51 / 165
第5章︰エーリ学院【前編】
第47話
しおりを挟む
「おはようルナちゃん。」
翌日、教室でララと話をしていると、フランがこちらにやって来た。
「あ、おはようフラン。もう身体は平気?」
「うん。随分良くなったよ。ララちゃんもおはよう。」
「お、おはよう…。」
女子会で話した内容で動揺しているのか、彼女は目を逸らしながら挨拶を交わした。
「ララちゃんどうしたの?なんだか元気ないね?」
「そ、そんなことないよ!」
彼はララの元に近づくと、彼女の額に手を当てた。
「え、な、何///!?」
「うーん。熱はなさそうだね…。顔が赤いけど…なんの病気かな?ルナちゃんわかる?」
「え?んーと…。」
「恋の病よ…。」
鞄を持ったまま、ユイがこちらに歩み寄ってきた。
「ユ、ユイちゃん!?」
「コイノ…ヤマイ?それって、どんな病気なの?」
「知らないの?…女子なら誰でもなる病気よ。」
「え!…そ、そうなんだ…。ごめんね…ララちゃん…悪気はなかったんだ…。」
彼は申し訳なさそうに彼女の額から手を引くと、後ろに2歩程下がって距離をとった。
「う、うん…大丈夫。気にしてないよ…。」
「じゃあ…僕は席に戻るね。また後で。」
恋の病と聞いて、一体彼はどんな病気を想像したのだろうか…。彼の謎は深まるばかりだった。
授業中、私はぼーっと窓の外を眺めて考え事をしていた。
フランとララの事も気になるのだが、今の私の頭の中にはルカの事が浮かんでいた。好きな人は誰かと聞かれて、私はミグと答えた。しかしミグは使い魔であり、好きは好きでも恋や愛ではない事は自分が1番よくわかっていた。そうした時、私が好きな人とは誰なのだろうか?自分にそう問いかけると、真っ先に思い浮かぶのはルカだった。
初めて会ったのは夢の中だったが、彼の優しい性格と、気さくな笑顔が心地よく感じ、一緒にいるのが楽しいといつも思っていた。恋や愛がどういうものなのか、フラン程ではないが私にもイマイチよくわからない。好きとは一体なんなのか…
「…ルナさん!!!」
「え!?あ、はい!!!」
「何をぼーっとしているのですか!授業中ですよ!?」
遠くにいたはずのニム先生が、私の目の前まで迫っていた事に全く気づかなかった。周りの生徒達が、くすくすと笑い始める。
「ご、ごめんなさい…。」
「ルナさん。教科書のこの部分読んでください。」
「は、はい…。」
言われた通り、教科書を読み始めた。
好きとは一体なんなのか…。その答えがすぐに出ることはなかった。
「お、おかえり…ルナ。」
「た、ただいま…。」
あれから、ルカとは仲直りをした…はずなのだが、なんとなく気まずい空気が流れ、ギクシャクした関係が続いていた。
彼が座っている前のテーブルに、様々な草花が広げられている。
「それ…薬草?」
「あー…うん。この前、夜中に摘んだやつだよ。」
「あぁ…あの時の…。」
暗くなった森の中を彼と歩いた事、珍しく彼が声を荒らげて怒った事、去り際に彼が見せた表情…起こった出来事が頭の中で繰り返される。
「その…立ってないで座ったら?」
「あ、うん…。」
彼の向かいのソファーに座ると、彼は再び手を動かし始めた。
溝がついている器の中に薬草を入れると、木の棒を動かして粉々にすり潰した。粉々になった数種類の薬草を白い紙の上にのせて、透明な瓶に詰めていく。その瓶を塞ぐように、彼はそっと手を乗せた。
「“ミラの加護を受けし者。光の精霊と契を交わし、我に力を与えよ。我が祈りは加護となり、その恩恵は汝に還らん。更なる力を、我に授けたまえ。リカールストヴァ”」
彼は、私の目の前で光魔法を唱えてみせた。驚きの余り、思わず出そうになった声を手で抑え込んだ。瓶の中の薬草が溶け始め、緑色の液体に変化した。
「…ルナ。どうしたの?…気分が悪い?」
「う、ううん…びっくり…しただけ…。」
「びっくり?薬を生成するのは初めて見た?」
「それもそうだけど…光の魔法を使ってたから…。ルカって魔法が使えたんだね。」
「あ、うん…前は使えなかったんだけど…。ここに来てから使えるようになったみたい。それから本を読んで勉強したんだ。」
「ここに来た。」それは、ルカの身体が無くなり、私の身体の中に入ったという事を意味していた。
「そう…なんだ…。」
「ただいまー。」
薬草のはいった籠を持ったミグが、家に戻ってきた。
「おかえりミグ。」
「あ、ルナ。来てたんだな。」
「うん…。」
「ルカ。この薬草どこに置く?」
「あ、じゃあ…棚にしまって置いてくれる?」
「了解。」
彼は部屋の奥に消えていくと、再びルカと2人きりになった。
「ルナ。そろそろ起きる時間だよ。」
「え、そう?…そっか。」
その場に立ち上がると、彼も同じように立ち上がり、先程作った薬の瓶を私に差し出した。
「これ、よかったら飲んで。」
「これって…どんな薬なの?」
「実は…なんの効果もないんだ。」
「へ…?じゃあ、なんの為に…?」
「僕が初めて作った薬だから…ルナに飲んでもらいたいな…って。その代わり、美味しく出来てるはずだから…!」
「う、うん…なら貰うね。」
瓶の蓋を開けると、花の甘い香りが鼻を抜けていく。飲んでみると、香りと同じように甘い味が口の中に広がった。甘過ぎず、後味が残りにくくて飲みやすい、薬とは思えない物だった。
「おいしい…。これ、本当に薬なの?」
「よかった…!えっと…薬のつもりで作ったけど…。効果はないから…薬じゃないのかもね。」
「あはは…何それ!…次はちゃんと成功した薬を作ってね?」
「う、うん。頑張るよ。」
「じゃあそろそろ行くね。」
「うん。いってらっしゃい。」
ルカの薬を飲んでから数日の間、随分と調子がよかった。忘れ物はしなかったし、授業中にニム先生に怒られる事もなく、平和な日々を過ごしていた。
「ねえルナ。最近いい事あった?」
「え?どうして?」
「機嫌がいいように見えるからよ。」
「そうかな?普通だと思うけど?」
「なんか怪しいわね…。」
「えー?そんな事…」
ユイと話をしながら廊下を歩いていると、曲がり角から突然現れた人影とぶつかった。身体が投げ飛ばされ、床に倒れ込んだ。
「ってて…。」
「ルナ!大丈夫!?…ちょっとあんたどこ見て歩…」
ユイの目線の先には、私と同じように床に倒れた少女の姿があった。腰の辺りまで伸びていそうな長めの金髪のツインテールをしていて、青いリボンをつけている。彼女が目を開くと、透き通った翠色の瞳と目が合った。その少女は、ユイを生き写したのではないかと言える程に、そっくりだった。
「ユ、ユイにそっくり…。」
「あんた…なんでこんな所にいるの?」
「…ぶつかってごめん。怪我…ない?」
少女は立ち上がると、私に手を差し出した。彼女の手は、白い手袋で覆われている。
「大丈夫です…。その…あなたは大丈夫ですか?」
「平気。」
「ルナ。行きましょ。授業に遅れるわ。」
「で、でも…この子…」
「そんなのに構わなくていいから!早く行きましょ!」
ユイは強引に手を引き、教室へと向かった。
「ねえララ。さっき、ユイに凄く似た子と会ったんだけど…。誰か知ってる?」
休憩の時間、ララとトイレにやってくると、廊下で出会った少女の話をした。
「ユイちゃんに似た子?あぁ…ユノさんの事かな?」
「ユノさん?名前までそっくり…。」
「そりゃそうだよ。双子の姉妹なんだよ?」
「へー!ユイって双子だったんだ!知らなかった。」
「凄く似てるよね。リボンの色とか髪の長さとかちょっとだけ違う所があるし、性格は全く違うから…見間違える事はほとんどないけどね。」
「そうなんだ…。」
「でも…ユイちゃんの前でユノさんの話はしない方がいいよ。機嫌悪くなっちゃうから。」
「ふぅん…なんでだろうね?」
「そこまでは知らないけど…。触らぬ神に祟りなしだよ、ルナちゃん。」
「う、うん…わかった。そうするね。」
授業を終えて、いつものように部屋に戻ろうと荷物をまとめていると、遠くの方でフランが声を掛けてきた。
「ルナちゃーん。ちょっと来てー。」
「なんだろ?はーい。」
教室の扉までやってくると、廊下で出会った少女、ユノの姿があった。
「あ、あなたは…ユノさん…?」
「はい。」
「ルナちゃんに、渡したい物があるんだって。」
「渡したい物?」
「正確には、渡して欲しい物。姉様に。」
「姉様って…。」
「ユイちゃんの事だね。彼女なら、まだ教室にいるよ?直接渡したら?」
「いえ、あなたにお願いします。これ。」
彼女はポケットからピンクのハンカチを取り出すと、それを私に差し出した。
「これ、ユイのハンカチ?」
「そう。あなたが、拾った事にして。…後は、お願いします。」
彼女はそう言い残すと、静かに来た道を戻って行った。
「フランは2人の事知ってる?」
「もちろん。有名な話だから、エーリにいる人は大体知ってるはずだよ。」
「仲が悪いの?喧嘩してるとか…?」
「仲は悪いよ、ものすごく。喧嘩じゃないけどね。」
「喧嘩じゃないならなんで…」
「ユイちゃんは、姉だけど下級吸血鬼。それに比べてユノちゃんは、妹なのに上級吸血鬼。エーリで1番2番を争う魔法の使い手なんだ。ユイちゃんからしたら、姉としての立場はないし、妹ばかりチヤホヤされていい気はしないんだろうね。」
「へぇ…そうなんだ…。」
「ちょっと2人共何してるのー?早くルナの部屋行きましょー?」
教室の中からユイの声が聞こえ、私達は慌てて中へ戻って行った。
翌日、教室でララと話をしていると、フランがこちらにやって来た。
「あ、おはようフラン。もう身体は平気?」
「うん。随分良くなったよ。ララちゃんもおはよう。」
「お、おはよう…。」
女子会で話した内容で動揺しているのか、彼女は目を逸らしながら挨拶を交わした。
「ララちゃんどうしたの?なんだか元気ないね?」
「そ、そんなことないよ!」
彼はララの元に近づくと、彼女の額に手を当てた。
「え、な、何///!?」
「うーん。熱はなさそうだね…。顔が赤いけど…なんの病気かな?ルナちゃんわかる?」
「え?んーと…。」
「恋の病よ…。」
鞄を持ったまま、ユイがこちらに歩み寄ってきた。
「ユ、ユイちゃん!?」
「コイノ…ヤマイ?それって、どんな病気なの?」
「知らないの?…女子なら誰でもなる病気よ。」
「え!…そ、そうなんだ…。ごめんね…ララちゃん…悪気はなかったんだ…。」
彼は申し訳なさそうに彼女の額から手を引くと、後ろに2歩程下がって距離をとった。
「う、うん…大丈夫。気にしてないよ…。」
「じゃあ…僕は席に戻るね。また後で。」
恋の病と聞いて、一体彼はどんな病気を想像したのだろうか…。彼の謎は深まるばかりだった。
授業中、私はぼーっと窓の外を眺めて考え事をしていた。
フランとララの事も気になるのだが、今の私の頭の中にはルカの事が浮かんでいた。好きな人は誰かと聞かれて、私はミグと答えた。しかしミグは使い魔であり、好きは好きでも恋や愛ではない事は自分が1番よくわかっていた。そうした時、私が好きな人とは誰なのだろうか?自分にそう問いかけると、真っ先に思い浮かぶのはルカだった。
初めて会ったのは夢の中だったが、彼の優しい性格と、気さくな笑顔が心地よく感じ、一緒にいるのが楽しいといつも思っていた。恋や愛がどういうものなのか、フラン程ではないが私にもイマイチよくわからない。好きとは一体なんなのか…
「…ルナさん!!!」
「え!?あ、はい!!!」
「何をぼーっとしているのですか!授業中ですよ!?」
遠くにいたはずのニム先生が、私の目の前まで迫っていた事に全く気づかなかった。周りの生徒達が、くすくすと笑い始める。
「ご、ごめんなさい…。」
「ルナさん。教科書のこの部分読んでください。」
「は、はい…。」
言われた通り、教科書を読み始めた。
好きとは一体なんなのか…。その答えがすぐに出ることはなかった。
「お、おかえり…ルナ。」
「た、ただいま…。」
あれから、ルカとは仲直りをした…はずなのだが、なんとなく気まずい空気が流れ、ギクシャクした関係が続いていた。
彼が座っている前のテーブルに、様々な草花が広げられている。
「それ…薬草?」
「あー…うん。この前、夜中に摘んだやつだよ。」
「あぁ…あの時の…。」
暗くなった森の中を彼と歩いた事、珍しく彼が声を荒らげて怒った事、去り際に彼が見せた表情…起こった出来事が頭の中で繰り返される。
「その…立ってないで座ったら?」
「あ、うん…。」
彼の向かいのソファーに座ると、彼は再び手を動かし始めた。
溝がついている器の中に薬草を入れると、木の棒を動かして粉々にすり潰した。粉々になった数種類の薬草を白い紙の上にのせて、透明な瓶に詰めていく。その瓶を塞ぐように、彼はそっと手を乗せた。
「“ミラの加護を受けし者。光の精霊と契を交わし、我に力を与えよ。我が祈りは加護となり、その恩恵は汝に還らん。更なる力を、我に授けたまえ。リカールストヴァ”」
彼は、私の目の前で光魔法を唱えてみせた。驚きの余り、思わず出そうになった声を手で抑え込んだ。瓶の中の薬草が溶け始め、緑色の液体に変化した。
「…ルナ。どうしたの?…気分が悪い?」
「う、ううん…びっくり…しただけ…。」
「びっくり?薬を生成するのは初めて見た?」
「それもそうだけど…光の魔法を使ってたから…。ルカって魔法が使えたんだね。」
「あ、うん…前は使えなかったんだけど…。ここに来てから使えるようになったみたい。それから本を読んで勉強したんだ。」
「ここに来た。」それは、ルカの身体が無くなり、私の身体の中に入ったという事を意味していた。
「そう…なんだ…。」
「ただいまー。」
薬草のはいった籠を持ったミグが、家に戻ってきた。
「おかえりミグ。」
「あ、ルナ。来てたんだな。」
「うん…。」
「ルカ。この薬草どこに置く?」
「あ、じゃあ…棚にしまって置いてくれる?」
「了解。」
彼は部屋の奥に消えていくと、再びルカと2人きりになった。
「ルナ。そろそろ起きる時間だよ。」
「え、そう?…そっか。」
その場に立ち上がると、彼も同じように立ち上がり、先程作った薬の瓶を私に差し出した。
「これ、よかったら飲んで。」
「これって…どんな薬なの?」
「実は…なんの効果もないんだ。」
「へ…?じゃあ、なんの為に…?」
「僕が初めて作った薬だから…ルナに飲んでもらいたいな…って。その代わり、美味しく出来てるはずだから…!」
「う、うん…なら貰うね。」
瓶の蓋を開けると、花の甘い香りが鼻を抜けていく。飲んでみると、香りと同じように甘い味が口の中に広がった。甘過ぎず、後味が残りにくくて飲みやすい、薬とは思えない物だった。
「おいしい…。これ、本当に薬なの?」
「よかった…!えっと…薬のつもりで作ったけど…。効果はないから…薬じゃないのかもね。」
「あはは…何それ!…次はちゃんと成功した薬を作ってね?」
「う、うん。頑張るよ。」
「じゃあそろそろ行くね。」
「うん。いってらっしゃい。」
ルカの薬を飲んでから数日の間、随分と調子がよかった。忘れ物はしなかったし、授業中にニム先生に怒られる事もなく、平和な日々を過ごしていた。
「ねえルナ。最近いい事あった?」
「え?どうして?」
「機嫌がいいように見えるからよ。」
「そうかな?普通だと思うけど?」
「なんか怪しいわね…。」
「えー?そんな事…」
ユイと話をしながら廊下を歩いていると、曲がり角から突然現れた人影とぶつかった。身体が投げ飛ばされ、床に倒れ込んだ。
「ってて…。」
「ルナ!大丈夫!?…ちょっとあんたどこ見て歩…」
ユイの目線の先には、私と同じように床に倒れた少女の姿があった。腰の辺りまで伸びていそうな長めの金髪のツインテールをしていて、青いリボンをつけている。彼女が目を開くと、透き通った翠色の瞳と目が合った。その少女は、ユイを生き写したのではないかと言える程に、そっくりだった。
「ユ、ユイにそっくり…。」
「あんた…なんでこんな所にいるの?」
「…ぶつかってごめん。怪我…ない?」
少女は立ち上がると、私に手を差し出した。彼女の手は、白い手袋で覆われている。
「大丈夫です…。その…あなたは大丈夫ですか?」
「平気。」
「ルナ。行きましょ。授業に遅れるわ。」
「で、でも…この子…」
「そんなのに構わなくていいから!早く行きましょ!」
ユイは強引に手を引き、教室へと向かった。
「ねえララ。さっき、ユイに凄く似た子と会ったんだけど…。誰か知ってる?」
休憩の時間、ララとトイレにやってくると、廊下で出会った少女の話をした。
「ユイちゃんに似た子?あぁ…ユノさんの事かな?」
「ユノさん?名前までそっくり…。」
「そりゃそうだよ。双子の姉妹なんだよ?」
「へー!ユイって双子だったんだ!知らなかった。」
「凄く似てるよね。リボンの色とか髪の長さとかちょっとだけ違う所があるし、性格は全く違うから…見間違える事はほとんどないけどね。」
「そうなんだ…。」
「でも…ユイちゃんの前でユノさんの話はしない方がいいよ。機嫌悪くなっちゃうから。」
「ふぅん…なんでだろうね?」
「そこまでは知らないけど…。触らぬ神に祟りなしだよ、ルナちゃん。」
「う、うん…わかった。そうするね。」
授業を終えて、いつものように部屋に戻ろうと荷物をまとめていると、遠くの方でフランが声を掛けてきた。
「ルナちゃーん。ちょっと来てー。」
「なんだろ?はーい。」
教室の扉までやってくると、廊下で出会った少女、ユノの姿があった。
「あ、あなたは…ユノさん…?」
「はい。」
「ルナちゃんに、渡したい物があるんだって。」
「渡したい物?」
「正確には、渡して欲しい物。姉様に。」
「姉様って…。」
「ユイちゃんの事だね。彼女なら、まだ教室にいるよ?直接渡したら?」
「いえ、あなたにお願いします。これ。」
彼女はポケットからピンクのハンカチを取り出すと、それを私に差し出した。
「これ、ユイのハンカチ?」
「そう。あなたが、拾った事にして。…後は、お願いします。」
彼女はそう言い残すと、静かに来た道を戻って行った。
「フランは2人の事知ってる?」
「もちろん。有名な話だから、エーリにいる人は大体知ってるはずだよ。」
「仲が悪いの?喧嘩してるとか…?」
「仲は悪いよ、ものすごく。喧嘩じゃないけどね。」
「喧嘩じゃないならなんで…」
「ユイちゃんは、姉だけど下級吸血鬼。それに比べてユノちゃんは、妹なのに上級吸血鬼。エーリで1番2番を争う魔法の使い手なんだ。ユイちゃんからしたら、姉としての立場はないし、妹ばかりチヤホヤされていい気はしないんだろうね。」
「へぇ…そうなんだ…。」
「ちょっと2人共何してるのー?早くルナの部屋行きましょー?」
教室の中からユイの声が聞こえ、私達は慌てて中へ戻って行った。
0
あなたにおすすめの小説
【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~
ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。
王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。
15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。
国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。
これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。
転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする
初
ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。
リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。
これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。
【完結】異世界転移した私がドラゴンの魔女と呼ばれるまでの話
yuzuku
ファンタジー
ベランダから落ちて死んだ私は知らない森にいた。
知らない生物、知らない植物、知らない言語。
何もかもを失った私が唯一見つけた希望の光、それはドラゴンだった。
臆病で自信もないどこにでもいるような平凡な私は、そのドラゴンとの出会いで次第に変わっていく。
いや、変わらなければならない。
ほんの少しの勇気を持った女性と青いドラゴンが冒険する異世界ファンタジー。
彼女は後にこう呼ばれることになる。
「ドラゴンの魔女」と。
※この物語はフィクションです。
実在の人物・団体とは一切関係ありません。
魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした
たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。
死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
莫大な遺産を相続したら異世界でスローライフを楽しむ
翔千
ファンタジー
小鳥遊 紅音は働く28歳OL
十八歳の時に両親を事故で亡くし、引き取り手がなく天涯孤独に。
高校卒業後就職し、仕事に明け暮れる日々。
そんなある日、1人の弁護士が紅音の元を訪ねて来た。
要件は、紅音の母方の曾祖叔父が亡くなったと言うものだった。
曾祖叔父は若い頃に単身外国で会社を立ち上げ生涯独身を貫いき、血縁者が紅音だけだと知り、曾祖叔父の遺産を一部を紅音に譲ると遺言を遺した。
その額なんと、50億円。
あまりの巨額に驚くがなんとか手続きを終える事が出来たが、巨額な遺産の事を何処からか聞きつけ、金の無心に来る輩が次々に紅音の元を訪れ、疲弊した紅音は、誰も知らない土地で一人暮らしをすると決意。
だが、引っ越しを決めた直後、突然、異世界に召喚されてしまった。
だが、持っていた遺産はそのまま異世界でも使えたので、遺産を使って、スローライフを楽しむことにしました。
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる