しっかり者がダメ男に惹かれる法則(2)

坂田 零

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ACT2 石の上にも三年とか言うけど、石の上なんて痛くて三年も座ってられるか!2

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 13時から19時までのレッスン。
 案外ハードだったわ・・・w
 タバコ吸いたい・・・
 と思ったけど、さっき、マーボさんに禁煙しろと言われたしな・・・
 でも医者には明日いくし・・・
 まぁ、いいかw

 そんなことを思って、このビルに一か所しかない喫煙所に向かって、長い廊下を歩いていた俺。
 レコーディングスタジオや、アーティストが取材などうける応接室に、レッスン用の防音室。
 さすが音楽事務所の自社ビルだよな・・・

 そんなことを思ってると、目の前のダンスレッスン場から、トレーニングウェア姿の誰かが出てきた。
 ポニテにした長い栗毛と白い肌と、こぼれ落ちそうなほど大きなヘーゼルの目。
 そして、見事なぐらい抜群のスタイル。

「あれ?あおい!!」

「あれ!?てっちゃん!?」

「ダンスレッスン?」

「そうそう!ずっと踊りっぱだから、ちょっと休憩!
年明けにはPVも撮らないとならないし、とにかく来年に向けて頑張っておかないと」

 タオルで首元の汗をぬぐいながら、あおいはアーティストMarinの顔をしてクールに微笑った。

 おおう!
 オンオフがはっきりしてるな、さすがにw

 俺があおいに会うときは、半分以上プライベートな事情が多いから、逆にアーティストとしての顔が新鮮に感じる。
 体にフィットする感じの、トレーニングウエアを着てるあおい。
 そのカッコを目の前に、俺は思わず唸るのだ。

 それにしたって・・・・
 さすが、スタイルいいな・・・
 あんまおっぱい大きくないなとか思ったけど・・・
 着痩せすんのか・・・
 がっつりあるやん・・・

 横目でちらちらとあおいのスタイルを見つつ、あかんあかんと目をそらす。

 そんな俺のスケベ心を知ってか知らぬか、あおいは言うのだ。

「自販機で飲み物飲んで一息ついて、また踊るんだ、てっちゃんは??」

「え?ああw俺??俺は・・・っ!
さっきボイトレと、マーボさんの特別レッスン終わって、これから地元帰るよ
その前に一服するかなと・・・・w」 

「一緒にいこうよ!喫煙室、自販機のちかくじゃん!」

「え?ああ・・・そうだなw」

 そんなこんなで、事務所の人間やら、アーティストやらがうろうろする廊下の端までたどり着く。
 喫煙所のドアを開ける前に、なんとなくあおいと一緒にドリンクを買ってみた。

「ああ、そういえば・・・あれだから大丈夫か??脅迫状とかきてない?」

「え?ああ・・・・うーん、一応、あれから何もないけど・・・・
なんかSNSのコメント欄に変なこと書いてるやつがいてさぁ・・・」

 あおいは困ったように、覚えたように、怒ったように、なんだか複雑な表情をしながら、眉間を寄せてそう言った。

「まぁ、あおいぐらい有名になると、色んなこと書くやつ多いだろうな~」

「この間なんか、40万のネックレスの領収書がコメント欄に貼ってあったよ」

「まじか~wwwwそれってこの間の?変な脅迫メールのやつ?」

「うーん、多分、そうだと思う・・・・
ほかにも色々書いてくる人いるんだけどさ、あれはなんか気持ち悪いよ」

「キャバクラ嬢に貢いだ訳でもあるまいしwww領収書とか、ちっさwww」

「え?wwなにそれ??ww」

「いやwwwキャバ嬢の誕生日とかに、すげー高っけー物貢ぐやつがいるんだけどさww
たまに【結婚してくれないなら、やったもの返せ!】とか言ってくるちぃせー奴がいるんだってさww
店にくるキャバ嬢が言ってたよww」

「わー・・・・かっこわるww」

「だろ?だからそいつも一緒じゃんww
そもそもアーティストなんて、本来客の間近にいる存在じゃないんだしさww
アイドル産業が最近客の間近だから、そういうのと勘違いしてるんじゃないか?
送られてくるプレゼントとか、全部チェックできんの?あおいは?w」

「ああ・・・全部はまだ見てないw
だって、結構あるから・・・w
開けてるうちにまた追加されてくるし、なかなか全部見れなくて・・・・w
なるべく見るようには、してるんだけどさ・・・・」

「だろ??その40万のネックレス、プレゼントの中から見つけだした???」

「ああ・・・まだ発見してないw
一応、マネージャーやスタッフも、危険物じゃないか一度は全部チェックして保管してるけど
保管数がおおすぎて・・・・w」

「そんなもんだよw
それなのにそんな領収書貼られてもなww」

「そう、だよねww」

「まぁ、気にすんなよwwそんだけ人気ある証拠なんだからw
でもまぁ、一人で我慢できないときは誰かに言えよ~
アーティストだからってずっと耐える必要もないし
またこそっと地元に遊びきてもいいだろうしさw
忙しいだろうけど、たまには気は抜いとけw」

「あはははwありがとうw」

 そう言って笑ったあおいの顔は、いつも見る普通の女の子の顔だった。

 
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