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ACT4 だからさ、優柔不断はそう簡単には治らないんだってば5

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 「・・・・で、なんで俺ん宅にいるの???」

 水族館前で捕獲したきなこ。
 どんだけ用意周到だったのか、駅のコインロッカーに着替えを仕込んでいたという。
 そんなきなこが、今夜も俺の部屋に転がり込んできた訳なんだが・・・・
 テーブルの向こうで、さも当然なような顔をして、風呂に入る準備をしてるきなこに、俺は呆れてそんなことを聞いた。
 きなこは、何故か満足気ににんまり笑って、テーブルに頬杖をつきながら、これまたさも当然のように言うんだ。

「えー!だってぇ!てっちゃん、ちゃんとご飯食べてなさそうだしぃ
ご飯ぐらい、きなこに作ってもらいたいとかぁ、思ってるかもぉ?とか思ったから!!」

「・・・・・・あほなの???ww」

「あたしは大真面目だよ!!」

「・・・・そっか・・・・!
でもおまえ・・・やっぱ、あほだろ?w」

「てっちゃんはぁ!あたしが泊まるのがそんなに嫌なの!?」

 ぷくっと頬をふくらませて、ハリセンボンのように怒った顔するきなこに、俺は苦笑するしかない。

「あのな?
だからな・・・いいか?
ここは男の一人暮らしの部屋だぞ??
おまえ、ちゃんとそれ判ってる???」

「わかってるよぉ!てっちゃんのばか!!」

「いやいやいやww」

 こいつぜってー危機感ないわwww
 でもまぁ・・・
 きなこだからな・・・
 あおいの時のように、ぐらっとは・・・こない、はず、多分w

 俺は、思わずため息をついた。

「とりあえず、はよ風呂いけよw
昨夜も今朝も、あおいが熱出してバタバタしてたから、俺も風呂入って寝たいわw
ってか・・・インフル移ってるかもしれないから、おまえにも移るかもしれないぞ?」

「大丈夫!そしたら予防で抗ウィルス薬飲むから!」

「おおう・・・そういう手があるのな?」

「医療関係者ですから!!」

「ですよね~」

「うん!じゃ、お風呂入ってくるぅ」

「うん」

 なんだかルンルンしながら、きなこはバスルームに消えて行った。
 俺は、呆れたような、でも、なんとなく安心するような、そんな妙な気分になりつつも、地味に今日は疲れたんで、バタっとベッドに倒れてみた。

 なんだかよくわらない、きなこの行動。
 意外とストレートにくる、あおいの言動。
 あの二人、親戚なのにほんと全然似てねーなw
 なのに、あんなに気が合うっていうのも不思議だけどさ・・・
 
 そんなこと思いつつ、なんとなく、頭が重くなってくる。
 そもそも、昨夜からバタバタ忙しかったからな。
 最近の俺・・・なんか、ちょー忙しくないか???
 やる気ない人生だったのに、めちゃくちゃ忙しくなってるのよな?

「やっべ・・・眠い・・・」

 大きく息を吐くと、うつ伏せになったまま、俺は目を閉じた。 
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