ALL MY THINGS 〜耳鳴りが止まるまで〜

はいとく

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悪くないっ!

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2人は席に座って、食事がくるのを待っていた。結構広いレストランだ。お客さんのプライバシーも保たれている。

「クーッ!うまい!ビールが飲めるなんて思わなかったよ。」
「良かったわね。」

オレは先にきたジョッキのビールを飲みながら...

「キミは飲まないの?」
「未成年よ。」
「そっか、いくつ?」
「19。文句ある?」

ちょっと不機嫌そうに彼女は続けた。

「ねぇ私達パーティーなんだから、キミってのやめない?私もアンタの事、”よーすけ”って呼ぶから、”よーすけ”も私の事名前で呼んでよ。”あずき”でイイわ。」

~ チャンとかタンとか付けたら怒るやつだな ~

「りょーかい。」
「じゃあ、”あずき”?」
「なぁに?」
「耳鳴り...しないか?」
「”よーすけ”も?なんだろうね。私はもう気にならなくなったけど。」
「うん。オレも気にならなくなったけどさ。」

少し話していると料理がきた。

「おっ!美味そう!あ、お姉さんビールおかわりね。」

“お姉さん”といってもNPCなのだが、ゲームの時とは違って、かなり人間っぽい。

「ホントに好きなのね。」
「そりゃあ、もう!仕事の後のこの1杯って感じだよ。キミも飲んでみたら?」

睨まれた。

~ はっ!名前で呼ぶんだった! ~

「”あずき”も飲んでみたら?」
「コンパで飲まされた事あるけど、苦いだけで美味しいとは思えなかったわ。」
「じゃあカクテルとか。あるかな...」

メニューを手に取ろうとすると...

「しつこいわね!酔わせてどうするつもり?」
「いや、そんなつもりじゃなくて、オレだけ酔って気分良くなってるのも悪いかなぁ~って。」
「冗談よ。そんな度胸無さそうだもんね。笑」

~ ムッ! ~

「オレだってやる時はやるんだぞぅ」

ちょっとロレツが回ってなかった。

「へー。ヤルんだ。笑」
「”よーすけ”は何歳なの?」
「オレはハタチ。それにしてもココの料理、美味いなぁ。」
「うん、美味しいわね!」

オレはハンバーグ、”あずき”はドリア、それにサラダを2人でシェア。
リーズナブルとは言えない値段だが、味を考えると納得価格だ。

かわいい女の子とパーティーも組めたし、ココもそんなに「悪くないっ!」
そう思えた。

「なぁ..」「ねぇ..」

ほぼ同時だった。

「何よ?」
「うん、あのさ、明日から狩りに行かないか?オレ結構、金欠なんだ..少し前に装備を更新したばっかりでさ。」
「実は私も。笑」
「じゃあ、明日に備えて今日はそろそろお開きにしようか。」
「そうね。」

~ あれ?50%位だったハングリーメーターが0%になってる。腹の減り具合を数値で確認出来るって事か... ~

観音開きの手動の扉を開けて、2人はレストランを後にした。
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