あの七夕の日を忘れない 〜もしも天の川が崩れたら〜

古明地 蓮

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お菓子をくれなきゃ...

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暁さんの家に住み始めてから。何カ月がたったんだろう。
もう思い出せないほど長い間ここにいる気がする。
もう毎日のルーティーンが完全に暁さんの家に特化してしまっている。

病院にいた時だと、窓側にいたせいで朝日にたたき起こされていた。
だから、いつ起きるかは季節によって少し差はあったけど、それでもかなり早かった。
目が覚める時間までの話で、体が起きるまでではなかったけど。
それが、暁さんの家に来てからは、本当に自分で起きるという習慣がなくなってしまった。

「お兄ちゃん、起きてる?」

と言いながら、彼方がどんどんとドアをノックしてくる。
布団の中でぐずっている僕は、そこから一歩も動こうとしないで、適当に返事だけ返そうとする。
でも、その目論見も彼方には先を読まれてしまって、勝手に部屋に入られてしまう。
そして、僕の上に乗ると

「早く起きないと、お姉ちゃんが焼いてくれたパンがなくなっちゃうよ」

と言いながら、僕のことをゆすってくる。
半分ぐらいしか覚醒してない意識が、まだ寝れると悪魔のささやきをしてくる。
でも、僕が悪魔に負けないように、全力で彼方が体をゆすってkるから、結局僕の悪魔も負けた。
自分の体にかかっていた布団を剥ぐと、立ち上げって彼方に言った。

「毎日起こしてくれてありがとう」

そうすると、彼方はぱっと明るい顔になって

「うん!!
 だから頭撫でて~」

と、急に甘ったれた声を出してきた。
病院で隣のベッドで寝てた時は、一切こんな様子は見せなかったのに、気が付いたら僕にこんな甘え方までしてくるようになっていた。
なんか、本当に実の妹を見ているようで、可愛いと思ってしまう。
だから、声を出さないで、彼方の頭を少し撫でてあげた。

「んにゃ~」

と、彼方は猫みたいな声を出しながら、僕にもっとなでろと甘えてきた。
でも、もうさすがに終わりって彼方に言うと、それ以上甘えることはなく、さっさと下の階に降りて行ってしまった。
僕も、一人で取り残されないようにと、急いで下の階に降りた。
そんな僕らを待っていたのは、あきれたように笑う光さんの姿だった。

「ほら、顔を洗ってこないとご飯を食べれないよ」

と、僕を子ども扱いしてくるのも、何故か日常になってしまっている。
僕だって同じ年のはずなのに、いつの間にか弟みたいな風になっている。
まあ、実際京大愚あり仲良く過ごしてはいるんだろうけど、なんか違うような気がしてたまらない。

自分のいすにかかっていたタオルをつかみ取ると、僕は洗面所に向かった。
向かう最中で、後ろからいやみのょうに

「いただきます」

という彼方の声が響いていた。
僕も早く食べたかったから、急いで洗面所に行くと、さっと顔を洗って、またリビングに戻った。
暁さんの隣で、彼方と斜めに座るような席に僕は座った。
そして、手を合わせると

「いただきます」

と言って、トーストに手を付けた。
やっぱり、暁さんが作る料理は何でもおいしかった。
本当に何カ月も一緒に暮らしているけど、どの料理をとってもおいしいっていうのは本当にすごいと思う。
僕なんて、自分でまともに作れる料理がチャーハンしかないから、一人で残されたときは結構困った。
でも、実は彼方もすごい料理がうまくって、何回か作ってもらったときは本当に感動した。

ご飯を食べながら、ふとテレビの横にあるカレンダーに目をやった。
確か今日は、機能が十月最後の金曜日だったから、今日はいつになるかというと
10月31日
だった。
ということは、例のごとく、あれの日がやってきてしまったということだ。
キリスト教の死者がよみがえるといわれるハロウィーンだ。

多分だけど、これは彼方たちに何かやられると思う。
とはいっても、二人がやるのは、きっとよるだろうから、それまでに何か対策しなければいけない。
そうじゃないと、どんな悪戯をされるかわかったもんじゃない。

暁さん姉妹と暮らして分かったんだけど、二人ともとってもいたずら好きだった。
ちょっとした悪戯から、朝になったら布団がなくなっていたみたいなことまでいろいろだ。
最初にあったときには考えられないような、面白い二人だったから、毎日商いで暮らしていられるとは思うけど、悪戯はあんまり好きじゃない。
特にされる方っていうのは、ほんとぅに悔しいことばかりなんだ。
だから、今回みたいなのには、全力で対抗しないといけないような気がする。

ご飯を食べ終えると、家族全員で片づけを始めた。
超とキッチンには、三人は入れる設計になっていたから、同時にいろんな片づけができて効率的だと思っている。
まあ、家庭科が得意とは言えない僕は、正直この場にいても意味があるのかわからないけど。
実際に、彼方と暁さんが、ほとんどの片づけを済ましてくれてしまうから、僕は何にもしなくても終わってしまう。
結局、机を拭いたり、ちょこっと洗い物をした程度で今日も終わってしまった。

それから、僕は二人に散歩に出かけると言って、適当な洋服を着て外に出た。
あれから何カ月たっても、僕のファッションセンスは変わっていなかった。
いまだにフード付きパーカーを重ね着しているんだから、本当に何にも変わらなかった。
まあ、女子二人から嫌われることもないし、きっと大丈夫なんだろうと信じている。

街に出ると、いたるところにハロウィーンだと言って、お菓子が売り並べられていた。
でも、日本なんて、もともとハロウィーンの文化がない国だし、なんでこんなにやっているのかわからない。
まあ、遊びたい人たちが用意した、はっちゃけるばしょなのかもしれないけど。

僕がいつも使わせてもらっているデパートに行くと、やっぱり大量のお菓子が売り並べられていた。
できれば、あの二人にはおいしい物を買ってあげたい。
だけど、僕はここまで生きると予想せずにお小遣いを使っていたから、正直完全な金欠に落ちってしまった。
だから、今買えるのは安物でしかない。
となると、僕の御用達の店に行くしかない。

僕の御用達の店は、以前バレンタインできた思い出がある、安くて大量のチョコが買えるお店だ。
だから、今回もそこでいくつかお土産程度のチョコを買っていくことにした。
やっぱり、ハロウィーン限定の安くていっぱい入っているのがあったから、それを買って帰ることにした。
高校生にもなったから、ここのカードも作らせてもらって、事あるごとにここのチョコを彼女たちにプレゼントしている。
今日も、なんか常連客のように、お菓子を買わせてもらった。

片手に、そこそこ大きさのあるお菓子をぶら下げながら、これからどうしようかと途方に暮れた。
家に帰ってもいいんだけど、特にやる用事もなければ、彼女たちの準備を邪魔しそうだ。
家を出るときに、夜まで帰らないかもしれないと言ってあったから、少しぶらぶら散歩しようか。
高校に入ってからは、あんまり散歩とかはできていなかったから、健康にいいかもしれない。

ほんのちょっとだけ、ご飯を食べながらも、朝から夜までいろんなところを巡った。
ずっと、絶対にこれないと思っていた場所をたくさん巡った。
前みたいに、時間がないと思いながらめぐるんじゃなくて、時間があると思ってゆったりめぐると、やっぱり色々見えてくるものがあって楽しかった。
ここら辺だけ、微妙にハロウィーンんじゃなくて、回りから取り残されている感はあったけど。

そうして、約半日ぶりに家に帰ってきた。
家に入ると、予想通り二人が出てくると思ったら、二人ともいつもと全然違った姿をしていた。
どっちも、よく似すぎていて、本当にかわいらしかった。

彼方は、猫耳を付けて、ちょっと手を丸めて猫のポーズをしていた。
光さんは、端っこに星の付いた、丁度いい長さの棒をもって、頭にとんがり帽子をかぶって、紫や赤っぽい服装に黒いマントをしていた。
ハロウィーンと言えば、お菓子だけだと思っていたけど、こんな風に仮想数っていうのも忘れていた。
そうして、二人同時に口を開くと

「トリック オア トリート!!」

と言って、光さんは僕に杖を向けて、彼方は猫の姿のまま僕の服をひっかこうとした。
僕は、用意していたお菓子を二人に渡すと、二人はすごい喜びながらリビングに戻っていった。
こうやって見ると、どっちがお兄ちゃんなのかお姉ちゃんなのかわからなくなってしまった。

手を洗ってから、ふうと思って椅子に座ったら

バキッ

と鈍い音とともに、椅子が崩れ落ちた。
そして、盛大にこけた僕の姿を、猫姿の彼方と魔法少女光さんが笑い転げながら見ていた。
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