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第二章 異世界に来た俺は30人の魔法少女からケツを狙われている
俺のケツは知られてる?!
しおりを挟む「ぐすん」
みんな酷いや。
寄宿舎から駆け出して、街の中心部にたどり着いた。
ここに来た時よりも人々の表情は明るいように感じる。町は少しづつ活気を取り戻しているようだった。
「よぅあんちゃん」
ふいに声を掛けられた。振り向くと、切れ長の瞳を持つ黒いフードを被った少女がいた。彼女の口からちろちろと舌が見える。
「町の人間じゃねーな」
となると、おれの杖か賞金を狙っているのか?
「くくく、こいつぁ!傑作だな。杖職人が魔力を感じられないとはな。お前ここに来て、3回は死んでるぜぇ」
チクッとした痛みを感じて頬をさわると血が流れていた。思わずその場を飛び退いた。
「何者だ!!」
「そぅ怒鳴るなっての?色々聞きたいだけさ!俺は黒蜥蜴。情報屋だよ。今世間を騒がしてる人間がどんなやつか知りたいだけさ」
「何のために」
「情報は売れるからな。居場所、特徴、性格、仲間なんでも金になる!ちなみにさっきは『氷豹』の連中だな。奴らが狙ってるとなるとますます値があげれそーだ」
あの時は自分たち以外には人が居ないはずだったのに。一体どうやってそのことを知ったんだ。
「…ハイエナみたいだな」
「くくっ!言ってろ。生きるためさ。」
「…じゃあ、俺でも情報を売買できるのか?」
「へぇ、面白いこというな。金はあるのか?」
「だからよ、情報を売ってやろうっていうのさ」
「ふん、じゃあ魔力量はどのくらいなんだ?」
「分からん!」
「どんな魔法を使えるんだ?」
「分からん!」
「魔法の杖は全部で何本あるんだ?」
「分からん」
「お前ふざけてるのか?」
イライラしながら、少女は言った。なにか情報、何か情報。
「俺はお好み焼きが好きだ!」
「なんだ??お好み焼き?」
ほら、と手を出す。
「まずは情報代だ」
「はぁ?そんな、訳の分からない情報で金が払えるか!」
「あぁ?情報屋の癖にそんなことも知らねぇのかよ。仕方ねーな」
「ちっ」
舌打ちをして、情報屋の少女は銅貨を1枚指で弾いた。
「で、お好み焼きってなんなんだよ」
「俺の故郷の食いもんだ」
「……で!」
「で?」
「どんな食べ物なんだ?」
「ん!」
手を出してクイクイと指を動かした。
「…くそっ」
また銅貨が飛んでくる。案外ちょろいなこの子。
「キャベツを使って」
「キャベツってなんだよ」
指をクイクイ。飛ぶ銅貨。
そんな事が繰り返され。
三十分が経つ頃には、俺の財布はパンパンになった。
「……ぐすん」
「……あ、やり過ぎたかな」
「……お小遣い……なくなっちゃった……」
「……お前、情報屋なら、もうちょい考えろよ」
ぽんぽんと肩を叩く。
「うわあああん!」
ガチ泣きし始めた?
「あっ!女の子泣かしてる!」
「カリン。これは、違っ!」
「これは、ぶっころ案件だわ!」
なんだよその物騒な案件は。カリンはよしよしとその子を慰める。
「大丈夫だよ。安心して。あのクソボケド変態はちゃんと肥溜めに落とすから」
「鬼畜かっ!」
「なによ!女の子を泣かせるやつはぶっころだわ!」
「俺がなきそうだよ!」
「あんたの涙なんか1銅貨の価値もないわっ!」
マジで泣くからね?!
「お姉さん……ホント?」
潤んだ瞳で上目遣いでカリンを見上げる。カリンはよしよしと撫でながら、にっこりと微笑む。
「ふふっ!か・く・じ・つ・に!」
「やったあ!」
「やったあじゃねーよ?!とりあえず言っとくが、そいつが絡んできたんだからな」
「絡むとは失礼な!俺は有益な情報をな?ちょいやめ!黒猫!魔法が切れちゃ!馬鹿っ!何してんのよ!黒犬さんに怒られるでしょ!!」
なんだか、様子がおかしい。喋ってるのは1人なのに画面越しに2人いるようなへんな感覚だ。
「ばかっ!!名前出すなっての!あっ!」
「きゃ!」
フードの少女は一瞬で体が崩れたくさんの蜥蜴になって方々に散り散りになった。
「何だったんだ、ありゃ」
おれは自分のケツを含めて魔法のことを知らなすぎる。
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