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◆鳴かぬなら鳴かせてみよう我が妻よ * 尊
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しおりを挟む女子社員が消えたのを見計らい、資料をプリントして廊下に出た。
さっそく挨拶の嵐が襲ってくるが、自分でも呆れるくらい気分よく「おはようございます」と返しながら副社長室に戻る。
それから間もなく春海が出社した。
「おはようございます、副社長。遅くなりました」
「お疲れ。どうだった?」
「ええ。院長夫人の話ではやはり理事長次第かと。今のところまだ迷っているのは間違いないと思います」
「そうか」
「ただ、ひとつだけ、いい話が聞けました。迷い始めた理由は複合施設型の医療モールに興味を持っているようです。協力してくれるところがあれば考えてみたいと」
「なるほど。――よし。早速そこから進めよう」
「はい。それで、出張のほうはいかがでしたか?」
地方都市のとある再開発のプロポーザルでツキシマが負けた。今回はその原因追及と今後の対応を協議するための出張だった。
「ああ、あれでは厳しいな。コンセプトで既に負けていたよ。向こうは徹底的に地域の歴史から調べていた。底が深い分説得力がある」
「そうでしたか。やはり副社長の予想通りだったのですね」
地方とはいえ今回は事業の規模が大きい。もっと地元に入り込んで練り直す必要があると強く提案していたが、年かさの担当役員に聞き流された。
若造に何がわかるという蔑みの眼差しをしていた担当役員だったが、昨日は青ざめていた。
青くなったところで取り返しはつかないのに――。
「まあ仕方がないさ、ほかで挽回するしかない」
そのまま営業部長を呼び、仕事の話を進めたあと、春海をランチに誘った。
「なにが食べたい? 御馳走しよう。今日は君に選択権を譲るよ」
「あら、珍しいですね」
さっそく北風と太陽の作戦を練ろう。
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