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義妹マリーは、あのまま継子いじめの被害に遭う予定であった。
コレットは母の手下になった使用人たちを睨みながらマリーを守り抜いた。
「マリー! あなたには部屋がある。こんな納屋で眠るなんてよくないわ!」
父の死後、マリーは部屋を納屋へと移された。
コレットは納屋で泣いていたマリーに手を差し伸べて、彼女の本来の部屋へと引っ張り出した。
部屋に戻るとマリーの持ち物が全てなくなっていた。
ドレス、調度品、装飾品、玩具や人形などマリーの持ち物がすべてが。
「何てこと! 言いなさい。マリーのものはどこへやったの!?」
使用人を怒鳴りつけて吐かせた内容に頭を抱えたものだ。
母の指示で既に売り払われて、その金銭は母の懐に入っていることだろう。
ゲームのシナリオでも同じ場面があったなとコレットは実母の行為にひいた。
「マリー、ごめんなさい。私が必ず取り戻すわ」
せめてマリーの生母の首飾りだけでも取り戻さなければ。
「お母様のなさりようは酷すぎます!」
コレットは母のしたことを非難した。
マリーが伯爵の忘れ形見であること、しかるべき対応をしなければならないと説いたが、母には無駄だった。
母はすっかり怒り出した。
「親には向かうなんて何て娘だい! 何か悪いものが取り憑いているんだ! 修道院に預けてやる!」
母の言葉にマリーは青ざめて慌てて頭を下げた。
「お母様、私が悪いのです。私がお姉様に泣きついたから! もう泣き言は言いません。お母様のいうとおりにします!」
マリーが謝罪して使用人としてがんばると誓い実母の怒りを解いた。
「マリー、ごめんなさい。あなたを追い詰めてしまって」
「いいのです。私のためにお姉様が怒ってくださり嬉しかった。私、がんばれます!」
まだ10歳にもならない娘の言葉にコレットは涙ぐんだ。
そして、コレットは怒りを覚えた。
今の自分はあまりに無力だった。
コレットは前世の記憶があろうと、実年齢は14歳の小娘である。
しかもこの国のしきたり、法律について全く知らない。
コレットがどれだけ道徳的なことをいっても母の耳には届かない。
マリーの悲運な幼少時代を変えることなどできない。
「私に必要なもの、それは学問!」
おのれの無力さを悔い、コレットは勉強して学校に通うことを決めた。
「お母様。私が悪かったです。私は自分の未熟さを知りました。どうか、私に学ぶ機会を与えてください」
コレットは歯を食いしばり、母に頭を下げた。
「ふん、わかればいいんだよ」
すっかり気をよくした母は家庭教師を雇い、コレットは勉強に励んだ。
「お姉様! 入学おめでとうございます」
マリーは小鳥の刺繍をしたハンカチをコレットにプレゼントした。
将来有望な貴族の令息・令嬢が通う聖ジュネ学園に入学できたお祝いだった。
「マリー、仕事が忙しいのにプレゼントを作ってくれたの?」
あまりの可愛らしさに思わずマリーを抱きしめてしまう。
この子の為にがんばらければ。
学園には学生寮もあるのだが、コレットはあえて伯爵邸から通うことを選んだ。
(自分がいない間にマリーがどんな目に遭うかわかったもんじゃないわ)
朝早くに出発しなければならないが、マリーの為なら苦にならない。
伯爵邸に眼を光らせながらコレットは通学を続けた。
勉強をしながら学園に通う者たちの中で法律に明るい家の子息を探した。
(日本の法律とは違うとは言え、何とかなりそう。歴史と政経の勉強を頑張ってよかった)
前世の勉強地盤があり、すぐにこの国の法律について頭に詰め込めた。
だが、知識を詰め込んでも思うように動けない。
手続きや諸々のことを考えると女の自分では無理がある。
まだ成人前の小娘では法律家たちは相手にしてくれないだろう。
下手に動いて母に知られれば面倒になる。
(自分が成人して、働いて、人脈をつないでいくのを待つしかないのかしら)
しかし、そうは言ってられない。
日に日にマリーの手があかぎれでひどくなっていく。
ぼろぼろのマリーの手をみると早く彼女の境遇を何とかしたかった。
(待てない! 待っていて、マリー!)
コレットはひたすら勉強して学園内でめぼしい人物を探しまくった。
コレットは母の手下になった使用人たちを睨みながらマリーを守り抜いた。
「マリー! あなたには部屋がある。こんな納屋で眠るなんてよくないわ!」
父の死後、マリーは部屋を納屋へと移された。
コレットは納屋で泣いていたマリーに手を差し伸べて、彼女の本来の部屋へと引っ張り出した。
部屋に戻るとマリーの持ち物が全てなくなっていた。
ドレス、調度品、装飾品、玩具や人形などマリーの持ち物がすべてが。
「何てこと! 言いなさい。マリーのものはどこへやったの!?」
使用人を怒鳴りつけて吐かせた内容に頭を抱えたものだ。
母の指示で既に売り払われて、その金銭は母の懐に入っていることだろう。
ゲームのシナリオでも同じ場面があったなとコレットは実母の行為にひいた。
「マリー、ごめんなさい。私が必ず取り戻すわ」
せめてマリーの生母の首飾りだけでも取り戻さなければ。
「お母様のなさりようは酷すぎます!」
コレットは母のしたことを非難した。
マリーが伯爵の忘れ形見であること、しかるべき対応をしなければならないと説いたが、母には無駄だった。
母はすっかり怒り出した。
「親には向かうなんて何て娘だい! 何か悪いものが取り憑いているんだ! 修道院に預けてやる!」
母の言葉にマリーは青ざめて慌てて頭を下げた。
「お母様、私が悪いのです。私がお姉様に泣きついたから! もう泣き言は言いません。お母様のいうとおりにします!」
マリーが謝罪して使用人としてがんばると誓い実母の怒りを解いた。
「マリー、ごめんなさい。あなたを追い詰めてしまって」
「いいのです。私のためにお姉様が怒ってくださり嬉しかった。私、がんばれます!」
まだ10歳にもならない娘の言葉にコレットは涙ぐんだ。
そして、コレットは怒りを覚えた。
今の自分はあまりに無力だった。
コレットは前世の記憶があろうと、実年齢は14歳の小娘である。
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コレットがどれだけ道徳的なことをいっても母の耳には届かない。
マリーの悲運な幼少時代を変えることなどできない。
「私に必要なもの、それは学問!」
おのれの無力さを悔い、コレットは勉強して学校に通うことを決めた。
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「ふん、わかればいいんだよ」
すっかり気をよくした母は家庭教師を雇い、コレットは勉強に励んだ。
「お姉様! 入学おめでとうございます」
マリーは小鳥の刺繍をしたハンカチをコレットにプレゼントした。
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