」
「なんだ。学園長殿の願いを聞いてやるほど、俺様は暇じゃないぞ。」
 さちよは拳と拳をぶつけ合わせる。両腕の赫い翼が燃え上がる。
「わりぃ!!今日のあたしはすこぶる機嫌がいい!!とっておきをみせてやるよ!」
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