リーマン異世界への転職

イッシ

文字の大きさ
4 / 11

俺、異世界に行くの!?③

しおりを挟む
 ここは・・・
 気がつくと俺は、だだっ広い草原の中に寝転がっていた。
 風が涼しい。かなり高い位置に太陽があるということは、今は昼なのだろう。
 頭は・・・痛みは感じない。どうやら傷は無いようだ。
 
 「あの閻魔様は別の世界に送るとかなんとか言ってたな」

 俺は確かに死んだはずだ。そして、別の世界。つまり《異世界》に送られた。そういうことなのだろうか。
 しかし、別段変わった風景が広がっているというわけでは無い。
 だが、夢を見ていたというには今の状況が説明できない。
 なんだってこんなことになったんだ。
 あの野郎。人の頭を殴りつけた挙句、撃ちやがった。思い出すと撃たれたはずの場所が痛む気がする。
 
 ビュオオオオオ!!!

 突然、身体を吹き飛ばされる様な風が辺り一面に吹いた。
 吹き飛ばされるかと思った次の瞬間。次はそのとてつもない風圧が俺の身体を地面に埋め込まんとばかりに押さえつける。
 
 「ぐっ!!」
 
 さっきまでと打って変わり、朗らかな風の吹く草原は、台風でも訪れたかの様に荒れていた。
 気がつけば俺の頭上には大きな影が出来ている。
 
 ドォォォォン!!!

 凄まじい音と共に、地割れが起きたかの様な揺れが俺を襲う。
 そして、風が止んだ。
 急に現れた太陽に目を慣らしながら、ゆっくりと辺りを見回してみる。
 俺は言葉を失った。いや。そのあまりにも巨大な《それ》を見て、俺は確信した。
 ここは《異世界》だと。
  
 『ゴォォォ』

 なんだよこいつ。こんなのありかよ。死んだと思ったら《異世界》に送られて、そしてまた俺は死ぬのか・・・

 「ドラゴンがいるなんて聞いてないぞ!?」

 目の前には、全長40mはあるだろう巨大な《ドラゴン》が俺を見下す様に佇んでいた。

 『お主。此処が我が治める神聖な地と知っての愚行か』

 なんだ?お主?俺のことか?てか、治めるって・・・

 『答える気は無いということか。愚かな人間よ』

 なおも《ドラゴン》は続ける。
 その巨大な躯体の頂点に君臨する、そこいらの建物ぐらいなら一口で飲み込んでしまいそうな程大きな口は、異様な煙・・・いや、《ブレス》とでも言うのだろうか。それを吐きながら大きく動く。
 
 『いいだろう。お主の様な小さき者を喰らうたところで我の腹は満たされぬだろうが・・・愚かな人間には罰を与えねばなるまいて』

 勝手に話が進んでいる。というか俺が喰われる方向に進んでいる。
 
 「ま、待ってくれ!!俺は此処があんたの治めるなんとかな土地だとは知らなかったんだ!」
 「というか、俺は今此処に送られてっ」

 俺の必死の弁明は途中で遮られた。

 『愚かな人間よ。我は貴様の戯言なぞに割く時間など持っておらんのだ。潔く逝けい』

 あ、これやばいやつだ。お主から貴様とかなんか切れてないかこれ。
 
 『グォォォォォオ!!!』

 耳をつんざく様な咆哮と同時に、巨大な牙が俺を噛み砕こうと迫ってきた。

 「嘘だろぉぉぉお!!!」

 間一髪で横に飛びのいて躱す。
 
 『やぁやぁ遅れてごめんね~』

 頭の中で聞き覚えのある呑気な声がする。
 
 『とりあえずもう死にそうなんだねキミ。もしかして死にたがり?』

 こいつ俺のことバカにしすぎじゃないか。

 「ちげえよ!どう考えてもお前が送る場所ミスってるだけだろが!!」

 『そんなことないよ~・・・あれ?ここは・・・』

 やっぱり間違えてやがった。この閻魔様は案外アホの様だ。

 『アホとは酷いねキミ。これでも冥定の間の管理者なんだよボク』

 いちいち頭の中を読むのもムカつく。

 『まぁ、そんなことは置いておいてだね・・・キミ生き残りたい?』

 こいつはこの手の質問が大好きなのか。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

この度異世界に転生して貴族に生まれ変わりました

okiraku
ファンタジー
地球世界の日本の一般国民の息子に生まれた藤堂晴馬は、生まれつきのエスパーで透視能力者だった。彼は親から独立してアパートを借りて住みながら某有名国立大学にかよっていた。4年生の時、酔っ払いの無免許運転の車にはねられこの世を去り、異世界アールディアのバリアス王国貴族の子として転生した。幸せで平和な人生を今世で歩むかに見えたが、国内は王族派と貴族派、中立派に分かれそれに国王が王位継承者を定めぬまま重い病に倒れ王子たちによる王位継承争いが起こり国内は不安定な状態となった。そのため貴族間で領地争いが起こり転生した晴馬の家もまきこまれ領地を失うこととなるが、もともと転生者である晴馬は逞しく生き家族を支えて生き抜くのであった。

前世は厳しい家族とお茶を極めたから、今世は優しい家族とお茶魔法極めます

初昔 茶ノ介
ファンタジー
 代々続くお茶の名家、香坂家。そこに生まれ、小さな時から名家にふさわしくなるように厳しく指導を受けてきた香坂千景。  常にお茶のことを優先し、名家に恥じぬ実力を身につけた彼女は齢六十で人間国宝とまで言われる茶人となった。  しかし、身体は病魔に侵され、家族もおらず、また家の定める人にしか茶を入れてはならない生活に嫌気がさしていた。  そして、ある要人を持て成す席で、病状が悪化し命を落としてしまう。  そのまま消えるのかと思った千景は、目が覚めた時、自分の小さくなった手や見たことのない部屋、見たことのない人たちに囲まれて驚きを隠せなかった。  そこで周りの人達から公爵家の次女リーリフィアと呼ばれて……。  これは、前世で名家として厳しく指導を受けお茶を極めた千景が、異世界で公爵家次女リーリフィアとしてお茶魔法を極め優しい家族と幸せになるお話……。   ーーーーーーーー  のんびりと書いていきます。  よかったら楽しんでいただけると嬉しいです。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

断罪後のモブ令息、誰にも気づかれずに出奔する

まる
ファンタジー
断罪後のモブ令息が誰にも気づかれないよう出奔して幸せを探す話

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

処理中です...