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好きな人に嫌われていても。
⒉
しおりを挟む勤務時間外の練習もいれると、ほとんど休みがなく働いているわたし。
だけど唯一の趣味が、SNSだった。
特に載せたい写真があるわけでも、発信したい特別なことかあるわけでもない。
でもただ『仕事いってきます!』といえば『いってらっしゃい。』と言ってくれる。
『ただいま。』といえば『今日もお疲れ。』と帰ってくる。
そういう居場所があるのが嬉しくて、わたしの心の支えになっているのだ。
その中で1番親しくなったのが、『夏』という名前の人。
それが本名なのかも、年齢がいくつなのかも、男性なのかも、女性なのかもわからない。
だけど夏は、わたしの小さな呟きにも反応してくれる。
忙しく生きる毎日で、友達と過ごす時間もほとんどなくなってしまったけど…
それでもわたしの存在を認めてくれる人がいるようで、すごく心が温まるんだ。
それが嬉しくて、最近は毎日のようにやりとりをしている。
そんな夏とのやりとりの中で、昨日こんな話になった。
『それだけ厳しい仕事なのに、頑張れるのはどうして?』
夏からそう尋ねられて、気づいた。
自分でも考えたことはなかったのだと。
元々この仕事を始めたのは、cafe greenのことが好きで、自分もこんな風に素敵なお店を開きたいと思ったから。
だけどどんなに夢見ていても、途中で挫折してしまう人はきっとたくさんいる。
わたしだって、何度も辞めたいと思ったことはあった。
だけどそれでも続けてこられたのは、きっと「自分の店を開きたいから」という夢だけが理由じゃないと思う。
『諦めたくないから。わたし頑固だから、一度やるって思ったらやりたいんだと思う。自分との約束を守らないと、自分を嫌いになっちゃう気がする。』
自分でもよくわからなかったけれど、思ったままのきもちを夏に伝えた。
うまく言葉にできなくても、夏はいつもわかろうとしてくれる。
『そっか。白は真っ直ぐだね。』
白っていうのは、わたしのこと。
SNSを始める時に全然思いつかなくて、本名の紗良という響きを少し変えただけ。
でも、なんだかんだ今では気に入ってるんだ。
現実の自分とは関係ない、真っ白な自分でいられるような気がして。
だけどこうして夏が褒めてくれたのを聞いて、少し罪悪感が生まれてしまった。
本当はもう1つ、頑張る理由があったんだけど…幻滅されるのが嫌で言えなかったんだ。
でもこのまま言わないなんて、夏を騙しているみたいで嫌だから。
勇気を出して、初めて言葉にした。
『職場に好きな人がいる。
たぶん嫌われているけど。』
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