1 / 3
1
可哀想なくらい震えている美少女を見て私はどうしたものかと困惑していた。
「お、お姉様。何かありましたか?」
「別に。そろそろ休んだらどうかしら。お茶を用意するか……」
「はい! ただいま、お茶の準備をしてきます!」
私が最後まで言わずに少女は慌てて部屋を飛び出した。
部屋の掃除の途中、投げ出された箒を拾い私は自分の現状にため息ついた。
◆
私、コレットは前世、日本の大学生だった記憶がある。
きつい受験戦争を終え、良い大学の法学部に入学でき、都市部に一人暮らししていた。
高校時代、親のお小遣い、お年玉をこつこつと貯めてようやく得たものはゲーム機、そして興味のあった乙女ゲームのソフトであった。
今までゲーム禁止であった私は迷わずのめりこんでしまった。
「うー、眠い。ゲームやりすぎたー」
翌朝、絶対に受講しなければならない講義があったにも関わらず朝までゲームしてしまった。
続きが気になって気になって仕方なかった。
といえば、親に怒られてしまう。
ふらふらになりながらも自転車を走らせているが、曲がり角のところでうっかりと転倒してしまった。
大きなトラックが目の前に向かって走ってきている。それが、最後に見た光景だった。
◆
おそらくあのまま死んで転生してしまったのだ。
この乙女ゲーム『きらきらシンデレラ』に。
このゲームは童話のシンデレラをモチーフにした継子いじめものからはじまるゲームである。
ヒロイン・マリーは裕福な伯爵家に生まれるが、父が再婚した継母と連れ子たちにいじめられる。
父親は出張にでかけて事故に巻き込まれて死亡。
継母の天下、義姉たちにいじめられ使用人のような暮らしをしていた。
いじめられていたせいか自信を失い、使用人として過ごすことに慣れてしまった。
そんな時、彼女の前に現れたイケメンと交流していくうちに自信を取り戻し、かつての美しく明るい令嬢へと戻っていく。
そして出会ったイケメンと結ばれて幸せになっていくというものだ。
そのイケメンが5人おり、攻略対象であったのだ。
コレットはそのマリーにいじわるする義姉で、いじめはどんどんエスカレートしていった。
しかもマリーがイケメンと良い雰囲気になっているのに嫉妬を燃やし危害を加えようとまでしたのだ。
結末は罪を白日のもとに晒され、追放、処刑とろくな最期を送っていない。
前世の記憶が戻ったのがちょうどマリーをいじめる前で助かった。
と言っても母に使用人のように扱われるのを見て見ぬふりをしたから無罪というわけではない。
「これから挽回はできる、……のかな?」
少し不安になる。
コレットは深くため息をついた。
とにかくこれからの行動が私の余生に関わる。
まずはこの待遇を変えなければならない。
私の側にいる限り、マリーに惨めな思いはさせない。
コレットはあらゆる手を尽くして、母からマリーを守り抜いた。一緒のテーブルで食事をとるのは厳しくてもマリーの部屋は以前のものに、食事は私たちと同じもの、掃除や洗濯などは私も一緒にしていった。
はじめは警戒していたマリーも少しずつコレットの心を開いていった。
「お姉さま、お茶を用意しました」
マリーは配膳してコレットをテーブルへと呼び寄せた。
「マリー。いけません。使用人の真似事をするなど……あなたは伯爵家の大事な令嬢。お義父さまが残された家を継ぐ女主人としての自覚を持ちなさい」
「はい。ですが、愛しい方をつくすのも私にとって大事なことですので」
眩しいばかりのヒロインパワー、光がみえる。目がちかちかとする。
コレットは二度目のため息をついた。
どうしてこうなったのだろうか。
「お、お姉様。何かありましたか?」
「別に。そろそろ休んだらどうかしら。お茶を用意するか……」
「はい! ただいま、お茶の準備をしてきます!」
私が最後まで言わずに少女は慌てて部屋を飛び出した。
部屋の掃除の途中、投げ出された箒を拾い私は自分の現状にため息ついた。
◆
私、コレットは前世、日本の大学生だった記憶がある。
きつい受験戦争を終え、良い大学の法学部に入学でき、都市部に一人暮らししていた。
高校時代、親のお小遣い、お年玉をこつこつと貯めてようやく得たものはゲーム機、そして興味のあった乙女ゲームのソフトであった。
今までゲーム禁止であった私は迷わずのめりこんでしまった。
「うー、眠い。ゲームやりすぎたー」
翌朝、絶対に受講しなければならない講義があったにも関わらず朝までゲームしてしまった。
続きが気になって気になって仕方なかった。
といえば、親に怒られてしまう。
ふらふらになりながらも自転車を走らせているが、曲がり角のところでうっかりと転倒してしまった。
大きなトラックが目の前に向かって走ってきている。それが、最後に見た光景だった。
◆
おそらくあのまま死んで転生してしまったのだ。
この乙女ゲーム『きらきらシンデレラ』に。
このゲームは童話のシンデレラをモチーフにした継子いじめものからはじまるゲームである。
ヒロイン・マリーは裕福な伯爵家に生まれるが、父が再婚した継母と連れ子たちにいじめられる。
父親は出張にでかけて事故に巻き込まれて死亡。
継母の天下、義姉たちにいじめられ使用人のような暮らしをしていた。
いじめられていたせいか自信を失い、使用人として過ごすことに慣れてしまった。
そんな時、彼女の前に現れたイケメンと交流していくうちに自信を取り戻し、かつての美しく明るい令嬢へと戻っていく。
そして出会ったイケメンと結ばれて幸せになっていくというものだ。
そのイケメンが5人おり、攻略対象であったのだ。
コレットはそのマリーにいじわるする義姉で、いじめはどんどんエスカレートしていった。
しかもマリーがイケメンと良い雰囲気になっているのに嫉妬を燃やし危害を加えようとまでしたのだ。
結末は罪を白日のもとに晒され、追放、処刑とろくな最期を送っていない。
前世の記憶が戻ったのがちょうどマリーをいじめる前で助かった。
と言っても母に使用人のように扱われるのを見て見ぬふりをしたから無罪というわけではない。
「これから挽回はできる、……のかな?」
少し不安になる。
コレットは深くため息をついた。
とにかくこれからの行動が私の余生に関わる。
まずはこの待遇を変えなければならない。
私の側にいる限り、マリーに惨めな思いはさせない。
コレットはあらゆる手を尽くして、母からマリーを守り抜いた。一緒のテーブルで食事をとるのは厳しくてもマリーの部屋は以前のものに、食事は私たちと同じもの、掃除や洗濯などは私も一緒にしていった。
はじめは警戒していたマリーも少しずつコレットの心を開いていった。
「お姉さま、お茶を用意しました」
マリーは配膳してコレットをテーブルへと呼び寄せた。
「マリー。いけません。使用人の真似事をするなど……あなたは伯爵家の大事な令嬢。お義父さまが残された家を継ぐ女主人としての自覚を持ちなさい」
「はい。ですが、愛しい方をつくすのも私にとって大事なことですので」
眩しいばかりのヒロインパワー、光がみえる。目がちかちかとする。
コレットは二度目のため息をついた。
どうしてこうなったのだろうか。
あなたにおすすめの小説
逃げたい悪役令嬢と、逃がさない王子
もちもちほっぺ
恋愛
セレスティーナ・エヴァンジェリンは今日も王宮の廊下を静かに歩きながら、ちらりと視線を横に流した。白いドレスを揺らし、愛らしく微笑むアリシア・ローゼンベルクの姿を目にするたび、彼女の胸はわずかに弾む。
(その調子よ、アリシア。もっと頑張って! あなたがしっかり王子を誘惑してくれれば、私は自由になれるのだから!)
期待に満ちた瞳で、影からこっそり彼女の奮闘を見守る。今日こそレオナルトがアリシアの魅力に落ちるかもしれない——いや、落ちてほしい。
幼馴染みが描いた悪役令嬢ものの世界に「メイド」として転生したので、6年後の断罪イベントをどうにか回避したい
ゆずまめ鯉
恋愛
通勤途中、猫好きではないのに轢かれそうな黒猫をうっかり助けてしまい、死んでしまった主人公──水縞あいり(26)
鳥の囀りで目を覚ますとそこは天国……ではなく知らない天井だった。
狭い個室にはメイド服がかかっている。
とりあえず着替えて備えつけの鏡を見ると、そこには十代前半くらいの子どもの姿があった。
「この顔……どこか見覚えが……」
幼馴染みで漫画家、ミツルギサイチ(御剣才知)が描く、人気漫画「悪役令嬢が断罪されるまで」の登場人物だということに気がつく。
名前はミレア・ホルダー(本名はミレア・ウィン・ティルベリー)
没落貴族の令嬢で、現在、仕えているフランドル侯爵によって領地と洋館を奪われ、復讐のために、フランドル侯爵の長女イザベラが悪役令嬢になるのを止めず、むしろ後押しして見事断罪されてしまうキャラだった。
原作は未完だが、相談を受けていたのでどういう結末を迎えるのか知っている。
「二期アニメもまだ見てないし、どうせ転生するなら村人Aとかヒロインの母親がよかった……!!」
幼馴染みの描く世界に転生してしまった水縞あいり=ミレアが、フランドル侯爵家で断罪回避するべく、イザベラをどうにかお淑やかな女性になるように導いている途中。
病弱で原作だと生死不明になる、イザベラの腹違いの兄エミールに、協力してもらっているうちに求愛されていることに気づいてしまい──。
エミール・ディ・フランドル(20)×ミレア・ウィン・ティルベリー(18)
全30話の予定で現在、執筆中です。2月下旬に完結予定です。
タイトルや内容が変更になる場合もあります。ご了承ください。
悪役令嬢に相応しいエンディング
無色
恋愛
月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。
ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。
さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。
ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。
だが彼らは愚かにも知らなかった。
ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。
そして、待ち受けるエンディングを。
逆ハーレムエンド? 現実を見て下さいませ
朝霞 花純@電子書籍発売中
恋愛
エリザベート・ラガルド公爵令嬢は溜息を吐く。
理由はとある男爵令嬢による逆ハーレム。
逆ハーレムのメンバーは彼女の婚約者のアレックス王太子殿下とその側近一同だ。
エリザベートは男爵令嬢に注意する為に逆ハーレムの元へ向かう。
悪役令嬢に転生したけど、知らぬ間にバッドエンド回避してました
神村結美
恋愛
クローデット・アルトー公爵令嬢は、お菓子が大好きで、他の令嬢達のように宝石やドレスに興味はない。
5歳の第一王子の婚約者選定のお茶会に参加した時も目的は王子ではなく、お菓子だった。そんな彼女は肌荒れや体型から人々に醜いと思われていた。
お茶会後に、第一王子の婚約者が侯爵令嬢が決まり、クローデットは幼馴染のエルネスト・ジュリオ公爵子息との婚約が決まる。
その後、クローデットは体調を崩して寝込み、目覚めた時には前世の記憶を思い出し、前世でハマった乙女ゲームの世界の悪役令嬢に転生している事に気づく。
でも、クローデットは第一王子の婚約者ではない。
すでにゲームの設定とは違う状況である。それならゲームの事は気にしなくても大丈夫……?
悪役令嬢が気付かない内にバッドエンドを回避していたお話しです。
※溺れるような描写がありますので、苦手な方はご注意ください。
※少し設定が緩いところがあるかもしれません。
醜いと蔑まれている令嬢の侍女になりましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます
ちゃんゆ
恋愛
男爵家の三女に産まれた私。衝撃的な出来事などもなく、頭を打ったわけでもなく、池で溺れて死にかけたわけでもない。ごくごく自然に前世の記憶があった。
そして前世の私は…
ゴットハンドと呼ばれるほどのエステティシャンだった。
とある侯爵家で出会った令嬢は、まるで前世のとあるホラー映画に出てくる貞◯のような風貌だった。
髪で顔を全て隠し、ゆらりと立つ姿は…
悲鳴を上げないと、逆に失礼では?というほどのホラーっぷり。
そしてこの髪の奥のお顔は…。。。
さぁ、お嬢様。
私のゴットハンドで世界を変えますよ?
**********************
『おデブな悪役令嬢の侍女に転生しましたが、前世の技術で絶世の美女に変身させます』の続編です。
続編ですが、これだけでも楽しんでいただけます。
前作も読んでいただけるともっと嬉しいです!
転生侍女シリーズ第二弾です。
短編全4話で、投稿予約済みです。
よろしくお願いします。
王子好きすぎ拗らせ転生悪役令嬢は、王子の溺愛に気づかない
エヌ
恋愛
私の前世の記憶によると、どうやら私は悪役令嬢ポジションにいるらしい
最後はもしかしたら全財産を失ってどこかに飛ばされるかもしれない。
でも大好きな王子には、幸せになってほしいと思う。
【完結】ヒロインに転生しましたが、モブのイケオジが好きなので、悪役令嬢の婚約破棄を回避させたつもりが、やっぱり婚約破棄されている。
樹結理(きゆり)
恋愛
「アイリーン、貴女との婚約は破棄させてもらう」
大勢が集まるパーティの場で、この国の第一王子セルディ殿下がそう宣言した。
はぁぁあ!? なんでどうしてそうなった!!
私の必死の努力を返してー!!
乙女ゲーム『ラベルシアの乙女』の世界に転生してしまった日本人のアラサー女子。
気付けば物語が始まる学園への入学式の日。
私ってヒロインなの!?攻略対象のイケメンたちに囲まれる日々。でも!私が好きなのは攻略対象たちじゃないのよー!!
私が好きなのは攻略対象でもなんでもない、物語にたった二回しか出てこないイケオジ!
所謂モブと言っても過言ではないほど、関わることが少ないイケオジ。
でもでも!せっかくこの世界に転生出来たのなら何度も見たイケメンたちよりも、レアなイケオジを!!
攻略対象たちや悪役令嬢と友好的な関係を築きつつ、悪役令嬢の婚約破棄を回避しつつ、イケオジを狙う十六歳、侯爵令嬢!
必死に悪役令嬢の婚約破棄イベントを回避してきたつもりが、なんでどうしてそうなった!!
やっぱり婚約破棄されてるじゃないのー!!
必死に努力したのは無駄足だったのか!?ヒロインは一体誰と結ばれるのか……。
※この物語は作者の世界観から成り立っております。正式な貴族社会をお望みの方はご遠慮ください。
※この作品は小説家になろう、カクヨムで完結済み。