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踏み荒らされた薔薇を優しく包むのは猛獣の牙
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side楓
野上の腕に抱かれて連れて行かれたのは…まぁまぁ大きな一軒家で。
俺を抱きかかえたまま、器用にも扉を開けて中に入る。
「なぁ野上、ここ…」
「俺の家です。そのまま俺の部屋行きますよ。」
階段を登りながらそう言う野上。
てかコイツ、大学から殆ど体格差がない俺を抱えっぱなしだけど…全く辛そうじゃなくて涼しい顔してるって凄すぎない?
顔は可愛いのにこんな男らしいトコ見せられたら俺、もうどうすればいいの。
「…さっきから何可愛い顔してるんですか。」
「ふぇ?!」
かかか可愛い顔?!
突然の野上からの指摘に、素っ頓狂な声を出せば肩を揺らして笑う。
「楓さん、驚き過ぎでしょう。…赤くなったり困ったように眉を潜めたり…可愛い顔してましたよ。」
「何なんだよぉ…大人をからかうんじゃねぇよ…」
「一つしか変わりませんけど。」
相手の気持ちが分からなくて不安で、でも好きな気持ちを捨てられなくて…玉砕覚悟で告白しようとして。
そしたら好きでもない相手に襲われるなんて災難が起こって…
気づけば好きな相手に好きだと言われてこんな甘い幸せな空気に包まれている。
これが、一日の出来事。
本当、人生って何があるか分からない。
「…楓さん。」
「ん?」
「ここが…俺の部屋です。入れば…抱きます。本当に…いいんですね…?」
俺を抱きかかえる腕に力を込める野上。
その表情は…耐えている、という感じで。
もしかして…鈴木教授に口を使われた俺を気遣って聞いてる?
…一年以上片思いしていた相手に求められて…嫌な訳ないじゃんか。
むしろ…
「野上に、幸せな気分にして欲しいな…」
お前に抱かれたら、きっとさっきの事なんて吹っ飛ぶから。
きっとお前のことで頭がいっぱいで何も考えられなくなるから。
「だから…抱いて?」
野上を見上げて首を傾げれば。
「…楓さん、あんまり煽らないでください…止まらなくなる。」
コツンとオデコにオデコをくっつけて。
囁く様に言うから。
「…お前…絶対モテるだろ…」
ドキドキする気持ちを抑えて、言えば。
照れて可愛いなんてキスをされた。
…何だか甘過ぎて…
もう既に身が持たない気がする。
ーー壊れ物を扱う様に、優しく…ゆっくりとベッドに降ろされる。
包み込むようなキスをされながら…押し倒されていく。
「ふ。楓さん、真っ赤ですね。」
「…しょーがねーじゃん。好きなやつに抱かれるの、初めてなんだから。」
言えば、俺をギュッと抱きしめて、あー…なんて言ってる。
「何でそんなこと言うんですか…興奮して、本当に止められなくなりそうだ。」
耳まで真っ赤にして、そんなことを言うから。
その背中に腕を回して、抱きしめ返した。
「お前なら、いいよ。止まらなくなっても…。」
だから、ね?と見つめれば。
「楓、さん…っ」
「んっ、ん!」
深い、キス。
食い尽くされる様なキスに、息つく暇もなく。
「は、野上ぃ…っ、落ち着けって…」
「は…っ落ち着いてなんか、いられますか。あんだけ煽っておいて…」
言いながら、太ももに当たるその熱い滾り。
そっと触れれば、ビクリと体を揺らして…艶やかな吐息を吐いた。
「熱い…これ、俺のせい…?」
「っ、またそうやって煽る…。貴方以外に誰がいるんですか。」
「んふ。そっか、俺か…っぁ、ん?!」
野上の言葉が嬉しくて、更に硬くなるそれをやわやわと揉んでいれば。
いきなり感じたくすぐったさ。
見れば、野上の左手が俺の服を捲くり上げて…脇腹を擦られていて。
「ん、何、」
「いや、楓さんの肌…気持ちいいなって。」
言いながらも…その大きな手は段々と上に上がって。
気づけば服を脱がされて、上半身裸の俺。
「楓さん…乳首、立ってますよ。期待…してんですか?」
「ば、馬鹿!立ってないし!期待は…してるけど。」
「これが立ってなくて何なんですか…」
甘い表情で笑って。
その綺麗な指で…俺の片方の頂きをこねくり回す。
そして…もう片方をその色っぽい唇で啄む。
「ん…くすぐったい…」
「本当に?くすぐったいだけなんですか…?」
「ぁ、い…っ!」
言うと同時に甘噛みされて…腰が跳ねる。
「ここ…反応してますけど。」
弄る手はそのままに、あいている手で俺のそれに触れる。
「楓さん、可愛いですよ。泣きそうな顔で…耳まで真っ赤にして…」
「ん、ふ…野上、意地悪だ…」
クスクス笑って。
取り出したそれを優しく擦る。
見た目よりも柔らかい感触に…すぐに体の奥が疼き始める。
「ふ、ぁ…ゃ、触り方、やらしい…」
「楓さんは自分で腰揺らして…いやらしいですよ。」
ちゅ、とキスを落として、胸から後孔へと手を移動させる。
そこに触れて欲しい。
でも…怖い。
触れられるだけでこんなに熱くなってるのに、そこに触れられたら…おかしくなってしまいそうで。
「俺ばっか…ヤラレっぱなしはやだ。」
良いようにされたまんまも悔しくて…野上を押し返して、その腰に跨る。
「ちょ…っ」
「俺が…気持よくしてやるよ。」
嫌がる野上を抑えつけて、ズボンのチャックを下ろす。
出てきたそれは、俺が見てきた中で一番大きくて。
少し…物怖じしてしまう。
が。
「楓さん…っ!」
野上の制止を無視して、それを咥えこんだ。
「んぐ…っ」
案の定、大き過ぎるそれは口に含むのさえも大変で。
先っぽを軽くくわえる事しか出来ず。
「っ、楓…さん…っ」
「ふ、んぅ…」
だけどそんな中途半端な状態でも感じているのか…色っぽい声色で名前を呼ぶ野上。
それだけで…後ろが疼く。
「汚…いから、離してくださ…っ」
「…お前のだから、汚くないよ。」
俺の肩を押して、離そうとする野上に言えば。
全く、貴方という人は…と呆れたように笑った。
「何で…そうやって、煽るんですか…」
何かを我慢するように…辛そうに、でも色っぽく微笑んで。
グイッと思い切り押されて…気づけば視界には野上しか映らなくて。
「もう、我慢できない。…アンタのせいだからな。」
「野…っ」
切羽詰まった様な表情で、俺を見下ろして。
俺のせいだと発した唇は、息もつかせぬほどのキスを落とす。
「野、上、苦し…っ」
「…なら、止めますか?これから…もっと苦しくなりますけど。」
「…ふぇ?」
咄嗟に出た言葉に冷静に返されたけど、何か引っかかる。
「もっと…苦しくなる…?」
「言ったでしょ?アンタのせいだって。楓さんが煽るから…手加減なんて出来ませんから。」
もっと苦しくなるって。
手加減出来ないって・・・どれくらい?
余裕がなくて欲望剥き出しで俺を見下ろす野上の表情に・・・ゾクゾクとした感覚に襲われる。
触れられていないのに・・・想像だけで体が火照ってくる。
「楓さん・・・覚悟、しておいてくださいね・・・?」
「のが、み・・・?」
艶やかに笑うと・・・ゆっくりと俺のそこに指を挿入させる。
野上に触れられただけで、ビクリと体が揺れて。
女の子じゃないから。
元々受け入れる為の場所じゃないから。
濡れる筈はないそこ。
だけど、抱かれる事を知っている俺の体は・・・まるで女の子のように、腸液で濡れていた。
「はっ、楓さん。俺の指・・・すんなり入っちゃいましたけど。」
「言うなよ・・・っ」
「しかも俺の指、離してくれないんですけど。」
楽しそうに笑って、ずぶずぶと容赦ない動きで俺の中を侵す。
その長くて綺麗な指が動く度に、敏感な場所に当たって・・・。
「ふ、ぁん!!」
「楓さん・・・指、増やしますよ。」
「え、あ、やだぁ・・・んんっ!」
ただ指を入れられただけなのに。
どうしてこんな・・・っ
「野上、強いぃ・・・っ」
「まだ、指だけですよ・・・?」
全身が性感帯になってしまったんじゃないかと思う程に・・・敏感過ぎる体に既に辛い。
優しく笑う野上は・・・笑顔のまま、容赦ない動きで中を掻き回す。
風磨side
「楓さん・・・エロい顔してる・・・」
「は、も、やぁ・・・ゆび、バラバラに・・・動かすな、ァ・・・っ!」
「クスッ・・・楓さんを優しく抱きたいからですよ・・・」
「ヤダって・・・言ってるのに止めてくれないじゃん・・・っ!優しくない・・・っ」
涙目で、頬を真っ赤に染めて。
漏らす吐息は短くもしっとりとした艷を含んでいて。
そんな状態の楓さんに言われて・・・つい、意地悪をしたくなる。
「なら、止めますか?俺は楓さんが嫌なら・・・待ちますけど。」
楓さんの中に入れていた3本の指を抜いて、楓さんを見つめる。
すると抜いた俺の指をボーッと眺めていた楓さんの顔がたちまち真っ赤になり。
「の、がみの、意地悪・・・っ!おれが、どれだけお前が欲しいか、知ってるくせに・・・っ!」
両手で顔を隠すように覆って、そう告げる。
その声は、甘く・・・震えていて。
そっと、両手を除ければ・・・目を真っ赤にして、泣いていた。
「野上のバカぁ・・・!おれが嫌だって言っても、止めんなよぉ・・・っ」
「楓さん・・・」
「嫌だって、言うのは・・・恥ずかしいから・・・っ!本気でお前に触られるのが嫌な訳じゃな・・・っ、んむ!」
泣きじゃくりながら、俺へと気持ちを吐露する楓さんが可愛過ぎて。
我慢出来なくなって・・・言葉を遮って、唇を塞ぐ。
「ん、ん、はぁ・・・っ」
唇を離せばとろとろに蕩けた瞳をした楓さんが見上げていて。
その表情にこれ以上ないくらい勃った俺自身が張り詰めていて・・・痛い。
「楓さん・・・挿入れますよ・・・」
「ん、来て・・・」
俺の首に腕を回して楓さんは囁く。
が、俺自身をそこに添えれば、それだけでひくんと身体を跳ねさせる。
「ぁ、ゃ、やだァ・・・野上、俺、無理・・・」
「・・・どうして・・・?」
「怖い・・・俺、お前に抱かれたらおかしくなる気、が・・・あぁ、ん!!」
「おかしくなって良いですよ・・・っ」
この期に及んでグダグダ言い出した楓さんの言葉を無視して、挿入れば。
想像以上に柔らかくて温かなそこに、いきなり持っていかれそうになる。
「ふ、あ・・・っ、野、上ィ・・・っ!や、ぁあ・・・おっきぃ・・・っ!!」
「っ、楓さん・・・」
「あっ・・・んはぁ・・・!ん、や・・・っ奥、ダメぇえ・・・っーーー!!」
グッと奥まで腰を進めれば、間髪入れずに感じたナカの収縮と下腹辺りへの温かさ。
まさか、と楓さんを見れば真っ赤な顔を更に真っ赤にして泣きながら俺を見つめていて。
「楓さん、今・・・」
「言うな・・・!恥ずかし・・・っ?!」
奥まで挿入れただけでイった楓さんに興奮が増幅する。
「はぁ、ん・・・!デカくすんなよ・・・っ!苦し・・・っ」
「エロ過ぎる楓さんのせいですよ・・・」
「何だよ、そ・・・れぇ・・・っ!ひ、ぁん、ん・・・っ」
「楓さん・・・っ」
突き上げる度に揺れる楓さんの体。
それに伴って揺れるサラサラの黒髪。
無垢で純粋な印象を受けるその黒髪に、何故かイケナイ事をしている気分になる。
「野上・・・っ、?」
動きを止めて、その柔らかな髪の毛を梳く。
と、首に回っていた腕に力が入る。
「野上・・・」
艷を含んだその声に、楓さんを見れば。
可愛らしく唇を突き出していて。
堪らずその唇を塞いだ。
「ふぅ、ん・・・」
「っ、はぁ・・・」
深く、深く。
息もできない程に楓さんを侵食して。
再開した律動に、楓さんの体が震える。
「や、あぁ・・・!あ、ぅ・・・っんぁ・・・野、上・・・っ」
「っ、どうしました・・・?」
「あ・・・ァ・・・!も、イ・・・く、イきそ・・・」
「いいですよ・・・?イってください。」
「手・・・っ」
「手?」
「ッ・・・ギュッてして・・・っ」
ーーあぁ、もう。
アンタ、馬鹿だろ。
可愛過ぎて・・・歯止めがきかなくなる。
楓さんの両手をベッドに貼り付けるようにして、指を絡めれば嬉しそうに微笑む。
「すみません、楓さん・・・」
「ふぇ・・・?」
「アンタが可愛い過ぎて・・・もう、抑えが効かない・・・」
「へ?あ、はぁ・・・ァ、ーーーっ」
ガツガツと抉るように楓さんの奥へと腰を打ち付ける。
「ん、あ・・・ぁ、あぅ・・・っ!」
「は、」
これ以上ないくらいに揺さぶって、まるで楓さんを喰らい尽くすかの様に・・・貪欲に貪る。
俺が突き上げる度に楓さんの中はイヤらしくうねって俺のを締め付ける。
「は・・・っん・・・あ、あ・・・っイ・・・く、も、イき・・・そ・・・っ」
「ッ・・・」
「んっ、野上・・・」
「はっ、俺もーー・・・」
楓さんの中で出すのは良くないと、吐精感を耐えて引き抜こうと動く。
が。
「や・・・っ、野上・・・抜、かない・・・で・・・?」
きゅっと袖を掴まれて言われる。
その言葉と表情に・・・ゾクゾクとした感覚が背筋を駆け抜ける。
「なか・・・中に、出して・・・っ」
楓さんはぎゅっと俺に抱きつくと・・・そう、耳元で囁く。
「お前の・・・中で感じたい・・・」
「ハッ・・・楓さん・・・」
楓さんのあまりの色気に一瞬呼吸を忘れる。
こんな事言われて、我慢なんて出来るわけがない・・・っ!
「楓さん・・・っーー・・・!」
「ぅあ・・・ア・・・あァ・・・ーーーっ!!」
思い切り引いて、叩きつけるように楓さんを突き上げて。
楓さんの一番深い所で・・・精を放つ。
俺が出すと同時に絶頂を迎えた楓さんは、しばらく経っても・・・小さく体を震わせていて。
「野上・・・ぎゅってして・・・」
「っ、」
俺が抱きしめれば・・・眠るように意識を手放した。
side楓
「へ?鈴木教授が辞めた?!」
翌々日。
野上のせいで1日動けなかった俺が大学に行けば経済学の講義は調整中とのこと。
何故なのか理由を他の教授に尋ねれば返ってきたのは驚きの理由。
「何で・・・辞められたんですか・・・?」
「さぁ?それが、理由は言わずに辞められたらしいんだよ。」
「理由も無く?」
「あぁ、でも自分は何の理由もなく捕まりたくはないって言ってたね。捕まるなんて何かしてないと有り得ないのにね・・・」
その教授はそれだけ言うと去っていく。
ーー「かーえで。」
「わっ、佑。」
ポンッと肩を叩かれて振り返れば1日振りに見る佑の姿。
「お前、キスマーク付いてるで。」
「え?!」
佑の言葉に思わず首に手を当てれば、笑い声が響く。
「ハハッ!嘘や、嘘。」
「はぁ?佑?!」
「怒んなや、楓。ほやけどその感じやと上手くいったんやな、アイツと。」
「ま、まぁ・・・」
「・・・けど何で昨日休んだんや?」
「え?えーっと・・・」
・・・言えない。
中に出してくれと懇願して。
出してくれた訳だけど。
起きたら野上がちゃんと処置してくれてて。
でも、それが恥ずかしくて(所謂逆ギレして)怒ったら。
「怒ってるアンタも可愛いな・・・」
とか何とか言ってまた抱かれたなんて。
しかもアイツ体力も性欲も半端なくて・・・1日動けなくなるまで抱き潰されただなんて。
「ふはっ!」
「・・・?」
どう佑に伝えようか思案していた俺の耳に届いた音に顔を上げれば。
お腹を抱えて笑う佑がいて。
「ちょ、楓、おま・・・っ」
「・・・何で笑うの・・・」
涙を流してヒーヒー言ってる。
「はー・・・めっちゃ笑たわー。まだ腹痛い。」
お腹を擦りながら顔を上げた佑は、優しく微笑む。
「その様子やと昨日はお前にとって幸せな理由で休んだんやな。一昨日までの楓と違うてイキイキしとるわ。」
「イキイキしてる・・・?」
「しとる。あれから・・・あんまり感情を出さへんかった楓が、感情丸出しで百面相しよるんや。幸せな理由以外ないやろ。」
な?と笑う佑に、ずっと心配されていたんだ・・・と不意に目頭が熱くなる。
「ありがと・・・」
「あとは愛想つかされんように頑張りや~。」
「・・・すぐそうやっておどける。」
「怒んなや、楓・・・あ、そう言えば鈴木教授辞めたんやな。急やったよなー。楓の仲良しやったやろ?」
「仲良しではないけど・・・何か捕まりたくないって辞めたって。」
俺の言葉に、明後日の方向を見る。
「そういやぁ・・・泣きそうな顔で電話しとる教授見たで?もう楓には近づかんから許してや言いよった。」
「・・・俺?」
「おう。ほなけど相手許さんかったみたいで、辞めるって何回か言いよったで。」
佑の言葉に思い当たる人物を思案するも・・・思いつかない。
「誰だろ・・・」
「ほぅやなぁ・・・楓の近くにおって教授の事を良く思わんヤツやないか?」
俺の近くに居て、教授をよく思わないやつ・・・?
「それこそお前のツレ・・・野上やっけ?あいつ、お前が教授と居った言うたら俺を怒鳴りつけて凄い形相で駆けてったで。あいつかもしれんよな。」
最近の若いもんは血気盛んよな、なんて言いながら笑う。
ーーもし。
もしも野上が俺の近くに居て、教授を良く思わないヤツだとして。
何故あいつからの電話で教授は辞めたんだ・・・?
「ーーあ。ほしたら俺行くわ。」
「え?あ、うん。」
佑の言葉に顔を上げれば、佑の視線の先には野上が居て。
「大事にせぇよ。せっかく手に入れた幸せやからな。」
クシャっと頭を撫でると去っていく。
こんな俺を見守ってくれている佑は・・・本当にいいヤツだ。
「楓さん、もう講義は終わりですか?」
「うん。もう終わり。野上は?」
「俺も終わりました。何処か行きますか?」
歩き始めていた俺に追い付くと同じ歩幅で歩いてくれる。
「どうしよっかなー・・・てかさ、野上。」
「何ですか?」
「鈴木教授が辞めたらしいんだけど・・・お前、何か知らない?」
立ち止まって見上げて問う。
すると、ふっと笑って。
「・・・知りません。」
その笑みを崩さずに歩き始める。
「お前・・・絶対何か知ってるだろ・・・」
「知りませんよ。あんまり言ってるとここでキスしますよ。」
「な・・・っ」
真っ赤になる俺を他所に優しく微笑む。
ーー教授の件は結局うやむやにされたけど・・・
俺としては、野上がやったのであって欲しいなぁなんて。
「楓さん、顔真っ赤ですね。」
「・・・お前のせいだろ。」
好きな人と両想いになって、守られて、なんて。
俺、幸せ過ぎじゃない・・・?
fin.
野上の腕に抱かれて連れて行かれたのは…まぁまぁ大きな一軒家で。
俺を抱きかかえたまま、器用にも扉を開けて中に入る。
「なぁ野上、ここ…」
「俺の家です。そのまま俺の部屋行きますよ。」
階段を登りながらそう言う野上。
てかコイツ、大学から殆ど体格差がない俺を抱えっぱなしだけど…全く辛そうじゃなくて涼しい顔してるって凄すぎない?
顔は可愛いのにこんな男らしいトコ見せられたら俺、もうどうすればいいの。
「…さっきから何可愛い顔してるんですか。」
「ふぇ?!」
かかか可愛い顔?!
突然の野上からの指摘に、素っ頓狂な声を出せば肩を揺らして笑う。
「楓さん、驚き過ぎでしょう。…赤くなったり困ったように眉を潜めたり…可愛い顔してましたよ。」
「何なんだよぉ…大人をからかうんじゃねぇよ…」
「一つしか変わりませんけど。」
相手の気持ちが分からなくて不安で、でも好きな気持ちを捨てられなくて…玉砕覚悟で告白しようとして。
そしたら好きでもない相手に襲われるなんて災難が起こって…
気づけば好きな相手に好きだと言われてこんな甘い幸せな空気に包まれている。
これが、一日の出来事。
本当、人生って何があるか分からない。
「…楓さん。」
「ん?」
「ここが…俺の部屋です。入れば…抱きます。本当に…いいんですね…?」
俺を抱きかかえる腕に力を込める野上。
その表情は…耐えている、という感じで。
もしかして…鈴木教授に口を使われた俺を気遣って聞いてる?
…一年以上片思いしていた相手に求められて…嫌な訳ないじゃんか。
むしろ…
「野上に、幸せな気分にして欲しいな…」
お前に抱かれたら、きっとさっきの事なんて吹っ飛ぶから。
きっとお前のことで頭がいっぱいで何も考えられなくなるから。
「だから…抱いて?」
野上を見上げて首を傾げれば。
「…楓さん、あんまり煽らないでください…止まらなくなる。」
コツンとオデコにオデコをくっつけて。
囁く様に言うから。
「…お前…絶対モテるだろ…」
ドキドキする気持ちを抑えて、言えば。
照れて可愛いなんてキスをされた。
…何だか甘過ぎて…
もう既に身が持たない気がする。
ーー壊れ物を扱う様に、優しく…ゆっくりとベッドに降ろされる。
包み込むようなキスをされながら…押し倒されていく。
「ふ。楓さん、真っ赤ですね。」
「…しょーがねーじゃん。好きなやつに抱かれるの、初めてなんだから。」
言えば、俺をギュッと抱きしめて、あー…なんて言ってる。
「何でそんなこと言うんですか…興奮して、本当に止められなくなりそうだ。」
耳まで真っ赤にして、そんなことを言うから。
その背中に腕を回して、抱きしめ返した。
「お前なら、いいよ。止まらなくなっても…。」
だから、ね?と見つめれば。
「楓、さん…っ」
「んっ、ん!」
深い、キス。
食い尽くされる様なキスに、息つく暇もなく。
「は、野上ぃ…っ、落ち着けって…」
「は…っ落ち着いてなんか、いられますか。あんだけ煽っておいて…」
言いながら、太ももに当たるその熱い滾り。
そっと触れれば、ビクリと体を揺らして…艶やかな吐息を吐いた。
「熱い…これ、俺のせい…?」
「っ、またそうやって煽る…。貴方以外に誰がいるんですか。」
「んふ。そっか、俺か…っぁ、ん?!」
野上の言葉が嬉しくて、更に硬くなるそれをやわやわと揉んでいれば。
いきなり感じたくすぐったさ。
見れば、野上の左手が俺の服を捲くり上げて…脇腹を擦られていて。
「ん、何、」
「いや、楓さんの肌…気持ちいいなって。」
言いながらも…その大きな手は段々と上に上がって。
気づけば服を脱がされて、上半身裸の俺。
「楓さん…乳首、立ってますよ。期待…してんですか?」
「ば、馬鹿!立ってないし!期待は…してるけど。」
「これが立ってなくて何なんですか…」
甘い表情で笑って。
その綺麗な指で…俺の片方の頂きをこねくり回す。
そして…もう片方をその色っぽい唇で啄む。
「ん…くすぐったい…」
「本当に?くすぐったいだけなんですか…?」
「ぁ、い…っ!」
言うと同時に甘噛みされて…腰が跳ねる。
「ここ…反応してますけど。」
弄る手はそのままに、あいている手で俺のそれに触れる。
「楓さん、可愛いですよ。泣きそうな顔で…耳まで真っ赤にして…」
「ん、ふ…野上、意地悪だ…」
クスクス笑って。
取り出したそれを優しく擦る。
見た目よりも柔らかい感触に…すぐに体の奥が疼き始める。
「ふ、ぁ…ゃ、触り方、やらしい…」
「楓さんは自分で腰揺らして…いやらしいですよ。」
ちゅ、とキスを落として、胸から後孔へと手を移動させる。
そこに触れて欲しい。
でも…怖い。
触れられるだけでこんなに熱くなってるのに、そこに触れられたら…おかしくなってしまいそうで。
「俺ばっか…ヤラレっぱなしはやだ。」
良いようにされたまんまも悔しくて…野上を押し返して、その腰に跨る。
「ちょ…っ」
「俺が…気持よくしてやるよ。」
嫌がる野上を抑えつけて、ズボンのチャックを下ろす。
出てきたそれは、俺が見てきた中で一番大きくて。
少し…物怖じしてしまう。
が。
「楓さん…っ!」
野上の制止を無視して、それを咥えこんだ。
「んぐ…っ」
案の定、大き過ぎるそれは口に含むのさえも大変で。
先っぽを軽くくわえる事しか出来ず。
「っ、楓…さん…っ」
「ふ、んぅ…」
だけどそんな中途半端な状態でも感じているのか…色っぽい声色で名前を呼ぶ野上。
それだけで…後ろが疼く。
「汚…いから、離してくださ…っ」
「…お前のだから、汚くないよ。」
俺の肩を押して、離そうとする野上に言えば。
全く、貴方という人は…と呆れたように笑った。
「何で…そうやって、煽るんですか…」
何かを我慢するように…辛そうに、でも色っぽく微笑んで。
グイッと思い切り押されて…気づけば視界には野上しか映らなくて。
「もう、我慢できない。…アンタのせいだからな。」
「野…っ」
切羽詰まった様な表情で、俺を見下ろして。
俺のせいだと発した唇は、息もつかせぬほどのキスを落とす。
「野、上、苦し…っ」
「…なら、止めますか?これから…もっと苦しくなりますけど。」
「…ふぇ?」
咄嗟に出た言葉に冷静に返されたけど、何か引っかかる。
「もっと…苦しくなる…?」
「言ったでしょ?アンタのせいだって。楓さんが煽るから…手加減なんて出来ませんから。」
もっと苦しくなるって。
手加減出来ないって・・・どれくらい?
余裕がなくて欲望剥き出しで俺を見下ろす野上の表情に・・・ゾクゾクとした感覚に襲われる。
触れられていないのに・・・想像だけで体が火照ってくる。
「楓さん・・・覚悟、しておいてくださいね・・・?」
「のが、み・・・?」
艶やかに笑うと・・・ゆっくりと俺のそこに指を挿入させる。
野上に触れられただけで、ビクリと体が揺れて。
女の子じゃないから。
元々受け入れる為の場所じゃないから。
濡れる筈はないそこ。
だけど、抱かれる事を知っている俺の体は・・・まるで女の子のように、腸液で濡れていた。
「はっ、楓さん。俺の指・・・すんなり入っちゃいましたけど。」
「言うなよ・・・っ」
「しかも俺の指、離してくれないんですけど。」
楽しそうに笑って、ずぶずぶと容赦ない動きで俺の中を侵す。
その長くて綺麗な指が動く度に、敏感な場所に当たって・・・。
「ふ、ぁん!!」
「楓さん・・・指、増やしますよ。」
「え、あ、やだぁ・・・んんっ!」
ただ指を入れられただけなのに。
どうしてこんな・・・っ
「野上、強いぃ・・・っ」
「まだ、指だけですよ・・・?」
全身が性感帯になってしまったんじゃないかと思う程に・・・敏感過ぎる体に既に辛い。
優しく笑う野上は・・・笑顔のまま、容赦ない動きで中を掻き回す。
風磨side
「楓さん・・・エロい顔してる・・・」
「は、も、やぁ・・・ゆび、バラバラに・・・動かすな、ァ・・・っ!」
「クスッ・・・楓さんを優しく抱きたいからですよ・・・」
「ヤダって・・・言ってるのに止めてくれないじゃん・・・っ!優しくない・・・っ」
涙目で、頬を真っ赤に染めて。
漏らす吐息は短くもしっとりとした艷を含んでいて。
そんな状態の楓さんに言われて・・・つい、意地悪をしたくなる。
「なら、止めますか?俺は楓さんが嫌なら・・・待ちますけど。」
楓さんの中に入れていた3本の指を抜いて、楓さんを見つめる。
すると抜いた俺の指をボーッと眺めていた楓さんの顔がたちまち真っ赤になり。
「の、がみの、意地悪・・・っ!おれが、どれだけお前が欲しいか、知ってるくせに・・・っ!」
両手で顔を隠すように覆って、そう告げる。
その声は、甘く・・・震えていて。
そっと、両手を除ければ・・・目を真っ赤にして、泣いていた。
「野上のバカぁ・・・!おれが嫌だって言っても、止めんなよぉ・・・っ」
「楓さん・・・」
「嫌だって、言うのは・・・恥ずかしいから・・・っ!本気でお前に触られるのが嫌な訳じゃな・・・っ、んむ!」
泣きじゃくりながら、俺へと気持ちを吐露する楓さんが可愛過ぎて。
我慢出来なくなって・・・言葉を遮って、唇を塞ぐ。
「ん、ん、はぁ・・・っ」
唇を離せばとろとろに蕩けた瞳をした楓さんが見上げていて。
その表情にこれ以上ないくらい勃った俺自身が張り詰めていて・・・痛い。
「楓さん・・・挿入れますよ・・・」
「ん、来て・・・」
俺の首に腕を回して楓さんは囁く。
が、俺自身をそこに添えれば、それだけでひくんと身体を跳ねさせる。
「ぁ、ゃ、やだァ・・・野上、俺、無理・・・」
「・・・どうして・・・?」
「怖い・・・俺、お前に抱かれたらおかしくなる気、が・・・あぁ、ん!!」
「おかしくなって良いですよ・・・っ」
この期に及んでグダグダ言い出した楓さんの言葉を無視して、挿入れば。
想像以上に柔らかくて温かなそこに、いきなり持っていかれそうになる。
「ふ、あ・・・っ、野、上ィ・・・っ!や、ぁあ・・・おっきぃ・・・っ!!」
「っ、楓さん・・・」
「あっ・・・んはぁ・・・!ん、や・・・っ奥、ダメぇえ・・・っーーー!!」
グッと奥まで腰を進めれば、間髪入れずに感じたナカの収縮と下腹辺りへの温かさ。
まさか、と楓さんを見れば真っ赤な顔を更に真っ赤にして泣きながら俺を見つめていて。
「楓さん、今・・・」
「言うな・・・!恥ずかし・・・っ?!」
奥まで挿入れただけでイった楓さんに興奮が増幅する。
「はぁ、ん・・・!デカくすんなよ・・・っ!苦し・・・っ」
「エロ過ぎる楓さんのせいですよ・・・」
「何だよ、そ・・・れぇ・・・っ!ひ、ぁん、ん・・・っ」
「楓さん・・・っ」
突き上げる度に揺れる楓さんの体。
それに伴って揺れるサラサラの黒髪。
無垢で純粋な印象を受けるその黒髪に、何故かイケナイ事をしている気分になる。
「野上・・・っ、?」
動きを止めて、その柔らかな髪の毛を梳く。
と、首に回っていた腕に力が入る。
「野上・・・」
艷を含んだその声に、楓さんを見れば。
可愛らしく唇を突き出していて。
堪らずその唇を塞いだ。
「ふぅ、ん・・・」
「っ、はぁ・・・」
深く、深く。
息もできない程に楓さんを侵食して。
再開した律動に、楓さんの体が震える。
「や、あぁ・・・!あ、ぅ・・・っんぁ・・・野、上・・・っ」
「っ、どうしました・・・?」
「あ・・・ァ・・・!も、イ・・・く、イきそ・・・」
「いいですよ・・・?イってください。」
「手・・・っ」
「手?」
「ッ・・・ギュッてして・・・っ」
ーーあぁ、もう。
アンタ、馬鹿だろ。
可愛過ぎて・・・歯止めがきかなくなる。
楓さんの両手をベッドに貼り付けるようにして、指を絡めれば嬉しそうに微笑む。
「すみません、楓さん・・・」
「ふぇ・・・?」
「アンタが可愛い過ぎて・・・もう、抑えが効かない・・・」
「へ?あ、はぁ・・・ァ、ーーーっ」
ガツガツと抉るように楓さんの奥へと腰を打ち付ける。
「ん、あ・・・ぁ、あぅ・・・っ!」
「は、」
これ以上ないくらいに揺さぶって、まるで楓さんを喰らい尽くすかの様に・・・貪欲に貪る。
俺が突き上げる度に楓さんの中はイヤらしくうねって俺のを締め付ける。
「は・・・っん・・・あ、あ・・・っイ・・・く、も、イき・・・そ・・・っ」
「ッ・・・」
「んっ、野上・・・」
「はっ、俺もーー・・・」
楓さんの中で出すのは良くないと、吐精感を耐えて引き抜こうと動く。
が。
「や・・・っ、野上・・・抜、かない・・・で・・・?」
きゅっと袖を掴まれて言われる。
その言葉と表情に・・・ゾクゾクとした感覚が背筋を駆け抜ける。
「なか・・・中に、出して・・・っ」
楓さんはぎゅっと俺に抱きつくと・・・そう、耳元で囁く。
「お前の・・・中で感じたい・・・」
「ハッ・・・楓さん・・・」
楓さんのあまりの色気に一瞬呼吸を忘れる。
こんな事言われて、我慢なんて出来るわけがない・・・っ!
「楓さん・・・っーー・・・!」
「ぅあ・・・ア・・・あァ・・・ーーーっ!!」
思い切り引いて、叩きつけるように楓さんを突き上げて。
楓さんの一番深い所で・・・精を放つ。
俺が出すと同時に絶頂を迎えた楓さんは、しばらく経っても・・・小さく体を震わせていて。
「野上・・・ぎゅってして・・・」
「っ、」
俺が抱きしめれば・・・眠るように意識を手放した。
side楓
「へ?鈴木教授が辞めた?!」
翌々日。
野上のせいで1日動けなかった俺が大学に行けば経済学の講義は調整中とのこと。
何故なのか理由を他の教授に尋ねれば返ってきたのは驚きの理由。
「何で・・・辞められたんですか・・・?」
「さぁ?それが、理由は言わずに辞められたらしいんだよ。」
「理由も無く?」
「あぁ、でも自分は何の理由もなく捕まりたくはないって言ってたね。捕まるなんて何かしてないと有り得ないのにね・・・」
その教授はそれだけ言うと去っていく。
ーー「かーえで。」
「わっ、佑。」
ポンッと肩を叩かれて振り返れば1日振りに見る佑の姿。
「お前、キスマーク付いてるで。」
「え?!」
佑の言葉に思わず首に手を当てれば、笑い声が響く。
「ハハッ!嘘や、嘘。」
「はぁ?佑?!」
「怒んなや、楓。ほやけどその感じやと上手くいったんやな、アイツと。」
「ま、まぁ・・・」
「・・・けど何で昨日休んだんや?」
「え?えーっと・・・」
・・・言えない。
中に出してくれと懇願して。
出してくれた訳だけど。
起きたら野上がちゃんと処置してくれてて。
でも、それが恥ずかしくて(所謂逆ギレして)怒ったら。
「怒ってるアンタも可愛いな・・・」
とか何とか言ってまた抱かれたなんて。
しかもアイツ体力も性欲も半端なくて・・・1日動けなくなるまで抱き潰されただなんて。
「ふはっ!」
「・・・?」
どう佑に伝えようか思案していた俺の耳に届いた音に顔を上げれば。
お腹を抱えて笑う佑がいて。
「ちょ、楓、おま・・・っ」
「・・・何で笑うの・・・」
涙を流してヒーヒー言ってる。
「はー・・・めっちゃ笑たわー。まだ腹痛い。」
お腹を擦りながら顔を上げた佑は、優しく微笑む。
「その様子やと昨日はお前にとって幸せな理由で休んだんやな。一昨日までの楓と違うてイキイキしとるわ。」
「イキイキしてる・・・?」
「しとる。あれから・・・あんまり感情を出さへんかった楓が、感情丸出しで百面相しよるんや。幸せな理由以外ないやろ。」
な?と笑う佑に、ずっと心配されていたんだ・・・と不意に目頭が熱くなる。
「ありがと・・・」
「あとは愛想つかされんように頑張りや~。」
「・・・すぐそうやっておどける。」
「怒んなや、楓・・・あ、そう言えば鈴木教授辞めたんやな。急やったよなー。楓の仲良しやったやろ?」
「仲良しではないけど・・・何か捕まりたくないって辞めたって。」
俺の言葉に、明後日の方向を見る。
「そういやぁ・・・泣きそうな顔で電話しとる教授見たで?もう楓には近づかんから許してや言いよった。」
「・・・俺?」
「おう。ほなけど相手許さんかったみたいで、辞めるって何回か言いよったで。」
佑の言葉に思い当たる人物を思案するも・・・思いつかない。
「誰だろ・・・」
「ほぅやなぁ・・・楓の近くにおって教授の事を良く思わんヤツやないか?」
俺の近くに居て、教授をよく思わないやつ・・・?
「それこそお前のツレ・・・野上やっけ?あいつ、お前が教授と居った言うたら俺を怒鳴りつけて凄い形相で駆けてったで。あいつかもしれんよな。」
最近の若いもんは血気盛んよな、なんて言いながら笑う。
ーーもし。
もしも野上が俺の近くに居て、教授を良く思わないヤツだとして。
何故あいつからの電話で教授は辞めたんだ・・・?
「ーーあ。ほしたら俺行くわ。」
「え?あ、うん。」
佑の言葉に顔を上げれば、佑の視線の先には野上が居て。
「大事にせぇよ。せっかく手に入れた幸せやからな。」
クシャっと頭を撫でると去っていく。
こんな俺を見守ってくれている佑は・・・本当にいいヤツだ。
「楓さん、もう講義は終わりですか?」
「うん。もう終わり。野上は?」
「俺も終わりました。何処か行きますか?」
歩き始めていた俺に追い付くと同じ歩幅で歩いてくれる。
「どうしよっかなー・・・てかさ、野上。」
「何ですか?」
「鈴木教授が辞めたらしいんだけど・・・お前、何か知らない?」
立ち止まって見上げて問う。
すると、ふっと笑って。
「・・・知りません。」
その笑みを崩さずに歩き始める。
「お前・・・絶対何か知ってるだろ・・・」
「知りませんよ。あんまり言ってるとここでキスしますよ。」
「な・・・っ」
真っ赤になる俺を他所に優しく微笑む。
ーー教授の件は結局うやむやにされたけど・・・
俺としては、野上がやったのであって欲しいなぁなんて。
「楓さん、顔真っ赤ですね。」
「・・・お前のせいだろ。」
好きな人と両想いになって、守られて、なんて。
俺、幸せ過ぎじゃない・・・?
fin.
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