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#16
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翌日、お昼時を狙って、真壁さんに貰った名刺に記してある携帯番号に電話をかけることにした。私の電話番号は変わった。もしかしたら、出てくれないかもしれない。
「はい。真壁です」
三回目のコールであっさり繋がった。
「お疲れ様です。真壁さん」
「ああ。織部か。昨夜は世話になった」
名乗る前に声だけでわかってくれるとことか、昨夜はって、フレーズだけでドキッとしてしまう。あ、でもこの人、空でお客さんの顔と名前と家と携帯の電話番号が完全に一致する人だ。そりゃ声ぐらい。
「こちらこそ、ご馳走さまでした。あの、お忙しいとは存じますが、近々お会いできませんか」
「どうした? 大人の階段昇った記念に靴でも欲しくなったのか?」
「何をおっしゃっているのか全くわかりません」
「他の男と処女喪失した翌日に俺に営業かけてくるなんて大した女になったな。セカンドバージンでも恵んでくれるのか?」
「してません! なんてこと云うんですか!」
「してない? 嫉妬して嫌味まで云ったのに拍子抜けだ」
と嬉しそうな笑い声が漏れてくる。
「酷いです。私が傷つくとか考えないんですか?」
「思いきり罵倒して二度と顔を見せるなと言って電話を切ればいい。それに、傷ついても慰めてくれる相手がいるだろ?」
彼の言葉が胸を刺さる。でもだからってあんな言い方はないと思う。思うけど、怒れない。私は抗議を諦める。
「……昨夜も、やはり眠れなかったんですね」
「眠れると思うか? 嫉妬と寂しさで気が狂いそうだったよ」
心臓が止まるかと思った。息が詰まってくらくらと頭の中が揺れた。
「……今どちらですか? こんな話していてよろしいんですか?」
「会社は会社だが、自分のオフィスだ。他に誰もいない」
「そうですか……」
「それより、なんの用だ? 会って話さなきゃならないなら、これからでも大丈夫だ。やることはもう終わって午後は何もない。社長に付き合ってゴルフ場にでも行こうかと思っていたくらいだ」
「いいんですか? 珍しいですね」
「別に。探せばあるんだろうが、俺がやろうとすると困惑する人間が出る。それにゴルフも約束した訳じゃないから。織部、昼飯は?」
「いえ。まだです。お恥ずかしながらさっき起きたので何も。不用意に傷つけられたくないので言っておきますけど、一人で、自分の部屋で目覚めました」
「そうか。……なあ、織部」
「はい」
「藤和に戻って役職が上がったら、仕事量は半分どころかこの五年の三分の一に減った。でも周りを見渡してもいそうにないんだ。俺を俺だと見てくれる人間は。時間と金だけ有り余って、眠れもしなけりゃ、拠り所もない。どうすればいいんだ?」
どう答えればいいのか、わからない。ただ、今すぐこの人の傍にいきたい。そして、できるならば抱きしめたい。つい、数時間前に真くんに向き合うつもりで、覚悟を決めたはずなのに。
「そういうわけだ。暇潰しでいいから飯くらい付き合ってくれ」
あっさりとした口調でいった。押して引いて、この人の前では、私の覚悟なんか乾いた砂に挿された藁みたいにぐらぐら揺れる。この五年間、不運は続いたけれど、真壁さんを恨んだりしていなかった。ただ、悲しくて、寂しくて、できるなら会いたくて辛かった。でも、今は、ただ憧れていたあの頃とは違う。
ねえ。どうしてこうなったの。私は自問する。黙っていると、迎えに行こうかと訊かれたけれど断って二時間後に、市街地の百貨店のパサージュにあるオープンカフェで待ち合わせをして、電話を切った。
そのまま、マネージャーに今日は休ませてほしいとメールを打っておいた。改めて夕方に電話する、と付け足して。
今、私の暮らしている町から市街地まで特急を使っても三十分かかる。急いで準備に取り掛かった。
バッグから帯つきの新札をとり、色とりどりの小鳥がプリントされた可愛らしい蓋の長方形の空き箱に入れて、チョコレート色のリボンをかけた。バレンタイン時期に限定で出店していた外国のショコラティエの箱。これなら手にとってもらえるはずだ。気に入ってなんとなく取っておいたのが、まさかこんな使い方をするとは思わなかった。
着替えようとして、下着は一番のお気に入りの黒い繊細なレースのに手が伸びた。そしたら、なにか定まった気になった。
なにを、躊躇っているんだろう。なにを我慢してるんだろう。本当に欲しいものは、なに?
タイトな長袖の背中の空いた黒いロングワンピースに、星屑のようなゴールドの細いアンクレットだけを身につけ、透けた黒のストッキングを穿いた。もちろん、黒いハイヒールのミュールを合わせる。髪をアップにまとめ、念入りに化粧を施し、店にはつけていったことのない、真くんにも見せたことのないとっておきのルージュをひいた。うなじと太股の内側と足の指に、今は廃盤になってしまった大好きな香水をつけた。この香水が街で香ることは滅多にない。
鏡の中にいやらしい喪服もどきの娼婦気取りの女がいる。思わず笑ってしまった。どうせ今更。どうにでもなればいい。
クラッチバッグに財布と携帯電話とハンカチとチョコレートの箱をしまって、部屋をでた。
真昼の陽射しに怯みそうになったけれど、もう電車の時間に間に合わない。日傘で隠れるように駅まで歩いた。もうすぐ梅雨も開けそうだ。
改札を抜けてホームへ急いでギリギリで間に合った。滑り込んだ車内で一息ついた。
流れる風景を眺めながら、これからしようとしていることについてぼんやり考えた。彼を怒らせてしまうかも知れない。呆れられるかもしれない。軽蔑されるかもしれない。それでもいい。それでもいいから知りたくなった。始め方を間違ってしまった恋の正体、或いは最期を。
じゃないと、座りが悪くて次に進めない。
でも、これを恋と呼ぶのなら。
パサージュの中央にあるオープンカフェの一席で、緑の炭酸水の瓶を弄ぶ真壁さんがいた。
「お待たせしました」
私を見ると軽く頷きながら応えた。
「待った甲斐があった。何にする?」
ウェイターがグラスに入った水を運んできたが、すぐに出たいことを告げて注文は控えさせてもらい、私は真壁さんに向き直った。
「これは、同伴?」
真壁さんが先に口を開いた。
「いいえ。プライベートです」
「オーケストラでも聞きに行くのか?」
「いいえ。お葬式です」
「誰の?」
「後で教えます。あの、これ」
バッグからリボンのかかった箱を取り出し、彼の手元に差し出すと、嬉しそうな、不思議そうなクリスマスの朝の子どもみたいな表情を浮かべた。
「開けていい?」
もちろん、と頷くと、さっそくリボンをほどいて、箱を開け、表情を曇らせた。
「……なにがしたいんだ?」
「買い物です。本当に欲しいものを買おうと思ったんです」
「というのは?」
「今夜一晩、真壁さんを、百万円で」
彼は、眉間に手を当て、ため息をついた。
「どうしてこんなことを?」
「だって真壁さん、いらないっていっても受け取ってくれないですし、私がこれを出された時、どんな気持ちだったかわかってほしくて」
彼は私を見て、ハッと視線をさ迷わせた。
「貴方が身を粉にして得た大事なお金を私のために惜しげもなく使ってくださってありがとうございました。でも、私はそれより、キスや愛撫やさっき電話で言ってくれた言葉の方が嬉しかったんです」
彼は、なにか言いたげに、苦しげな表情を浮かべた。
きっと彼のことだから謝ろうとして、それだけでは済まされないと思って、何も言えなくなっているのかもしれない。
「場所を変えませんか。二人だけになりたいんです」
「俺と?」
「他に誰かいます?」
「いない」
「でしょう」
私は席を立ち、途方にくれたように、立ち上がろうとしない彼の手を握った。
「言いたいことが、たくさんあるんです。したいことも、してほしいことも。でも、こんなところじゃどれも実現できないから、場所を変えたいんです。今すぐ」
彼は、顔をあげて私を見る。私の気持ちを図りかねているようだ。
「……じゃあ車に。地下に停めてある」
私の手を握り返し、指を撫でるようにして動かした。私は責めているわけではない。詰るつもりもないことをわかってほしくて、口角を上げて笑って見せた。
「はい。真壁です」
三回目のコールであっさり繋がった。
「お疲れ様です。真壁さん」
「ああ。織部か。昨夜は世話になった」
名乗る前に声だけでわかってくれるとことか、昨夜はって、フレーズだけでドキッとしてしまう。あ、でもこの人、空でお客さんの顔と名前と家と携帯の電話番号が完全に一致する人だ。そりゃ声ぐらい。
「こちらこそ、ご馳走さまでした。あの、お忙しいとは存じますが、近々お会いできませんか」
「どうした? 大人の階段昇った記念に靴でも欲しくなったのか?」
「何をおっしゃっているのか全くわかりません」
「他の男と処女喪失した翌日に俺に営業かけてくるなんて大した女になったな。セカンドバージンでも恵んでくれるのか?」
「してません! なんてこと云うんですか!」
「してない? 嫉妬して嫌味まで云ったのに拍子抜けだ」
と嬉しそうな笑い声が漏れてくる。
「酷いです。私が傷つくとか考えないんですか?」
「思いきり罵倒して二度と顔を見せるなと言って電話を切ればいい。それに、傷ついても慰めてくれる相手がいるだろ?」
彼の言葉が胸を刺さる。でもだからってあんな言い方はないと思う。思うけど、怒れない。私は抗議を諦める。
「……昨夜も、やはり眠れなかったんですね」
「眠れると思うか? 嫉妬と寂しさで気が狂いそうだったよ」
心臓が止まるかと思った。息が詰まってくらくらと頭の中が揺れた。
「……今どちらですか? こんな話していてよろしいんですか?」
「会社は会社だが、自分のオフィスだ。他に誰もいない」
「そうですか……」
「それより、なんの用だ? 会って話さなきゃならないなら、これからでも大丈夫だ。やることはもう終わって午後は何もない。社長に付き合ってゴルフ場にでも行こうかと思っていたくらいだ」
「いいんですか? 珍しいですね」
「別に。探せばあるんだろうが、俺がやろうとすると困惑する人間が出る。それにゴルフも約束した訳じゃないから。織部、昼飯は?」
「いえ。まだです。お恥ずかしながらさっき起きたので何も。不用意に傷つけられたくないので言っておきますけど、一人で、自分の部屋で目覚めました」
「そうか。……なあ、織部」
「はい」
「藤和に戻って役職が上がったら、仕事量は半分どころかこの五年の三分の一に減った。でも周りを見渡してもいそうにないんだ。俺を俺だと見てくれる人間は。時間と金だけ有り余って、眠れもしなけりゃ、拠り所もない。どうすればいいんだ?」
どう答えればいいのか、わからない。ただ、今すぐこの人の傍にいきたい。そして、できるならば抱きしめたい。つい、数時間前に真くんに向き合うつもりで、覚悟を決めたはずなのに。
「そういうわけだ。暇潰しでいいから飯くらい付き合ってくれ」
あっさりとした口調でいった。押して引いて、この人の前では、私の覚悟なんか乾いた砂に挿された藁みたいにぐらぐら揺れる。この五年間、不運は続いたけれど、真壁さんを恨んだりしていなかった。ただ、悲しくて、寂しくて、できるなら会いたくて辛かった。でも、今は、ただ憧れていたあの頃とは違う。
ねえ。どうしてこうなったの。私は自問する。黙っていると、迎えに行こうかと訊かれたけれど断って二時間後に、市街地の百貨店のパサージュにあるオープンカフェで待ち合わせをして、電話を切った。
そのまま、マネージャーに今日は休ませてほしいとメールを打っておいた。改めて夕方に電話する、と付け足して。
今、私の暮らしている町から市街地まで特急を使っても三十分かかる。急いで準備に取り掛かった。
バッグから帯つきの新札をとり、色とりどりの小鳥がプリントされた可愛らしい蓋の長方形の空き箱に入れて、チョコレート色のリボンをかけた。バレンタイン時期に限定で出店していた外国のショコラティエの箱。これなら手にとってもらえるはずだ。気に入ってなんとなく取っておいたのが、まさかこんな使い方をするとは思わなかった。
着替えようとして、下着は一番のお気に入りの黒い繊細なレースのに手が伸びた。そしたら、なにか定まった気になった。
なにを、躊躇っているんだろう。なにを我慢してるんだろう。本当に欲しいものは、なに?
タイトな長袖の背中の空いた黒いロングワンピースに、星屑のようなゴールドの細いアンクレットだけを身につけ、透けた黒のストッキングを穿いた。もちろん、黒いハイヒールのミュールを合わせる。髪をアップにまとめ、念入りに化粧を施し、店にはつけていったことのない、真くんにも見せたことのないとっておきのルージュをひいた。うなじと太股の内側と足の指に、今は廃盤になってしまった大好きな香水をつけた。この香水が街で香ることは滅多にない。
鏡の中にいやらしい喪服もどきの娼婦気取りの女がいる。思わず笑ってしまった。どうせ今更。どうにでもなればいい。
クラッチバッグに財布と携帯電話とハンカチとチョコレートの箱をしまって、部屋をでた。
真昼の陽射しに怯みそうになったけれど、もう電車の時間に間に合わない。日傘で隠れるように駅まで歩いた。もうすぐ梅雨も開けそうだ。
改札を抜けてホームへ急いでギリギリで間に合った。滑り込んだ車内で一息ついた。
流れる風景を眺めながら、これからしようとしていることについてぼんやり考えた。彼を怒らせてしまうかも知れない。呆れられるかもしれない。軽蔑されるかもしれない。それでもいい。それでもいいから知りたくなった。始め方を間違ってしまった恋の正体、或いは最期を。
じゃないと、座りが悪くて次に進めない。
でも、これを恋と呼ぶのなら。
パサージュの中央にあるオープンカフェの一席で、緑の炭酸水の瓶を弄ぶ真壁さんがいた。
「お待たせしました」
私を見ると軽く頷きながら応えた。
「待った甲斐があった。何にする?」
ウェイターがグラスに入った水を運んできたが、すぐに出たいことを告げて注文は控えさせてもらい、私は真壁さんに向き直った。
「これは、同伴?」
真壁さんが先に口を開いた。
「いいえ。プライベートです」
「オーケストラでも聞きに行くのか?」
「いいえ。お葬式です」
「誰の?」
「後で教えます。あの、これ」
バッグからリボンのかかった箱を取り出し、彼の手元に差し出すと、嬉しそうな、不思議そうなクリスマスの朝の子どもみたいな表情を浮かべた。
「開けていい?」
もちろん、と頷くと、さっそくリボンをほどいて、箱を開け、表情を曇らせた。
「……なにがしたいんだ?」
「買い物です。本当に欲しいものを買おうと思ったんです」
「というのは?」
「今夜一晩、真壁さんを、百万円で」
彼は、眉間に手を当て、ため息をついた。
「どうしてこんなことを?」
「だって真壁さん、いらないっていっても受け取ってくれないですし、私がこれを出された時、どんな気持ちだったかわかってほしくて」
彼は私を見て、ハッと視線をさ迷わせた。
「貴方が身を粉にして得た大事なお金を私のために惜しげもなく使ってくださってありがとうございました。でも、私はそれより、キスや愛撫やさっき電話で言ってくれた言葉の方が嬉しかったんです」
彼は、なにか言いたげに、苦しげな表情を浮かべた。
きっと彼のことだから謝ろうとして、それだけでは済まされないと思って、何も言えなくなっているのかもしれない。
「場所を変えませんか。二人だけになりたいんです」
「俺と?」
「他に誰かいます?」
「いない」
「でしょう」
私は席を立ち、途方にくれたように、立ち上がろうとしない彼の手を握った。
「言いたいことが、たくさんあるんです。したいことも、してほしいことも。でも、こんなところじゃどれも実現できないから、場所を変えたいんです。今すぐ」
彼は、顔をあげて私を見る。私の気持ちを図りかねているようだ。
「……じゃあ車に。地下に停めてある」
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