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8.クリスマスツリー
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「ん……寒っ……」
肌寒いと感じて、目を閉じたまま布団を肩まで引き上げようとして、違和感を覚えた。肌ざわりがいつもの布団と違う。そして肩が……むき出し!?
僕は慌てて身体を起こそうとして、腰に鈍痛が走って声をあげそうになった。そして、その痛みで思い出す。僕は、山本さんに抱かれたのだということを。ベッドには僕しかいなくて、カーテンの隙間から光が差し込んでるのを見て、もう朝になってることに気づく。
山本さんがそばにいないことに不安を感じながら、ベッドから降りようとした時、自分の裸の上半身を見下ろして、びっくりする。
「なっ……こ、これって……」
肌のあちこちに残る赤黒い痕。少し怖くなって、指を伸ばすけど、痛みはない。こんな状態なのを山本さんに見られたくない。僕は自分の服がないか部屋の中を見渡すけど、見当たらない。下も履いていない素っ裸な状態の僕が、布団から出るに出れない状態になって困惑していると、階段をゆっくり上がってくる音がした。僕は、慌てて布団に頭から被って潜り込んだ。
カチャリとドアが開く音がした。
「濱田くん……起きてる?」
山本さんの優しい声がする。本当なら、その声に素直に反応したいのに、こんな状態の僕を見られたくなくて返事が出来ない。
「濱田くん」
ギシッとベッドの軋む音。山本さんが腰かけたのだろう。僕の背後のほうが下がった気がした。
「もう、朝だから」
そう言って僕が被っている布団をゆっくりと剥がそうとした。
「あっ」
つい、声が漏れてしまった僕。布団越しに見る山本さんも、少し驚いた顔をしたけれど、すぐに、にっこりと笑った。目元の皺がよっても、サラサラの髪にグレーのパーカーにジーンズ姿のせいか、普段よりもグッと若く見える。
健全な朝という時間に見る山本さんは、少しだけ疲れているようにも見える。つい、僕を抱いていた時の色気の溢れた山本さんを思い出して、もしかして疲れさせてしまったのか、とか、勝手に考えてしまって顔が熱くなった。
「そういう顔すると、また、手を出したくなるから」
優しく僕の頭をくしゃくしゃっと撫でる。そんなことを言われても自分がどんな顔をしてるのかなんてわからない。
「濱田くん、今日、午後からバイトじゃないのかい」
そう言われて、ハッとする。部屋の中に時計がないか、キョロキョロと探すけれど、見つけられない。
「あっ、えと、今、何時ですか」
「9時過ぎたところだよ。下に、簡単にだけど、飯、作ってあるから」
「あ、ありがとう……ございます……あのっ、服は……?」
「……ああ!」
山本さんは、思い出したように立ち上がると、そばにあったタンスを開けた。ダーク系のスーツの中に、僕のカジュアルな服が吊り下げられていた。
「勝手にしまって、ごめんね。昨日着てたのはこれだね……あと、下着は悪いけど、俺のと一緒に洗濯したんで……これ、まだおろしたばっかのだから、これでいいかな」
そう言って、黒いボクサーパンツを手渡してくれた。
「え、あ、はい」
僕は布団の中でもぞもぞしながら、渡されたパンツを履いてみた……残念ながら、少しばかり大きい感じが否めないけど。
ベッドから出ようとして、まだ山本さんが部屋のドアのところによりかかりながら、僕を見てるのに気づく。
「あの……」
「何?」
「服、着るんで」
「うん」
「そ、そこにいられると、ちょっと……」
僕は布団を羽織ったような状態でベッドに座ったのだけど、それを山本さんは面白そうに見ている。
「別にいいだろ? 男同士だし……夕べも散々、見てるんだし?」
うん、きっと普段なら気にしない。だけど、この肌の状態を見られるのは抵抗がある。
「いや、あの……ちょ、ちょっとパンツが大きくて」
嘘はついてはいないけど、山本さんに部屋から出て欲しい意思が伝わればと、チラリと目を背ける。
「フフ……ん、わかった……でも、腰、大丈夫かい?」
「あうっ……」
苦笑いしながら僕の腰の具合を聞く山本さん。僕は、やっぱり恥ずかしくて俯きながら小さく頷いた。
「じゃあ、先に下に行ってるけど、下りられないようなら、呼んでね」
クスクスと笑いながら部屋を出ていく山本さんの後ろ姿を目で追って、大きくため息をつく。
布団から抜け出す時、再び鈍痛を感じたけれど、立ち上がれないほどではない。さすがにパンツ一丁だと、一気に部屋の寒さを実感した。慌てて着替えると、僕はゆっくりと、部屋を出て階下に向かった。
肌寒いと感じて、目を閉じたまま布団を肩まで引き上げようとして、違和感を覚えた。肌ざわりがいつもの布団と違う。そして肩が……むき出し!?
僕は慌てて身体を起こそうとして、腰に鈍痛が走って声をあげそうになった。そして、その痛みで思い出す。僕は、山本さんに抱かれたのだということを。ベッドには僕しかいなくて、カーテンの隙間から光が差し込んでるのを見て、もう朝になってることに気づく。
山本さんがそばにいないことに不安を感じながら、ベッドから降りようとした時、自分の裸の上半身を見下ろして、びっくりする。
「なっ……こ、これって……」
肌のあちこちに残る赤黒い痕。少し怖くなって、指を伸ばすけど、痛みはない。こんな状態なのを山本さんに見られたくない。僕は自分の服がないか部屋の中を見渡すけど、見当たらない。下も履いていない素っ裸な状態の僕が、布団から出るに出れない状態になって困惑していると、階段をゆっくり上がってくる音がした。僕は、慌てて布団に頭から被って潜り込んだ。
カチャリとドアが開く音がした。
「濱田くん……起きてる?」
山本さんの優しい声がする。本当なら、その声に素直に反応したいのに、こんな状態の僕を見られたくなくて返事が出来ない。
「濱田くん」
ギシッとベッドの軋む音。山本さんが腰かけたのだろう。僕の背後のほうが下がった気がした。
「もう、朝だから」
そう言って僕が被っている布団をゆっくりと剥がそうとした。
「あっ」
つい、声が漏れてしまった僕。布団越しに見る山本さんも、少し驚いた顔をしたけれど、すぐに、にっこりと笑った。目元の皺がよっても、サラサラの髪にグレーのパーカーにジーンズ姿のせいか、普段よりもグッと若く見える。
健全な朝という時間に見る山本さんは、少しだけ疲れているようにも見える。つい、僕を抱いていた時の色気の溢れた山本さんを思い出して、もしかして疲れさせてしまったのか、とか、勝手に考えてしまって顔が熱くなった。
「そういう顔すると、また、手を出したくなるから」
優しく僕の頭をくしゃくしゃっと撫でる。そんなことを言われても自分がどんな顔をしてるのかなんてわからない。
「濱田くん、今日、午後からバイトじゃないのかい」
そう言われて、ハッとする。部屋の中に時計がないか、キョロキョロと探すけれど、見つけられない。
「あっ、えと、今、何時ですか」
「9時過ぎたところだよ。下に、簡単にだけど、飯、作ってあるから」
「あ、ありがとう……ございます……あのっ、服は……?」
「……ああ!」
山本さんは、思い出したように立ち上がると、そばにあったタンスを開けた。ダーク系のスーツの中に、僕のカジュアルな服が吊り下げられていた。
「勝手にしまって、ごめんね。昨日着てたのはこれだね……あと、下着は悪いけど、俺のと一緒に洗濯したんで……これ、まだおろしたばっかのだから、これでいいかな」
そう言って、黒いボクサーパンツを手渡してくれた。
「え、あ、はい」
僕は布団の中でもぞもぞしながら、渡されたパンツを履いてみた……残念ながら、少しばかり大きい感じが否めないけど。
ベッドから出ようとして、まだ山本さんが部屋のドアのところによりかかりながら、僕を見てるのに気づく。
「あの……」
「何?」
「服、着るんで」
「うん」
「そ、そこにいられると、ちょっと……」
僕は布団を羽織ったような状態でベッドに座ったのだけど、それを山本さんは面白そうに見ている。
「別にいいだろ? 男同士だし……夕べも散々、見てるんだし?」
うん、きっと普段なら気にしない。だけど、この肌の状態を見られるのは抵抗がある。
「いや、あの……ちょ、ちょっとパンツが大きくて」
嘘はついてはいないけど、山本さんに部屋から出て欲しい意思が伝わればと、チラリと目を背ける。
「フフ……ん、わかった……でも、腰、大丈夫かい?」
「あうっ……」
苦笑いしながら僕の腰の具合を聞く山本さん。僕は、やっぱり恥ずかしくて俯きながら小さく頷いた。
「じゃあ、先に下に行ってるけど、下りられないようなら、呼んでね」
クスクスと笑いながら部屋を出ていく山本さんの後ろ姿を目で追って、大きくため息をつく。
布団から抜け出す時、再び鈍痛を感じたけれど、立ち上がれないほどではない。さすがにパンツ一丁だと、一気に部屋の寒さを実感した。慌てて着替えると、僕はゆっくりと、部屋を出て階下に向かった。
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