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2 珍妙な猫とたわむれる
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空からまっさかまだったアリスはもう死んだと頭の中で家族への遺言をひたすら考えていた。
何故か助かって、しばらくぽかんと口を開き空を見上げてしまった。
(はぁ、何で急に柄の悪いうさぎのぬいぐるみに傷害罪つきつけられて連行されて空からダイビングしなきゃいけないのかしら)
頭の中で考えても何が何やらわからない状態。とりあえずこの混乱を収めようとしてもあまりの事態に整理するのは無理というもの。
それにどうもさっきからふかふかの毛布で身を包まれてとても気持ちいい。
何も考えずにこのまま深く眠ってしまいたい。
欲望に勝てず、そのままうとうとと眠りについた。
しばらくしてようやく目を開いて首を傾げる。
確か自分は学校へ行っている最中だったと思うがと記憶が混濁していた。
(あ、あれ、いつ私はベッドの中に眠っていたのかしら)
アリスは首を傾げた。
「そうか、夢だったのね」
考えようと思っても無駄だ。
早く起きて学校に行かなければ遅刻してしまう。
それにしても自分のベッドはこんなにふかふかの毛布が敷かれていただろうか。
「っは!」
アリスが目を覚ますと自分の身はふわふわもこもこした毛を持つ動物の背の上にいたのだ。こんなに大きな動物がこの世にいたであろうか。
「え? え?」
「やぁっと起きたかい」
毛布が喋りだしくるりと背に乗るアリスの方へ顔を向ける。
その顔は猫のようであった。
大きささえ気にしなければ可愛らしい猫なのだが、アリスの驚いた表情を見た猫は楽しげに笑ったのだ。
こんなに頬を裂いたように笑う猫を見たのはうまれてはじめてだ。
「あ、な、な」
あなたは誰だと言いたいがなかなか言葉にならない。
大きい猫の方が察してくれて答えてくれた。
「ああ、僕はチェシャ。お嬢さんが突然空から降ってきてびっくりしちゃったよ」
「あー」
それを聞いてアリスは今まで起きたことは夢じゃなかったのだと肩を落とした。
チェシャは何が楽しいのか相変わらず裂いたような口でにやにや笑っている。
「お嬢さんは運が良かったね。このチェシャの背中の上に落ちたんだから。見たところ普通の娘さんだし、地面に落ちていたら大惨事だったよ」
猫が喋るなど本来ありえないのだが、うさぎのぬいぐるみの件といいいちいち驚いてはきりがないとアリスは思った。驚いたけど。
「そ、そう。ありがとう。大きな口の猫さん」
「僕のことはチェシャと呼んで」
にこーと笑う猫にアリスは思わず苦笑いした。本当にサイズと人語を喋ることさえ気にしなければ可愛い猫である。
「チェシャさん、ひとつ聞いて良いかしら」
「ん? 答えるか保障しないけどどうぞ」
もしかすると随分と気まぐれな性格なのかもしれない。
それでも今の状況を整理するのに相手になってくれる人はおらずアリスは尋ねた。
「ここはどこなのかしら。私は学校へ行かなければならないので元の場所に戻りたいのだけど」
「おや、お嬢さんはここの人じゃないのかい?」
「私のいた場所ではこんな大きな猫はいないわ」
「おお、そうなのかい?お嬢さんのところじゃ僕の仲間は小さいのかい」
「ついでに大きな口を開けて喋ったりなんかしないわ」
「おやおや、それじゃどうやって人間を食べるのだい?」
その言葉を聞いてアリスはさぁっと顔を青ざめた。
それを見てチェシャはにやにや楽しそうに笑って言う。
「う・そ。人間なんか不味くて食べられないよ。でもからかうのは楽しいね」
(この猫は)
殴ってやりたかった。
でも、すぐに拳を留めた。
どこかわからない場所で見た感じ自分より強そうな存在に挑発するのはよくない。
「そういえばお嬢さんの名前はなんていうんだい?」
「私はアリスよ」
「アリス?」
その名にチェシャは首を傾げた。
どこかで聞いたような名前のようなと呟いては相変わらずにやにやしている。
アリスという名はよくある名前である。
同名の人がいたとしても不思議じゃない。
「で、ここはどこなのかしら」
「ここは『ハートの国』さ」
「『ハートの国』?」
「そうさ。『ハートの女王』が治める『ハートの国』。僕らはそう呼んでいる」
そんな国の名は聞いたことない。
しかし、国ということは人がたくさんいるということなのだろうか。
それともこのようにおかしな動物たちしかいない国なのだろうか。
「ねぇ、チェシャ。私みたいな人間がいるところってないかしら」
「ひとつ聞く、と言ったじゃないかい?もう質問はさっきの答えでおしまい」
なんてけちな猫だろうか。
先の人を食ったような言葉と言い、この猫はいい性格をしている。
勿論悪い意味で。
「そうだね、僕を喜ばせたら教えてあげないこともないかなぁ」
「あなたを喜ばせる?」
アリスは自分と一緒にこの世界に持ち込んだ鞄の存在に気付いた。
そういえば、と中を探ってみる。
「あ、これがいいかも」
帰り道の途中に野良猫がいて、ついつい構ってしまいたく購入した品である。
アリスが鞄から取り出したものは猫じゃらしであった。
「む、そ、それはっ!?」
チェシャが尻尾を振りながら構えてくる。
(あ、あの巨大猫にじゃれつかれたら大変)
今更ながら気づいてアリスは青ざめる。
自分が巻き込まれて潰れてしまう。
しかし、時すでに遅し。
チェシャの後ろ脚が地を蹴ってアリスに飛びかかってくる。
ぽんという音と共に、一瞬でチェシャが小さな普通サイズの猫になった。
本人はそれに気づかず、アリスの猫じゃらしに飛び付いた。
「っは、しまった。つい本サイズに戻ってしまった」
チェシャは猫じゃらしに絡みながら一人ごちた。
つまり本来の姿はこの通り普通サイズの猫だったということか。
しかし、相変わらず口が張り裂けんばかりのにんまり顔である。
チェシャはさっきの大きさに戻らねばと思いつつも、猫じゃらしの誘惑に勝てずそのままじゃれついていた。
しばらくして、じゃれつかれたチェシャはようやくさっきの大きさに巨大化してしまった。
わざわざ大きくする必要性がどこにあるのだろうか。
しかし、そのおかげで空から降って来たアリスが助かったのだから口にしないでおこう。
「ついつい楽しんでしまった」
仕方ないとチェシャはアリスの先の質問に応えることにした。
◇◆◇
森の中、兵隊と馬車が行進を続ける。
その目の前にしゅっと白い影が飛び出してきた。
「止まれ!女王陛下の馬車と知っての狼藉か!!」
兵士たちは白い影に怒りをあらわにした。
「やっぱ陛下やったか!」
白い影、白うさぎのぬいぐるみブランはほっとした。
「こ、これはブラン様っ!!」
そして道を開ける兵士を通り抜け、急いで馬車へと向った。
「陛下、ブランでございます。お目通りを」
ブランは訛った口調を改め丁寧に言う。
「ブラン。随分遅い帰還だったな」
馬車の中から女王が厭味を込めた声で言う。
「も、申し訳ありません。狼藉者にあやうく殺されかけなんとか戻った次第です」
「はっ、お前をわざわざ殺すような人間があの世界にいるのか?」
あの世界、アリスのいる世界ではブランはどう見てもうさぎのぬいぐるみ。
せいぜい子供の悪戯でぼろぼろになる程度であろう。程度といってもブランにとっては一大事なのだが。
「その狼藉者を捕えこの世界に連行しましたが、逃げられてしまいました。この森のどこかに隠れていると思うのですが」
「ふぅん。それよりもお前、例のものは見つかったのか?」
今回、ブランがアリスの世界へ行ったのは女王陛下の命令であるものを捜す為だ。
前回も同様のことで行ったのだが、物見遊山だけして帰ってきて女王にこっぴどく叱られた。
「っは、申し訳ありません。今回も見つけること、敵いませんでした」
「ちゃんと捜したのか? 金髪に空色の瞳を持ったアリスという少女を」
「も、勿論ですっ」
ブランはしゃきっと背筋を伸ばして答えた。
「まぁ良い。ところで、先に言った狼藉者はどういう者だったのか?」
「っは、このブランを傷つけたものです。しっかり裁判をかけ罪を償わせなければ」
「どうでも良い。だが、この世界とは異質の世界の者が来て揉め事が起きては面倒なので兵士に回収させておかねばならない。裁判は適等にやっておけ」
「はは! そうですね、狼藉者は十五、六程の娘で金髪に空色の瞳を持っていました」
今聞いた情報を聞き女王は眉をひそめた。
「………名は?」
「聞いていません。裁判の手続きのときに聞こうと思っていましたので」
何というまぬけなぬいぐるみだろうと女王は深くため息をついた。
「もういい。奴の捜索ついでに回収して僕がじっくりと見聞しよう」
「おお、女王陛下自ら。私を傷つけた狼藉者を裁いてくれるのですかっ」
「お前はやっぱり馬鹿だな」
ブランの喜ぶ様を見て女王は呆れながら言った。
何故か助かって、しばらくぽかんと口を開き空を見上げてしまった。
(はぁ、何で急に柄の悪いうさぎのぬいぐるみに傷害罪つきつけられて連行されて空からダイビングしなきゃいけないのかしら)
頭の中で考えても何が何やらわからない状態。とりあえずこの混乱を収めようとしてもあまりの事態に整理するのは無理というもの。
それにどうもさっきからふかふかの毛布で身を包まれてとても気持ちいい。
何も考えずにこのまま深く眠ってしまいたい。
欲望に勝てず、そのままうとうとと眠りについた。
しばらくしてようやく目を開いて首を傾げる。
確か自分は学校へ行っている最中だったと思うがと記憶が混濁していた。
(あ、あれ、いつ私はベッドの中に眠っていたのかしら)
アリスは首を傾げた。
「そうか、夢だったのね」
考えようと思っても無駄だ。
早く起きて学校に行かなければ遅刻してしまう。
それにしても自分のベッドはこんなにふかふかの毛布が敷かれていただろうか。
「っは!」
アリスが目を覚ますと自分の身はふわふわもこもこした毛を持つ動物の背の上にいたのだ。こんなに大きな動物がこの世にいたであろうか。
「え? え?」
「やぁっと起きたかい」
毛布が喋りだしくるりと背に乗るアリスの方へ顔を向ける。
その顔は猫のようであった。
大きささえ気にしなければ可愛らしい猫なのだが、アリスの驚いた表情を見た猫は楽しげに笑ったのだ。
こんなに頬を裂いたように笑う猫を見たのはうまれてはじめてだ。
「あ、な、な」
あなたは誰だと言いたいがなかなか言葉にならない。
大きい猫の方が察してくれて答えてくれた。
「ああ、僕はチェシャ。お嬢さんが突然空から降ってきてびっくりしちゃったよ」
「あー」
それを聞いてアリスは今まで起きたことは夢じゃなかったのだと肩を落とした。
チェシャは何が楽しいのか相変わらず裂いたような口でにやにや笑っている。
「お嬢さんは運が良かったね。このチェシャの背中の上に落ちたんだから。見たところ普通の娘さんだし、地面に落ちていたら大惨事だったよ」
猫が喋るなど本来ありえないのだが、うさぎのぬいぐるみの件といいいちいち驚いてはきりがないとアリスは思った。驚いたけど。
「そ、そう。ありがとう。大きな口の猫さん」
「僕のことはチェシャと呼んで」
にこーと笑う猫にアリスは思わず苦笑いした。本当にサイズと人語を喋ることさえ気にしなければ可愛い猫である。
「チェシャさん、ひとつ聞いて良いかしら」
「ん? 答えるか保障しないけどどうぞ」
もしかすると随分と気まぐれな性格なのかもしれない。
それでも今の状況を整理するのに相手になってくれる人はおらずアリスは尋ねた。
「ここはどこなのかしら。私は学校へ行かなければならないので元の場所に戻りたいのだけど」
「おや、お嬢さんはここの人じゃないのかい?」
「私のいた場所ではこんな大きな猫はいないわ」
「おお、そうなのかい?お嬢さんのところじゃ僕の仲間は小さいのかい」
「ついでに大きな口を開けて喋ったりなんかしないわ」
「おやおや、それじゃどうやって人間を食べるのだい?」
その言葉を聞いてアリスはさぁっと顔を青ざめた。
それを見てチェシャはにやにや楽しそうに笑って言う。
「う・そ。人間なんか不味くて食べられないよ。でもからかうのは楽しいね」
(この猫は)
殴ってやりたかった。
でも、すぐに拳を留めた。
どこかわからない場所で見た感じ自分より強そうな存在に挑発するのはよくない。
「そういえばお嬢さんの名前はなんていうんだい?」
「私はアリスよ」
「アリス?」
その名にチェシャは首を傾げた。
どこかで聞いたような名前のようなと呟いては相変わらずにやにやしている。
アリスという名はよくある名前である。
同名の人がいたとしても不思議じゃない。
「で、ここはどこなのかしら」
「ここは『ハートの国』さ」
「『ハートの国』?」
「そうさ。『ハートの女王』が治める『ハートの国』。僕らはそう呼んでいる」
そんな国の名は聞いたことない。
しかし、国ということは人がたくさんいるということなのだろうか。
それともこのようにおかしな動物たちしかいない国なのだろうか。
「ねぇ、チェシャ。私みたいな人間がいるところってないかしら」
「ひとつ聞く、と言ったじゃないかい?もう質問はさっきの答えでおしまい」
なんてけちな猫だろうか。
先の人を食ったような言葉と言い、この猫はいい性格をしている。
勿論悪い意味で。
「そうだね、僕を喜ばせたら教えてあげないこともないかなぁ」
「あなたを喜ばせる?」
アリスは自分と一緒にこの世界に持ち込んだ鞄の存在に気付いた。
そういえば、と中を探ってみる。
「あ、これがいいかも」
帰り道の途中に野良猫がいて、ついつい構ってしまいたく購入した品である。
アリスが鞄から取り出したものは猫じゃらしであった。
「む、そ、それはっ!?」
チェシャが尻尾を振りながら構えてくる。
(あ、あの巨大猫にじゃれつかれたら大変)
今更ながら気づいてアリスは青ざめる。
自分が巻き込まれて潰れてしまう。
しかし、時すでに遅し。
チェシャの後ろ脚が地を蹴ってアリスに飛びかかってくる。
ぽんという音と共に、一瞬でチェシャが小さな普通サイズの猫になった。
本人はそれに気づかず、アリスの猫じゃらしに飛び付いた。
「っは、しまった。つい本サイズに戻ってしまった」
チェシャは猫じゃらしに絡みながら一人ごちた。
つまり本来の姿はこの通り普通サイズの猫だったということか。
しかし、相変わらず口が張り裂けんばかりのにんまり顔である。
チェシャはさっきの大きさに戻らねばと思いつつも、猫じゃらしの誘惑に勝てずそのままじゃれついていた。
しばらくして、じゃれつかれたチェシャはようやくさっきの大きさに巨大化してしまった。
わざわざ大きくする必要性がどこにあるのだろうか。
しかし、そのおかげで空から降って来たアリスが助かったのだから口にしないでおこう。
「ついつい楽しんでしまった」
仕方ないとチェシャはアリスの先の質問に応えることにした。
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「止まれ!女王陛下の馬車と知っての狼藉か!!」
兵士たちは白い影に怒りをあらわにした。
「やっぱ陛下やったか!」
白い影、白うさぎのぬいぐるみブランはほっとした。
「こ、これはブラン様っ!!」
そして道を開ける兵士を通り抜け、急いで馬車へと向った。
「陛下、ブランでございます。お目通りを」
ブランは訛った口調を改め丁寧に言う。
「ブラン。随分遅い帰還だったな」
馬車の中から女王が厭味を込めた声で言う。
「も、申し訳ありません。狼藉者にあやうく殺されかけなんとか戻った次第です」
「はっ、お前をわざわざ殺すような人間があの世界にいるのか?」
あの世界、アリスのいる世界ではブランはどう見てもうさぎのぬいぐるみ。
せいぜい子供の悪戯でぼろぼろになる程度であろう。程度といってもブランにとっては一大事なのだが。
「その狼藉者を捕えこの世界に連行しましたが、逃げられてしまいました。この森のどこかに隠れていると思うのですが」
「ふぅん。それよりもお前、例のものは見つかったのか?」
今回、ブランがアリスの世界へ行ったのは女王陛下の命令であるものを捜す為だ。
前回も同様のことで行ったのだが、物見遊山だけして帰ってきて女王にこっぴどく叱られた。
「っは、申し訳ありません。今回も見つけること、敵いませんでした」
「ちゃんと捜したのか? 金髪に空色の瞳を持ったアリスという少女を」
「も、勿論ですっ」
ブランはしゃきっと背筋を伸ばして答えた。
「まぁ良い。ところで、先に言った狼藉者はどういう者だったのか?」
「っは、このブランを傷つけたものです。しっかり裁判をかけ罪を償わせなければ」
「どうでも良い。だが、この世界とは異質の世界の者が来て揉め事が起きては面倒なので兵士に回収させておかねばならない。裁判は適等にやっておけ」
「はは! そうですね、狼藉者は十五、六程の娘で金髪に空色の瞳を持っていました」
今聞いた情報を聞き女王は眉をひそめた。
「………名は?」
「聞いていません。裁判の手続きのときに聞こうと思っていましたので」
何というまぬけなぬいぐるみだろうと女王は深くため息をついた。
「もういい。奴の捜索ついでに回収して僕がじっくりと見聞しよう」
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