人生は小説よりも奇なるか

古明地 蓮

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そして多彩に至る

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中学の最初のクラスは、ただただうるさいクラスだったが、あまり仲のいい人はいなかった。
まあ、数人は友達と呼べるくらいにはなったが、それ以上ではなかった。
だからか、誰とも会話をしなくても何も思われなかった。
最初はそれでよかったのだ。
しかし、事件が起きる

クラス替えだ

これは神の悪戯か、悪魔の罠か
はたまたこの少年の奇跡的運命なのか
何れにせよ、彼の運命と心を大きく変えることとなる

多分クラス替えをするとき、先生もこの少年のことを心配になったのだろう
普通ならあまりしない「少年の仲のいい人を、前のクラスから集めた」クラス編成だったのだ
さっき言ったような、友達は全員次のクラスにも持ち越された
しかも、家が近いから少しだけ話したことのある、違うクラスだった人も同じクラスになった。

これは、最初は逆効果になった。
仲のいい人が多すぎたせいで、周囲が荒れてしまった。
問題行動も多くなり、提出物も出さなくなった。
何度も先生に呼び出され、授業が潰れることさえあった。

少年は、それが楽しかった。
けど、段々と周りから人が減っていった。
ただ、ひとつ大きな問題を起こした。

傍観者の私には、何が起きたのかは分からない。
しかし、この問題をきっかけに少しだけ性格が変わった。

ほんの少しだけ、真面目になった。

普通の人と比べれば、不真面目だろう
しかし、少しづつ変わっていく
少しだけ提出物を出し、少しだけ授業を聞くようになった。

友達も少し増えた
趣味も増えて、仲間が増えた

このまま、3年生に上がった。

3年生の最初も、特に何事も無く進んで行く
友達とふざけながら、色んな楽しいことに手を出した。
数学とかコンピューターとか、色んな勉強をしていた

修学旅行が終わる頃
少年は変わってしまった。
全然変わってしまった。

珍しい他己中心主義的になった。
そして平和主義者になった。

修学旅行のすぐあとに文化祭がある
受験生にとっては、適当に終わらせるものだ。
他の人は、ほとんど働いてくれない。

けど、彼はただただ働いた。
社畜的になってしまった
なんて書くと、本当の社畜に怒られるかもしれない
しかし、実際にそのまんまだった。

勉強する時間以外は、全て動画編集に当てた。
睡眠時間は3時間ほどになっていた。
休み時間も全て作業に当てた

これを聞くと、よくやりきったと思うだろう
少年は、1人ではなかったのだ。

まず、同士がいた。

仲のいいやつで、動画編集を二人でやった。
後でこいつは少年に恨まれるのだが、それは未来の話

次に、上司がいた。
同学年の仕事を押し付けてくる人がいた。
この人は、働いていなかった訳では無い
クラスをまとめたり、様々な準備をしてくれていた。
しかし、めんどくさい仕事は全て押し付けてくる、所謂上司だった。

この3人が主になり、仕事をしていた。
この3人の主な仕事は、PR動画の作成がメインだった。
他にも様々な仕事があったけど、多分これが一番大変だった。

娼年の主な仕事は、音声編集だった。
クラスの人の声を編集して、動画に使えるようにする仕事だ。
感覚的にはただの下請けだ。

そして、もう1人の同士が、メインの動画編集をしてくれた。
上司は、使える音楽をかき集めてくれた。
これで上手くいくはずだった。

しかし、問題が起きる。

何故かこのクラスだけ、著作権で文句をつけられたのだ。

ほかのクラスや、以前の先輩たちは文句を言われてはいなかった。
しかし、このクラスだけ、著作権に引っかかるから取り消せと言われた。

これには、この三人は参ってしまった。

今更作り直すのか
それとも、制作を諦めるのか

この決定には、時間を要する筈だった
上司の一言さえなければ

このことを告げられた瞬間、上司が

「この人たちが作るからいいです」

と言って、制作し直しを決定したのだ。
しかも、さらなる問題が発生する。

同士が抜けたのだ。
別の仕事をやらなければいけないと言って、作業から抜けてしまった。

結局、少年は全ての作業を一人でやることになったのだ。
しかも、期限は3日

この無茶苦茶な仕事を、自己犠牲の果てに成功させたのだ。
多分ほとんど寝ていなかった。
そして、何とか一人で動画を完成させ、公開したのだ。

因みに、このクラスの発表は演劇だった。
少年は、表に立つのが嫌いだったけど、みんなのためになりたかった。
だから、音響照明を自ら選んだ。

そして、見事に文化祭を完成させた彼は、今も人のために過ごしているだろう
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