異世界召喚に巻き込まれました。〜俺はこの異世界で自由に生きていく〜

詩嶋星那

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第1話 異世界召喚!?

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 まぶたを開くとそこにあった景色は俺の全く知らないものだった。
 さっきまで教室にいたはずが、今は漫画とかに出てくるような光景に変わっている。
 真ん中には、王様だろうと思われる男の人が玉座のようなものに座り宝石で彩られている王冠を頭に被っている。
 そしてその男は言った。ようこそおいで下さいました、異世界いせかい勇者様方ゆうしゃさまがた――と。


 ***


 普通の高校生こと俺霧雨きりさめ灯流ひりゅうは今、幼馴染おさななじみである夜烏萬やおよろず鈴葉すずはと並んで学校の廊下を歩いていた。
 俺と鈴葉は小学校から高校まで一緒だ。
 まあ鈴葉は、俺と違って、成績、運動、顔の全てにおいて完璧だった。顔というのは、可愛いという意味だ。そして俺は、成績、運動、顔の全てにおいて普通だ。
 なので、昔はこんな俺が隣にいていいのかなって思ってたけど、今ではそんなことなど思ってない。
 と、そこで俺はあることに気づいた。

 「あ、しまった! 机の中に忘れてきてしまった!」

 そう、忘れ物だ。
 それを聞いた鈴葉が口を開く。

 「なにしてるのー。待っとくから早く取ってきてよね」

 俺の方を向いてそう言ってきた。

 「あ? うん、分かった。すぐ戻るからなー」

 というわけで、俺は鈴葉にそう言いながら背を向けて来た道を戻って行った。



 「ん?」

 教室の前に着いたのと同時に軽い耳鳴りが俺を襲った。
 だが、軽いだけだったのであんまり気にすることなく俺はドアに手をかけようとーー、

 ーーバチっ!

 瞬間、ドアと手の間で火花ひばなが散った。

 「うぉっっ!!」

 ビビってしまい口から声が漏れてしまった。
 だが火花が散っただけで、痛いという感覚は持たなかった。
 んー、触っても大丈夫だよね?
 俺はそう思いながらもう一度ドアに触れた。

 ーー‥‥‥

 しかし二度目の火花は起きることはなかった。
  俺は、ふぅぅー、と口から安堵の息をして胸をそっと撫で下ろす。
 ガラガラという音を立てて俺はドアを開ける。
 席は一番後ろの窓際。

 「ちょっと、誰か来たんだけど!?」

 教室に入るとそんな声が俺の耳に聞こえて来た。
 ん? 誰かいるのかな?
 そう思いながら声の聞こえて来た方を見る。そして俺の視界に入ったのは、クラスメイトである男子一人と他クラスであろうと思える女子三人だった。
 男子の方は、クラス一のモテ男充剣みつるぎ迅翔はやと。成績、運動、顔その全てにおいてハイスペックでモテモテ。
 だけど、彼は一つの影を持っている。それは、多くの女子をたぶらかしているということだ。
 なんで俺がそんな事を知っているのかというと、屋上で昼食をとってる時にたまたま充剣と一人の女子がイチャイチャしに来たのだ。
 その時俺はというと、息を潜めて隠れてました。

 「って、俺のクラスのモブじゃん。子猫こねこちゃん達、気にしなくても大丈夫だよ」

 と、そこで、充剣が軽く俺の事をディスりながら言ってきた。
 まあ、モブっちゃーモブなんだけど、もうちょい人の目気にしてほしい。いや、だって、俺ってお前の言うモブだよ? モブの前に同じクラスメイトなんだよ? 気にしなよ!?
 俺はそうツッコミを入れながらもどうにか顔にその気持ちを出さずに自分の席のところまで着いた。

 「ねぇ~、迅翔。私のところも触ってよぉ~~」
 「え? どうしよーかなぁー」
 「待ってよ、迅翔君! こっちの方が触り心地良いよ!!」
 「は、迅翔君。私の事好きだよね?」
 「んー。俺は皆んなの事が好きだよ」

 おふぅっ。
 そんな会話をして女子三人は、充剣を取り合っている。
 会話からしてヤバいやつなのだが、俺の目が見ている光景はもっとヤバい。
 女子三人は、充剣の右手、左手、口を使っていろんな事をしている。簡単に言うと、エッチな事をしていると言うことだ。
 というか、俺という人間がいる中でよくそんな事が出来るよなっ! まあ、俺はモブという空気扱いなのだが‥‥‥。
 どちらにせよ、俺の用事は机の中にあるのだから、見つけたらすぐおさらばしてやる。

 「よし、あった!」

 手を机の中に入れて忘れ物を見つけた俺は、小声でそう口にしてガッツポーズを決める。
 そして、次は帰るために教室から出るためにまた歩き始めた。
 と、そこで俺は、あることに気が付いた。

 「あれ? これってなんだ?」

 それは、床に何かの模様が出ていたからだ。
 不覚にも俺は声を抑えずに口に出してそう言っていた。
 その声に気づいた、充剣達四人は同時に注目をしてきた。

 「あん? どうしたモブ?」
 「ちょっと、邪魔なんだから早く行ってよ!
 「本当だよ!!」
 「行ってほしいな」

 四人にそう言われた俺。反射するように口を開く。
 今はどうでもよかった。

 「え? いや、床に変な模様が‥‥‥」
 「あ? 床に?」

 充剣は俺の言葉に返し、床を見た。

 「本当だよ!」
 「なにこれ? 映画?」
 「なんなの!?」

 女子三人は、それぞれそう口にして床に出来ている模様に興味を持った。
 そこで、俺はあることに気が付く。

 「これって、異世界でよくある『魔法陣まほうじん』だよな?」

 そう、魔法陣である。
 魔法陣は、言葉の通り魔法出て来ている陣だ。 
 しかしどうして、ここに魔法陣が?
 俺は知らないうちに脳内迷路に入っていた。

 「おい、これなんだよ!? 」

 そんな中充剣がなにかを大声でほざいているが、脳内迷路に入っている俺の耳には届かない。
 と、その時だった。
 魔法陣が急に光り輝き始めたのだ。
 俺は何事っ!って感じになったのだが、充剣達はめちゃくちゃ焦って何かを言っている。

 瞬間、視界が真っ白になる。

 その時、刈り取られるようにして俺の意識を失う。

 それと、俺が最後に考えたのは、「鈴葉が待ってるんだけど......。これは終わったな」だった。


 ***


 ーー目が覚めた。

 俺は顔に冷たさを感じて目が覚めた。
 ところどころ体が痛いが、そんな事など関係無しに今の状況が知りたくて仕方なかった。
 そもそも何故、倒れていたのか。そもそ何故、教室じゃない場所にいるのか。そもそも何故、床がこんなにも冷たいのか。
 そんな疑問で俺の脳内は埋め尽くされていた。だから、今の状況を知りたくて仕方がなかった。
 床に手をつけ体を起こす。こうでもしないと体が起きないのだ。
 地味に感じる体のだるさと重さ。この両方があるせいで、体はなんとなく異常だ。
 まあ、そんなことなどどうでもいい。
 そう思いながら俺は、前を向いた。

 その瞬間、俺の脳内の動きが止まってしまった。

 まず、ひとみに映った景色は、俺が住んでいる日本では見ることが絶対にありえないものだった。言葉で表すと、城の中。たぶんだが、ラノベに出てくる異世界の城っぽいと思う。
 次に、キラキラと輝きを放つ多くの宝石が付いた装飾品。たぶん、これはどこかの国の王様が王冠につけているものだろう。
 そして最後に、テレビでしか見たことのない色とりどりの豪華な服を着ている人たちがいたことだ。他にも銀色だと思える鉄の鎧のようなものを身に付けている人たち。

 「もしかして……」

 ふと思い俺は、口を開こうとした。だが――。

 「ようこそおいで下さいました、『異世界いせかい勇者様方ゆうしゃさまがた』」

 俺の言葉を止めるかのように挟んで、見た限りでは一番偉そうな王冠を被っている男がそう言ったのだった。

 「……だよね」

 予想通りの発言に俺は思わずそう口にしていた。
 やっぱりそう来るよね。

 そうして、俺は異世界召喚に会ってしまいました。
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