ヒーローをめざした少年

古明地 蓮

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ヒーローになりたくて

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次の日
いつも通りに登校すると、異様な雰囲気が拡がっていた。

「何あんなクズに関わってんだよ!!
   オラ!!」

「あんなやつに関わるとか、キッモ
   吐きそうになるんだけど
   こっち見ないでくんない」

僕と同じ委員会になった彼女が囲まれていた。
しかも、なんか俺に関わったせいでそうなってんのかな。
じゃあ、なんで直接俺のとこ来ないんだよ
もしかして、俺には勝てないと思ってんのかな
てか、ここってたしか頭いい高校なんだよね?
なんでこんなバカみたいなやつらが、いじめやってんの?
こんなやつはまず、高校が入学させんなよ
まあ、火種が俺に飛ばないならいっか。
そんな、所謂傍観者的立ち位置に立とうと思っていた。

それから、昼休みになり、いつもの様に屋上に上がろうとすると

「ジュース買っといてよ
   私たちの分全部」

さっきの連中がまたいじめを繰り広げていた。
さすがに怒りを覚えたが、別に僕には関係ないし。
見て見ぬふりをするようにして、屋上へ駆け上った。
屋上には誰もいなかったから、すごい静かになっていた。
取り敢えず昼食を食べたが、味はよくわからなかった。
そして、寝っ転がって、また考える。
今僕は何をするべきなんだろうと

ヒーローだったこんな時に何をするのかな
いじめを止めに行くんだろうか?
いじめを止めるならどうやって?
いじめをしているヤツらを殴る?
でも、そしたらエスカレートするかもしれない
いじめが全部僕にむくように仕向ける必要があるんだろうな
もしそうするなら、今はどうするべきなんだろう
まあ、とりあえずやってみようかな
あいつらに喧嘩売ってみて、全力で煽ってやればいい
まあ、そうそう喧嘩で負けることは無いだろうし、平気だろう
放課後にでもやってみるか

そう心に決めて、屋上をあとにするのであった。
教室では、いじめは行っていなかった。
というか、みんなもう席に着いて待っていた。
どうやら考え込んでいたせいで、授業に遅刻してしまったみたいだ。
まあ、先生も俺がやばいやつと認識しているせいか、特に何も言われなかった。
それを良いことに、取り敢えず席について授業を受けた。
それにしても、なんであんなバカみたいないじめをやるのだろうか。
しかも、僕にビビったのか、直接僕のところには来ない。
僕に近づいてきたやつをいじめるとかいうよくわからんことをしている
そんなことをするぐらいなら、直接僕のところに来ればいいのに
まあ、あいつらは弱いと思ったやつしかいじめないか
全く、俺に関わっただけでいじめられるとか、俺まで悪い気がするじゃん
別に俺は何もした覚えはないのだけど

なんて、ぼーっとしていたら、午後の授業とホームルームは終わってしまった。
考え事をしている時は、時間が過ぎるのは速い
適当に帰りの支度を済ませ、じっと彼女の周辺の動向をみていた。
だんだんと生徒が少なくなり、いじめ組と彼女と僕だけになった頃

「やっとあんたで遊べるようになったんだけど
   喜べよ!!」

といって、彼女の椅子が蹴り飛ばされた時

「何してんだよ、クズが」

気がつけば体が勝手に動き、椅子を蹴ったやつに殴りかかっていた。

「なんだよ
   やんのか、オラ!!」

といって、相手が殴りかかってきた。

「お前みたいなクズには負けねえよ」

相手の拳を受止め、顔面を殴った。
机やイスが倒れ、うるさく鳴り響く。

「何してくれてんだよ
   このクズが!!」

周りの連中が殴りかかってきた。
4人ぐらいだろうか。

「雑魚が」

と、吐き捨てて、最初に殴りかかってきたやつの頭をつかみ、頭突きした。
さっきのやつと同じように、椅子や机にぶつかって倒れ込んだ。
できれば、あまり喧嘩をせずに済まそうと思っていたため、リーダー的なやつを潰せば終わればいいと思っていたが

「ナメてんじゃねえぞ」

残りの連中もかかってくるみたいだ。
それから、全員が2回ずつ潰されるまで、5分とかからなかった。
こんなに弱いなら、いじめなんかしなきゃいいのに。
すると、いじめられてた人から

「あの、助けてくれたんですか?」

「まあ、そんなとこかな」

「あ、ありがとうございます」

「別にいいよ
   それより、君は怪我ないかい?」

「怪我は特にないです」

「それなら、良かった」

「なんてお礼したらいいか」

「いいよ、自分勝手にやっただけだし
   それより、気をつけて帰るんだよ」

「わかりました
   また明日」

そう言い残して、彼女は去っていった。
少しでもヒーローっぽい受け答えができたかな
彼女の心を救えたらいいのだが
ただ、これで僕のところにいじめが来るかはわからない
だから、ちょっと悪いこととはわかっていたが、そいつらの机とロッカーを荒らして帰路に着いた。
ロッカーは扉が凹み、中身はぶちまけておいた。
机の中身も、適当に捨てておいた。
これで、きっとこいつらの怒りは僕にむくだろう。
そう思って、家に帰った。
まあ、家に襲いに来るとかいうバカみたいなことはされなかったが、それでも少し心配していた。
自分に全て降かかるならいいが、他の人は巻き込みたくなかったからだ。
だから、少し恐怖に振るえていて、なかなか寝付けなかったから、すごい眠い。
朝の支度をして学校に向かうと、すぐに異変が起きていた。
まず下駄箱にが荒らされていた。
虫やらゴミやらが入っていた。
まあ、それを予知していたわけじゃないが、一応上履きは、昨日持ち帰っていたので、被害は少なかった。
教室に入ると、まず僕の机がなかった。
次に、ロッカーが潰されていた。

「はあ
   めんどくせぇ」

机なんて、今は誰がどれなんて分かりはしない。
だから、いじめ組の親玉が来ていないのをいいことに、そいつの机を奪った。
いじめ組も、僕の前では怖気付いて、何もしてこなかった。
ロッカーは特になくても問題ないので、そのままにしておく予定だったが、一応治しておいた。
これを教師に見られるとめんどくさいと思ったからだ。
潰れたものも、力任せにやれば治るもんだ。
適当ではあるが、とりあえずものが入るようにはしておいた。
そうやって、いじめを一つ一つ対応していくと、ロッカーに入ってた教科書になにか挟まっていた。
小さい紙切れだった。
そこには

「昼休みか放課後に屋上に来てください」

と書いてあった。
まだ、入ってから間もないから、誰の字かはわからない。
が、多分だけど女子の字だ。
あのいじめ組の中に女子はいなった気がする。
ならば誰なのだろうか。
そんな疑問を抱えながら、朝の支度を進めるのだった。
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