【完結】アーデルハイトはお家へ帰る

ariya

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4 アデルの幼馴染ヴィム

 村までたどり着けば後は安心だから良いと言ったがヴィムは家に帰る途中だからとアデルを最後まで見送ってくれた。
 家の灯りで少しヴィムの姿がみえるようになる。20歳になったヴィムはアデルよりも身長が高く、筋肉隆々の逞しい男に成長していた。抱き着いた時のヴィムの胸板は厚かったなとアデルは思い出して頬を染めた。よくみると体のいたるところに傷跡がある。
 アデルが去った後、ヴィムはアルフォス団に入り、色んな苦難に遭遇しただろう。
 想像の二倍、いや三倍逞しくなっていった。

 こんなに変ったけど、ヴィムはヴィムね。

 アデルを妹のように放っておけない彼の優しさが感じられる。
 山羊の放牧についていって、手を繋いで帰った時のことを思い出した。美しいアルフォス山脈の夕日を一緒に眺めたな。
 家に帰るまでアデルとヴィムは色んな話をした。
 アデルは離婚して今はマーシャの元で家庭教師をしているのだという。
「あと2か月で社交界参加させるのよ」
「あの跳ねっ帰りがデビューねぇ」
 ヴィムは苦く笑った。マーシャの悪名はアルフォス団の間でも有名らしい。
「将来的には教師の免許をとろうと思うの。その前に色んな家の家庭教師をしたいのでジーク男爵に色々お願いしている段階」
「そうか。でもこのあたりでマーシャ嬢以外の教え子候補はなかなか……それだったら辺境伯のいるゴート市に行った方がいい」
 ゴート市まで行くには片道徒歩4時間になる。汽車の停車駅は当然都市部だからある。あちらの方が充実しているだろう。だが、ブラン町までの終便は早い。さすがにそこで仕事するのであれば泊まり込みの方がいい。
 そういえば社交界はゴート市で行われる。ロッシュ辺境伯主催のパーティーである。事前にどのような街なのか、見ておいた方がいいかもしれない。将来的にどのような富裕層がいるかも把握しておきたいし。
「ねぇ、ヴィム。ゴート市までお買い物したいのだけど、ついてきてもらえる?」
 さすがに慣れない街で買い物は心細い。帰りも今回のように暗くなったら困るし。
「別に構わない。害獣討伐が終わったから4日は休暇を取らせてもらっている」
 良かったとアデルは胸をなでおろした。だいぶ慣れた頃は一人で周るつもりであるが、はじめはヴィムがいると心強い。

 ゴート市は想像よりもずっと大きい街であった。
 敵国の国境付近であるということで人がの往来が多い。国内上位3番目の騎士団を保有しており、治安がしっかりしている。
 戦争が終わって6年経過したところで花祭りが復活している。丁度マーシャのデビューがその祭りの前日であった。他領地の貴族も呼ばれる大きな社交界になると聞かされていた。
 メルティーナ王国で有名なアメジストの流通も再開しているようで、装飾品を出店みることができた。
「アメジストはメルティーナ王国の国石であり、王族の象徴でもある」
 本物のアメジストが出店で並んでいるとは思いもしなかった。小ぶりの形崩れたものを再利用したものらしいが、それでもそれなりの値段である。
「欲しいのか?」
 ひょいとアデルの肩口にヴィムは顔を出した。
「いや、ちょっと珍しいなと思って」
 アデルは首を横に振った。
「お嬢さんの瞳によく合うと思うよ」
 行商人の言葉にアデルは鏡をみる。
 アデルの瞳は紫色で、アメジストを少し薄めたような色合いの瞳であった。ダークブラウンの髪に留めると綺麗なのではないかと商売人は髪飾りをアデルの髪に取り付ける。
「うん、紫色の瞳に、ダークブラウンの髪に良く似合うよ。ひょっとして王族の血筋だったりして」

 お世辞にしては大きくでたな。

 鏡の前でアデルはふと髪の長さを思い出した。
 伯爵家にいたときは膝まで伸ばしていたが、邪魔になるからばっさり切ったのだ。ジーク男爵に高く売れないかと髪について尋ねると見事な髪なのでやめた方がいいと止められた。長い髪は家事で邪魔になるし朝の身支度に時間がかかる。手入れだって十分にできないだろう。ようやくジーク男爵は結い上げられるくらいの肩下あたりまでに留めて切ってくれた。十分な長さなのでそれなりに高く売れたのでアデルとしては満足した。
 あのクラウスでも褒めてくれた唯一の髪なのだ。安くないはずがない。
「……」
 アデルは無言で髪留めを商品棚に戻しそそくさと離れていった。
「アデル?」
 特に理由はない。自分の姿が映る鏡から離れたかった。
 鏡の前にあるアデルは平凡な娘のはずである。もう伯爵夫人ではないはずだ。それでもふとしたときにあの日々のことを思い出してしまう。
「何でもない。それよりお腹空いたわね。レストランに行きましょう」
 アデルはヴィムの腕を引っ張り、おいしそうな匂いのお店へと入っていった。ちょっとお洒落なお店である。富裕層の若い娘たちがお茶を楽しんでいた。
「ごめんなさい。あなたの趣味じゃなかったわね」
「いや、滅多に入らないし構わない」
 以前よりこの店のステーキに興味があったという。
「それなら今日は私に付き合ってくれたし、騎士見習いになったお祝いでうんとご馳走してあげる」
 町で何度かヴィムの話を聞かされた。ヴィムは半年前に一般兵から騎士見習いに昇格したのである。ブラン町で騎士見習いになれた者はいるが、それでもかなりの壮年の頃であった。二十代で騎士見習いになるのはすごいと彼をもてはやし、ブラン町とクオン町の娘でヴィムを狙っている者は多いという。
 ヴィムが早くに出世できたのは、アルフォス山脈について幼い頃から出入りしており山の自然について誰よりも知識が豊富だった。害獣・魔物の対処の仕方をすぐに身に着けて、次々と対策を練り仲間とともに討伐を成功させた。ついに辺境伯の重臣に目をかけられて特別に騎士見習いに取り立てられたという。騎士見習いになる為には筆記試験もあるため、半年前1か月はホテルに缶詰めさせられ勉強をさせられたそうだ。
 実技は問題ないため、筆記のみが大きな課題で周りの者たちはヴィムを何が何でも騎士見習いにするための協力をしてくれた。良い仲間に出会えてよかったなとアデルはほろりと涙を浮かべる。
 あの、勉強嫌いのヴィムが筆記の勉強を頑張るなど想像できない。
「とっても頑張ったのね。でも、どうして」
 アデルが知るヴィムは文字が読めなくても問題ない、生きていけると言い。山羊飼いで食うものは困らなかったし、いざとなれば炭鉱夫になればいい。食っていければ何とかなるとよく言っていた。
「騎士になれば、お前に会えると思ったんだ」
 ヴィムの言葉にアデルは目を大きく見開いた。
「本当は突然お前がいなくなって腹を立てた。俺に何も言わずにいなくなるから文句ひとつでも言いたくて、でも伯爵家のお前に会うことなんかできない」
 騎士になればいずれはアデルに出会えると思った。
「会って、一言文句を言ってやりたかったというのが本音だ」
「そうだったの。じゃあ、言って良いわ。うんと聞いてあげる」
 アデルにとってはどうしようもないことであるが、ヴィムの不満はわかる。
 自分だって突然仲のよかった友人が挨拶なしにいなくなれば腹を立てるだろう。
 伯爵夫人だった頃のアデルにはヴィムの苛立ちを受け入れる余裕はなかっただろう。今は自由の身になったのでヴィムの言葉をいくらでも受け入れられる覚悟である。
「いや、もういい。お前に会ったらどうでもよくなった」
 ヴィムとしてはアデルの祖父の急病の時、アデルに連絡しなかったことを悔やんでいた。アルフォス団に入り文字を覚えたが、文章を自力で書くには至れない。
 手紙を書こうにもうまく書けなかった。単語の羅列であるがなかなか伝わりにくい内容、おまけにスペルも合っているか微妙である。
 それでも伝わればいいとポケットに突っ込み郵便屋へ届けようとしたが、その前に気づいたアデルの祖父がびりびりに破かれてしまった。その時アルベルトが呟いた。

「こんな手紙が届けばアデルが恥をかくだろう」

 アデルは伯爵夫人なのである。身分の低い、手紙も満足に書けない男からの手紙を受け取れば彼女の立場は危うくなる。
 それをアルベルトから非難された。
 幼少の時文字を書く必要性はないと考えていた。アデルに何度も母親に感謝の手紙を書いたらどうだと勧められたが、毎日会えるから必要ないと文を書くことを拒んだ。
 アデルの言う通り手紙を書く練習をしていれば、もう少しましなものが書けたかもしれない。
 ようやく勉強を始めてみるとアデルの立場が少しだけわかった気がした。アルフォス団でも、貴人の警護にあたることがある。彼らへの配慮を学ばされて、自分がアデルに会うことの危うさを覚えた。足の引っ張り合いの多い貴族令嬢の中でアデルの恥になってしまう。
 アデルに会おうという気力は失われて、それでもアルフォス団をやめられずに今のままに至る。
 このことを一度上司に相談した。騎士になるつもりはないと。
 上司としては、ヴィムには騎士になってほしいと願った。
 ヴィムのような出自の男が騎士見習いになれる機会は滅多にない。しかし、ヴィムのような男には前線に立って部下たちを引っ張って欲しい。その為には出世をしてもらいたい。
 幸いロッシュ辺境伯の臣下はヴィムの働きに注目してくれている。ここで彼が足を止めれば、騎士になる機会は失われてしまう。
 ようやく上司が口に開いたのは、アデルとは会話をするのは無理でも遠くから元気にしているかだけ見ないかと。
 遠くから眺めるだけであればアデルには迷惑にならないだろう。
「ふーん、じゃあ、目的は達成しちゃったけど。騎士になるのはやめるの?」
 ヴィムの目的であるアデルに会うことはもう達成された。
「……そうだな。地位を掴めればその分できることが増える」
 その分しがらみも増えるだろうが、自分の意見を上に届けやすくなるだろう。
「騎士になってアルフォス山脈の防衛の為に頑張ろうと思う」
 今はアデルがブラン町に戻ってきたのだ。アデルがいるのであればこの地域をもっと安全にしなければならない。
「素晴らしいわ。多くの人の為に頑張って! 応援しているわ」
 アデルはヴィムの高い目標に感銘を受けた。自分も頑張って免許をとろう。幸いこのゴート市は免許取得の為の施設もある。機会は決して逃さないようにしなければ。

   ◇◇◇

 社交界まで1か月を切ろうとしていた。

「ピンチだわ」

 ジーク男爵家に訪れた後、マーシャは困ったようにつぶやいた。急ごしらえとはいえ、マーシャの作法は少しずつ上達していっている。
「お父様がぎっくり腰になってしまったの」
 確かにピンチである。
 社交界デビューの際、エスコートはジーク男爵がする予定であった。娘の晴れ舞台にジーク男爵はうきうきと新しい衣装を発注していたのをメイドから聞かされていた。
「お父様がいない社交界、知らない世界でどうすれば……」
「そんな固くなる必要はありませんよ。ただ笑顔で挨拶をすればいいのです」
 自分の社交界の評判が散々であることをそっと他所に放り出してアデルはマーシャを励まし続けた。
「社交界じゃ美味しいものがいっぱいありますよ。ワインは……未成年令嬢の為に葡萄ジュースも用意されていますし」
「ああ、アデル! お願い。私と一緒に社交界へ出て頂戴!」
 突然の言葉にアデルはええと眉をひそめた。
「私はちょっと社交界は……」
 伯爵夫人でいやというほど味わった苦い経験を思い出す。夫にエスコートされないまま貴族たちから笑われながらも笑顔で挨拶をつづけたカラクリ人形になったかのような時間。あれはもう経験したくない。
 なかなか頷かないアデルにマーシャはすすっと彼女の横に座った。そっとアデルの腕に絡みついて上目遣いでおねだりする。
「お願い。アデル先生」
 何という愛くるしい天使であろうか。ジーク男爵でなくても翻弄されてしまう。正直にいえばアデルはマーシャのことが可愛くて仕方なかった。こんなかわいい妹がいたら伯爵夫人時代も耐えられたかもしれない。いや無理だろうと思う自分もいる。
 胸が苦しい。心臓の音が周りに聞こえていないか不安になってしまいそうだ。
「でも、私は社交界用のドレスは持ってきていないのです」
「そんなの、うちのレンタルドレスがありますわ」
 ジーク男爵はドレスのレンタル業も行っていた。アデルであれば自由に無償でいくらでも貸し出せると許可もとっている。
 カーテンが開けばいつ準備したのかと不明な程の大量のドレスが並んでいた。サイズからしてマーシャのものではなくアデル用に集められている。
「アデルは私のことが嫌いなの?」
 はじめて出会った時の警戒心の強い子猫はどこへいったのだろうか。今では自分の愛らしさをふんだんに利用するこざかしい悪魔がいるようだった。
「嫌いではありません。マーシャ様の願いであれば何だって聞きたいです」
「じゃあ、決まりね」
 アデルはこれでマーシャの付添人として社交界に参加する必要がでてきた。
「ところでエスコートはどうするのです」
 一番それが問題ではないかと思い出して口にするとマーシャは何でもないと言わんばかりにいった。
「ああ、アルフォス団の騎士見習いに頼む予定だから問題ないわ」
「そうなの」
「という訳でアデル様」
 いつの間にか後ろに控えていたメイドがこそこそとアデルに耳打ちする。
「ヴィム殿の立ち居振る舞いの教育もお願いします。馬車からお出迎えは何とかなっておりますが」
「え、今ヴィムって言わなかった?」
 アルフォス団の騎士見習いにヴィムがいた。でも団にも騎士はいただろう。ヴィムの上司とか。騎士見習いより騎士にエスコート任せた方がいいのではないか。
「どうせなら若くて顔が良い男をとマーシャお嬢様の願いでヴィム殿になりました」
 確かにヴィムは顔がいいのだが、マーシャの言葉でヴィムてイケメンだったんだと再認識した。
 アデルはマーシャの教育以外にヴィムの紳士らしい立ち居振る舞いを教える為の仕事も増やされた。
 それでもお嬢様の下地があったマーシャは3か月の猶予があったが、ヴィムは元山羊使いの勉強らしい勉強はしてこなかった男である。それを1カ月で何とかしろというのは。
「旦那様より言付かった新しい書類です」
 追加の成功報酬の値段が書かれた紙を手渡せてアデルはため息をつきながらも了承のサインを書くことになった。
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