しっかり者がダメ男に惹かれる法則(2)

坂田 零

文字の大きさ
11 / 43

ACT2 石の上にも三年とか言うけど、石の上なんて痛くて三年も座ってられるか!3

しおりを挟む
「そういえば、てっちゃんさぁ?」

 スポーツドリンクを飲みながら、あおいが妙に改まって声をかけてきた。
 俺はウーロン茶を飲みながら、そんなあおいを横目で見る。

「なんだ?」

「てっちゃんて、今、きぃちゃんと付き合ってる???」

「ぶっふwwww」

 飲んでたウーロン茶を吹き出して、思い切りTシャツを濡らしながら、めちゃくちゃむせた俺。
 あおいは、一瞬きょとんとして、これまた笑いを吹き出しながら、持ってたタオルを俺に渡した。

「なにその反応wwやっぱ付き合ってんの??」

「そんな訳ないだろうよ!なんで俺が、きなこと付き合わないといけないんだよwww」

「そうなんだ?w」

「なんでそんな事聞くんだよ?www」

「えー?なんかいつも一緒にいるイメージあるからw」

「ただの腐れ縁なんじゃねーのww
それに、あいつ、頭おかしいから、何考えてるかわかんねーww」

「頭おかしいんじゃなくて、あれがきぃちゃんなのwww
看護師やってると、あんなじゃないよ?w」

「え?仕事中のあいつ見たことあんの??」

「あるよぉww
去年の冬、スケジュールハードすぎて倒れちゃって
どうせ休むなら地元がいいってダダこねて、きぃちゃんのいる病院に一週間入院したんだもんw
普段あんなだけど、きぃちゃんパーフェクトナースだよ?w」

「えええええええええ???ま、まじで???」

「まじだよwww何よそのお化けでもみたような顔ww
てっちゃんも一度入院してみなよwww」

「やだよww信用できねーもんwwきなこなんかww」

「きぃちゃん、あれですっごい世話好きだしさ・・・てっちゃん全然その気ないの??」

「うーん・・・・」

 あえてそう聞かれると、思い切り返答に困った俺。
 あいつは、いつの間に、かうちのバンドの客として会場にいて。
 なんとなくよく顔見かけるようになって。
 仲良くなって。
 メンバーとも仲良くなって。
 気づくと、ライブ時に会場のすみっこにいるのが当たり前になって。
 なんかプライベートでも女友達みたいに、ちょろちょろそこにいて。
 
 あいつは俺にとって・・・
 ファン?
 女友達??
 ん???
 じゃあ、そんなあいつと付き合いたいかとき聞かれたら?

 一瞬考えて、俺は唸ってから答える。

「全然・・・ないのか???と聞かれると、別、そうでもないかもしれないけど・・・
めちゃくちゃ付き合いたいか?と聞かれる、それもそうでもなくて・・・
とりあえず、きなこはきなこだと思ってるw」

「何それ!煮え切らないなぁ、てっちゃんは?」

「えー?だってこれが今の正直な気持ちだしなww」

「そっか・・・・」

 そう言って、あおいは少しだけ複雑そうな表情で笑うと、ポニテをヘアゴムで縛り直しながら言葉を続ける。

「ねぇ・・・じゃあさ?」

「うん?」

「あおいはあり???」

「・・・・はっ?www」

「あおいが、付き合ってって言ったら、付き合ってくれる?w」

 冗談なのか、本気なのかわからないような表情のあおい。
 あおいの綺麗なヘーゼルの瞳が、何故か今、まっすぐに俺を見てる。
 
 いやww
 待ってwww
 そんな顔されても、俺、困るwww
 確かに付き合ったら、すげー自慢できる彼女かもしれないけど、俺、Marinのファンに銃殺されるwwww

 俺は思い切り困って、頭を掻いた。

「いやいやいやww冗談はやめましょうwww
あおいと付き合うとかwww
まじちょー自慢できるかもだけどwww
俺、街なか歩けなくなるしwww
ファンに袋叩きに合うしwwww
考えるだけで恐ろしいから、そういう冗談やめてww」

「えぇぇ!なにそれ~?!」

 何故かあおいは、不満そうに、すねたように唇をとがらせた。
 そして、ふうっと大きなため息をつくと、何故かぱぁんっと俺の背中を叩いたんだ。

「うわっ、痛ってぇー!」

 俺が思い切り背中を丸めた瞬間、俺とあおいしかいなかった休憩室に、やけににぎやかに笑いながら数名のスタッフが入ってきた。

「っていうか・・・きぃちゃんの好きな人、取る気ないけどね・・・
でも、あたしだって・・・なんか気になっちゃってるし・・・」

 入ってきた連中の笑い声がうるさくて、何かをごにょごにょ言ってるあおいの言葉は、まるで俺には届かない。
 俺が涙目になって背筋を伸ばした時、あおいは、また一つため息をついて、じとっと俺を見た。

「てっちゃんがダメなの、きっとそういう中途半端なとこだよね!
まぁ、いいけど!
じゃあ、あたしレッスンに戻るね!
次回のてっちゃんのレッスン、あたしも一緒だからちゃんとコーラス覚えてね!」

 そう言ってあおいは、微妙にすねたような顔のまま、俺に手を振りながら休憩室を出ていった。

 何故か、あおいにまでダメ出しされた俺www
 とりあえず、タバコすって地元帰ろうwww

 そんなこんなで、レッスン初日の夜は更けていった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件

こうたろ
青春
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ずっと一緒にいようね

仏白目
恋愛
あるいつもと同じ朝 おれは朝食のパンをかじりながらスマホでニュースの記事に目をとおしてた 「ねえ 生まれ変わっても私と結婚する?」 「ああ もちろんだよ」 「ふふっ 正直に言っていいんだよ?」 「えっ、まぁなぁ 同じ事繰り返すのもなんだし・・   次は別のひとがいいかも  お前もそうだろ? なぁ?」 言いながらスマホの画面から視線を妻に向けると   「・・・・・」 失意の顔をした 妻と目が合った 「え・・・?」 「・・・・  」 *作者ご都合主義の世界観のフィクションです。

本物の夫は愛人に夢中なので、影武者とだけ愛し合います

こじまき
恋愛
幼い頃から許嫁だった王太子ヴァレリアンと結婚した公爵令嬢ディアーヌ。しかしヴァレリアンは身分の低い男爵令嬢に夢中で、初夜をすっぽかしてしまう。代わりに寝室にいたのは、彼そっくりの影武者…生まれたときに存在を消された双子の弟ルイだった。 ※「小説家になろう」にも投稿しています

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...