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◆嘘でも真実でも * 弥衣
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しおりを挟むバスルームから出てきた彼がいつものように席に着く。
「おはようございます」
「おはよう」
尊さんの様子は昨日までと全く変わらない。
優雅な箸さばきで鮭の身を皮から外し、落ち着いた様子で食事を続けているが、私は気づいていた。
ピーマンに箸が伸びない。
たまにその器に箸を伸ばしても挟み上げるのはほぼツナの固まりだ。
クックックと心の中で笑った。
私も人が悪いと思うが昨夜の仕返しだ。
もしかしたらピーマンの小鉢だけ残すかもしれないと思ったのに、なんと彼は最後の最後に一気に食べて、なめこのみそ汁で流し込んだ。
「ん?」
「い、いえ別に。お茶入れますね」
相当な負けず嫌いらしい。
何しろ私は、ここに通っていたという家政婦さんに会って話を聞いたのである。
彼はやはりピーマンが苦手だった。
その他にもカリカリに焼かれていない鶏の皮、煮て甘くなった人参、シシトウ。シシトウはたまに恐ろしいくらい辛かったりするけれど、特別辛いシシトウに当たってしまったことがあるらしい。
白状しない限り、何かある度に出してやる。
密かにそう決意すれば溜飲が下がった。
おかげで彼が出かける時は心から「いってらっしゃいませ」と笑顔で送り出すことができた。
「夕食はいらない。接待がある」
「はーい。了解でーす」
ああいう態度なら、もう帰ってこなくて結構でーす。
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