ALL MY THINGS 〜耳鳴りが止まるまで〜

はいとく

文字の大きさ
16 / 21

祭 2

しおりを挟む
 途中、何度か「イチャイチャ」だの「ラブラブ」だのと冷やかされながら、オレ達は”やすお”さんの屋台に向かっていた。

「おーい、”よーすけ”くーん!」

“しういち”さんだ。

「”やすお”さんのところに行くのかい?」
「はい。おでん食べながら”祭”が終わるまで飲もうかなって。それより、何ですか?ソレ。」
「あぁ、コレ?たこ焼きだよ。」

~ たこ焼き?!なんとも不細工な ~

「流石に、たこ焼きの鉄板なんてココには無いみたいで、平らな鉄板の上で、ソレっぽく見える様に頑張って焼いてたよ。」

~ お好み焼きじゃダメだったのか? ~

「へ、へ~涙ぐましい努力ですね。」
「だよねー。お好み焼きにすれば良かったのにねー。」

~ やっぱり、そう思うか.. ~

「オヤッサン、来ましたよ。」
「おぅ!待ってたぜー!”しういち”も、一緒か?2人とも、いつものヤツでいいか?」
「はい、お願いします!」
「”あずき”ちゃんも、いつもの烏龍茶でいいかい?」
「うーん、今日は焼酎のウーロン割で。」
「だよなぁ、祭だもんなぁ!」

 飲み始めてから結構な時間が経った。
とっくに日付は変わっていたが、公園を出る人は少なかった。屋台の人達も、今日はお客さんが居なくなるまで営業するつもりの様だ。

「いやぁ、みんな楽しんでくれたみてぇだなぁ。」
「はい。大成功じゃないですか?」
「だな。オレも最後に良い思い出になったよ。」

~ えっ...? ~

「最後って..?」
「あー、言って無かったか。オレな、2~3日中に”昭和”に行く事にしたんだわ。」
「え?どうして..?」
「まぁ、なんだ、需要と供給ってヤツだな。ココでの稼ぎに不満が有る訳じゃねぇんだけどな、”しういち”の話だとよ、昭和の街はプレイヤーの数の割には屋台が少ねぇみたいなんだよ。」

~ なるほど。 ~

「儲かるとイイですね。」
「そうだなぁ。オレな、夢っつーか、ココでの目標が出来たんだわ。」
「へー、何ですか?」
「街を繋ぐ街道に宿場町みてぇの作れねぇかなって。みんな、何かしらの事情があって街の間を行き来してると思うんだよ。そんなヤツらの安らげる場所、作りてぇなぁ..と思ってな。」

~ そんな事、考えてたんだ.. ~

「イイですね、ソレ。きっと、皆んな喜ぶと思いますよ。でも、昭和には1人で行くんですか?落武者に襲われたら..」
「ソレな!前に今のハナシしたら”しういち”が一緒に来てくれるってんだよ。なっ!」
「はい。ボクで良ければ。落武者退治は得意ですから。よほど運が悪く無ければ、無傷で昭和まで行けますよ。」
「それなら安心ですね。んっ?運が悪いと、どうなるんですか?」
「昭和の手前の辺りでオークに遭遇して仲良く御臨終かな..まぁ、今は往来が多いから、きっと誰かが気付いて蘇生してくれるよ。」

「なぁ、あずき?」

オレは小声で話しかけた。

「何よ?」
「あのさ...」
「あー、もう、分かってるわよ!昭和に行くって言うんでしょ!?」
「うん、なんかさ..」
「私だって、今のハナシ聞いちゃったら、旅のご無事を祈ってます。とか言って、すました顔して送り出せないわよ..」
「じゃあ、いいんだね?」
「イイわよ。」

「オヤッサン!」
「どしたい?」
「オレ達も行きますっ!一緒に行っても良いですか?!」
「そりゃあ、お前さん達が来てくれりゃ心強えけどよ、良いのかい?」
「はい!その、オレも何て言うか、ココで..」
「あーっ、焦ったい!私、昭和の街に行ってみたいんです!なんか、景気イイらしいし。」
「そうかい、ありがとよ..」

「コレでイイのよ!」

“あずき”がオレにだけ聴こえる様に小声で言った。ホントに良く出来たヨメ(願望)である。

「それじゃあ、出発は3日後の朝だから、必要な物、準備しといてくれよ!コレはサービスだ。」

 お礼のつもりだろうか、他に客の居なくなった屋台で、オレ達3人に飲み物を振る舞ってくれた。

 その後、東の空が薄ら明るくなり始めた頃、オレ達は公園の芝生の上で眠りについたのだった...
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】異世界転移した私がドラゴンの魔女と呼ばれるまでの話

yuzuku
ファンタジー
ベランダから落ちて死んだ私は知らない森にいた。 知らない生物、知らない植物、知らない言語。 何もかもを失った私が唯一見つけた希望の光、それはドラゴンだった。 臆病で自信もないどこにでもいるような平凡な私は、そのドラゴンとの出会いで次第に変わっていく。 いや、変わらなければならない。 ほんの少しの勇気を持った女性と青いドラゴンが冒険する異世界ファンタジー。 彼女は後にこう呼ばれることになる。 「ドラゴンの魔女」と。 ※この物語はフィクションです。 実在の人物・団体とは一切関係ありません。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

ガーランド大陸魔物記  人類が手放した大陸の調査記録

#Daki-Makura
ファンタジー
※タイトルを変更しました。 人類が植物に敗北した大陸〝ガーランド大陸〟 200年が経ち、再び大陸に入植するためにガーランド大陸の生態系。特に魔物の調査が行われることになった。 これは調査隊として派遣されたモウナイ王国ファートン子爵家三男 アンネスト•ファートンが記した魔物に関する記録である。 ※昔に他サイトで掲載した物語に登場するものもあります。設定なども使用。 ※設定はゆるゆるです。ゆるくお読みください。 ※誤字脱字失礼します。 ※一部AIを使用。(AI校正、誤字検索、添削等) ※その都度、修正させてもらっています。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします。

処理中です...