15 / 21
祭 1
しおりを挟む
それから数日、”あずき”が待ちに待った祭の日がやって来た。
「おぉー、随分と賑やかだなぁ」
「すっごーい!ココって、こんなに人いたんだねー!」
屋台の数は5軒だけなのだが、公園の3分の1を埋め尽くそうかという数の人達で賑わっていた。”祭”だ。屋台があるだけで、特にイベントがある訳でも無い様だが、確かに、そこにあるのは”祭”の光景だった。
ちなみに、雑貨屋から果ては武具屋まで探してみたが、何処にも浴衣は売っていなかった。半分、冗談だったらしく、今日の”あずき”は特に怒るでも無く、むしろ、祭の雰囲気に上機嫌の様だ。
「行こうか。」
「うん!私、ヤキソバ食べたーい!」
「ははは、でも最初に”やすお”さんのところに挨拶に行こうよ。」
「ぷぅー!仕方ないわねぇ、その後はヤキソバだからねっ?」
「分かった、分かった。」
“あずき”は少しだけ不機嫌そうな顔になった。
オレは不思議だった。なんで、この世界にヤキソバやら、たこ焼きが有るのか...
まぁ、答えは簡単だったのだが、市場に行けば大抵の、少なくとも食材は手に入るのだった。だから、加工法を知っていたり、調理方法が身についている人なら自炊生活も可能な訳だ。
「オヤッサーン!」
「よう!来たな、”よーすけ”!大根、イイ感じに染みてるぞ!」
食べたい!オレは、おでんの大根が大好きなのだ。しかし...
「あ、とりあえず挨拶だけ、後でゆっくり来ます。」
「そうかい!待ってるぜー!おや?”あずき”ちゃん、なんか機嫌悪そうだなぁ。同棲生活も倦怠期かい?」
真っ赤な顔をして”あずき”は言い返した。
「ど、ど、ど、同棲じゃありません!節約の為に仕方なく2人部屋に泊まっているだけです!」
「ありゃ?!ホントに怒らせちまったか?でもよ、毎晩、宿屋に泊まれるなんて流石、高レベルプレイヤーだよなぁ。おっと、イヤミじゃねえよ、ココってよ、ある意味で弱肉強食、実力主義だからなぁ。」
「それじゃあ、後でまた来ます。」
苦笑いしながらオレ達は、その場を後にした。
「同棲じゃ無いよね..?」
「他の人には、そう見えるのかもね。」
「・・・バカ...」
「ヤキソバ。食べるんでしょ?」
「うん!ヤキソバ!私、お祭り行ったら必ず食べるんだっ。」
元気な”あずき”に戻っていた。
「うーん、美味しかったー!あの人、プロよ。うん、間違いないわ、プロよ。」
こういう所で食べると、大体、2割増しくらいで美味しく感じるものだ。実際、”おでん”の為に腹を空けておこうと、オレは注文しなかったので”あずき”に少し貰って食べたが、いたって普通の味だった。
~ 普通?現実ではないココで、普通って貴重な事なのかも知れないな... ~
おでんの為の腹は空けておきたいが、オレにも”祭”に行ったら必ず食べる物が有る。フランクフルトだ。実はオレは加工肉推進派なのだ。生肉と違い、味に当たり外れが無いのが素晴らしいと思っている。フランクフルトは細いより太い方がイイ。何故ならケチャップとマスタードをタップリ目に乗せても落ちにくいからだ。口を大きく開けなくてはならないが、その分、食べ応えがあって良い。
「フランク下さーい!」
「はいよー!ケチャップとマスタードは其処に有るから、好きなだけ使ってイイよー!」
「ありがとうございまーす!」
「ソレもなかなか美味しそうね..」
「祭と言えば、コレだよ、コレ!」
温かい内に食べよう。まず、一口。
「マ・イ・ウ・ー!!」
「ナニそれ?古っ!」
「いや、そう言いたくなる程ウマイんだよ。あの人プロだな。うん、間違いなくプロだ。」
「焼いただけでしょ?誰が焼いたって同じじゃない」
「そうでもないよ?例えば、焼き足りないと当然ヌルいし、中の脂肪の部分がそのまま白く残ってたりするし、焼き過ぎると脂が全部落ちちゃって、干からびて固くなっちゃう。パリッとジューシーなのがイイんだよ。」
「よく分かんないけど、そんなに美味しいんなら私にも食べさせてよ、アンタのフランク。ヤキソバあげたでしょ?」
~ 食べさせてよ、アンタのフランク ~
「もう一回、言ってくれる?」
「だからぁ、アンタのフランク...って、ホントにバカねっ!もういい、要らない!」
お年頃の女子の正常な妄想力を持っている”あずき”であった。
「おぉー、随分と賑やかだなぁ」
「すっごーい!ココって、こんなに人いたんだねー!」
屋台の数は5軒だけなのだが、公園の3分の1を埋め尽くそうかという数の人達で賑わっていた。”祭”だ。屋台があるだけで、特にイベントがある訳でも無い様だが、確かに、そこにあるのは”祭”の光景だった。
ちなみに、雑貨屋から果ては武具屋まで探してみたが、何処にも浴衣は売っていなかった。半分、冗談だったらしく、今日の”あずき”は特に怒るでも無く、むしろ、祭の雰囲気に上機嫌の様だ。
「行こうか。」
「うん!私、ヤキソバ食べたーい!」
「ははは、でも最初に”やすお”さんのところに挨拶に行こうよ。」
「ぷぅー!仕方ないわねぇ、その後はヤキソバだからねっ?」
「分かった、分かった。」
“あずき”は少しだけ不機嫌そうな顔になった。
オレは不思議だった。なんで、この世界にヤキソバやら、たこ焼きが有るのか...
まぁ、答えは簡単だったのだが、市場に行けば大抵の、少なくとも食材は手に入るのだった。だから、加工法を知っていたり、調理方法が身についている人なら自炊生活も可能な訳だ。
「オヤッサーン!」
「よう!来たな、”よーすけ”!大根、イイ感じに染みてるぞ!」
食べたい!オレは、おでんの大根が大好きなのだ。しかし...
「あ、とりあえず挨拶だけ、後でゆっくり来ます。」
「そうかい!待ってるぜー!おや?”あずき”ちゃん、なんか機嫌悪そうだなぁ。同棲生活も倦怠期かい?」
真っ赤な顔をして”あずき”は言い返した。
「ど、ど、ど、同棲じゃありません!節約の為に仕方なく2人部屋に泊まっているだけです!」
「ありゃ?!ホントに怒らせちまったか?でもよ、毎晩、宿屋に泊まれるなんて流石、高レベルプレイヤーだよなぁ。おっと、イヤミじゃねえよ、ココってよ、ある意味で弱肉強食、実力主義だからなぁ。」
「それじゃあ、後でまた来ます。」
苦笑いしながらオレ達は、その場を後にした。
「同棲じゃ無いよね..?」
「他の人には、そう見えるのかもね。」
「・・・バカ...」
「ヤキソバ。食べるんでしょ?」
「うん!ヤキソバ!私、お祭り行ったら必ず食べるんだっ。」
元気な”あずき”に戻っていた。
「うーん、美味しかったー!あの人、プロよ。うん、間違いないわ、プロよ。」
こういう所で食べると、大体、2割増しくらいで美味しく感じるものだ。実際、”おでん”の為に腹を空けておこうと、オレは注文しなかったので”あずき”に少し貰って食べたが、いたって普通の味だった。
~ 普通?現実ではないココで、普通って貴重な事なのかも知れないな... ~
おでんの為の腹は空けておきたいが、オレにも”祭”に行ったら必ず食べる物が有る。フランクフルトだ。実はオレは加工肉推進派なのだ。生肉と違い、味に当たり外れが無いのが素晴らしいと思っている。フランクフルトは細いより太い方がイイ。何故ならケチャップとマスタードをタップリ目に乗せても落ちにくいからだ。口を大きく開けなくてはならないが、その分、食べ応えがあって良い。
「フランク下さーい!」
「はいよー!ケチャップとマスタードは其処に有るから、好きなだけ使ってイイよー!」
「ありがとうございまーす!」
「ソレもなかなか美味しそうね..」
「祭と言えば、コレだよ、コレ!」
温かい内に食べよう。まず、一口。
「マ・イ・ウ・ー!!」
「ナニそれ?古っ!」
「いや、そう言いたくなる程ウマイんだよ。あの人プロだな。うん、間違いなくプロだ。」
「焼いただけでしょ?誰が焼いたって同じじゃない」
「そうでもないよ?例えば、焼き足りないと当然ヌルいし、中の脂肪の部分がそのまま白く残ってたりするし、焼き過ぎると脂が全部落ちちゃって、干からびて固くなっちゃう。パリッとジューシーなのがイイんだよ。」
「よく分かんないけど、そんなに美味しいんなら私にも食べさせてよ、アンタのフランク。ヤキソバあげたでしょ?」
~ 食べさせてよ、アンタのフランク ~
「もう一回、言ってくれる?」
「だからぁ、アンタのフランク...って、ホントにバカねっ!もういい、要らない!」
お年頃の女子の正常な妄想力を持っている”あずき”であった。
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
【完結】異世界転移した私がドラゴンの魔女と呼ばれるまでの話
yuzuku
ファンタジー
ベランダから落ちて死んだ私は知らない森にいた。
知らない生物、知らない植物、知らない言語。
何もかもを失った私が唯一見つけた希望の光、それはドラゴンだった。
臆病で自信もないどこにでもいるような平凡な私は、そのドラゴンとの出会いで次第に変わっていく。
いや、変わらなければならない。
ほんの少しの勇気を持った女性と青いドラゴンが冒険する異世界ファンタジー。
彼女は後にこう呼ばれることになる。
「ドラゴンの魔女」と。
※この物語はフィクションです。
実在の人物・団体とは一切関係ありません。
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
ガーランド大陸魔物記 人類が手放した大陸の調査記録
#Daki-Makura
ファンタジー
※タイトルを変更しました。
人類が植物に敗北した大陸〝ガーランド大陸〟
200年が経ち、再び大陸に入植するためにガーランド大陸の生態系。特に魔物の調査が行われることになった。
これは調査隊として派遣されたモウナイ王国ファートン子爵家三男 アンネスト•ファートンが記した魔物に関する記録である。
※昔に他サイトで掲載した物語に登場するものもあります。設定なども使用。
※設定はゆるゆるです。ゆるくお読みください。
※誤字脱字失礼します。
※一部AIを使用。(AI校正、誤字検索、添削等)
※その都度、修正させてもらっています。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる