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第12章︰出会いと別れの先
第104話
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「じゃあ2人共、身体に気をつけてね。」
「ありがとうございますクラーレさん。」
「行ってらっしゃい。」
「い、いってきます!」
翌日、ノースガルム港へやって来ると、僕とイルムはディオース島付近へ向かう漁船に乗せてもらう事になった。クラーレさんに見送られ、船は港を離れて沖に進み出した。
隣に立っている彼女は、身体の前で両手を握りしめて港の方を真っ直ぐ見つめている。
「イルム…大丈夫?」
「え?何が?」
「なんだか緊張してるように見えるから…。」
「実は…船に乗るの初めてなんだよね。ちょっと緊張してる…。」
「あ、そうなんだ。どおりで…」
「はっ…!ごめんなさい!ついルナと喋るみたいに…」
「ううん。その方がいいよ!…とりあえずそこに座る?」
「あ、はい!」
船の中央に設置された、ベンチのような場所に並んで腰を下ろした。
「やっぱり双子だね。喋り方も雰囲気もすごく似てる!」
「そう…かな?」
「うん。昔からギルドで暮らしてたルカくんが戻って来て、みんな嬉しそうだったけど…私はルナも一緒に帰って来てくれたみたいで嬉しいな。」
「一緒に…かぁ。」
僕もルナと一緒に、戻って来られるものならそうしたかった。しかし、彼女と身体が1つになってしまった時点で、いつかこうなる運命だったのかもしれない。
「あ…えと…!そのブレスレットも、ルナが付けてたのと同じ奴だよね?お揃いでつけてるの?」
「うん…そうだよ。」
「そっか!…あれ?それって、髪飾りじゃないの?どうして胸元につけてるの?」
「あーえっと、これは…」
僕は彼女と様々な話をした。とても気さくな彼女は、話をしているだけで明るい気持ちになり、数日かかる長い航海があっという間に過ぎて行くような気がした。
「乗せて頂いてありがとうございました。」
「とっても助かりました!」
「おう!それじゃ、元気でな!」
「はい!ありがとうございますっ…!」
無事、島に辿り着いた僕達は、乗せてくれた船の人達にお礼を言った。桟橋から離れていく船を見送ると、陸地へ向かって歩き出した。
「初めての船、どうだった?」
「思ってたより快適だった!船は揺れるから、酔いやすいって聞いてたんだけど…そうでもなかったなぁ。」
「ならよかった。移動に結構時間かかっちゃうからね…船が苦手な人には辛…」
「うわぁ!?」
ーバッシャーン!
彼女は桟橋から足を滑らせ、海へ転落した。
「イルム!大丈夫!?」
「大丈夫…!泳ぐのは結構得意なの!」
「待ってて!今引き上げ…」
彼女を海から引き上げようと、その場にしゃがんで手を伸ばした。
「あ!」
「ど、どうしたの!?」
「足がつっ……もごもご…」
もう少しで手が届くという所で、海に引き込まれるように沈んでいってしまった。
「うわー!?イルムー!え、えっと…こういう時はどうしたら…」
夢の中だったが、1度溺れた事があるせいで泳ぎに自信のなかった僕は、足がすくんでその場に立ち尽くしていた。
「どいてろ!」
「え…!」
突如現れた島の住人が、なんの躊躇もなく海へ飛び込んでいった。彼はイルムの身体を支えると、陸へ向かって泳いで行った。
「イルムー!」
浜辺に辿り着いた2人の元に駆け寄ると、彼女は飲み込んでしまった海水を吐き出していた。
「げほげほ…!まさか…こんな時に足がつるなんて…。」
「あ、ありがとうございました!助けて下さって…」
「いやいいよ。たまたま見つけ…ルカ!ルカなのか!?」
先程はイルムが溺れた事で頭がいっぱいになり、彼の事をよく見ていなかった。改めて彼女の隣に座っている彼の顔を見てみると、彼はギルドメンバーのガゼルだった。
「ガゼル!」
「え?この人が?」
「いつの間に戻って来たんだ?なんでここに?こいつは誰だ?」
「ま、待ってガゼル!ゆっくり話が出来る時間はあるから…まずは家に行ってもいい?」
「そ、そうだな…。」
「イルムは、もう大丈夫そう?立てる?」
「うん!ごめんねルカくん…もう大丈夫!」
「なら行くか。こっちだ。」
彼の案内で家に招かれると、以前ルナの身体でここにやって来た時の事を思い出した。
「変わってないなぁ…。」
「え?」
おもわず思っていた事を口にしてしまい、慌てて弁明を試みた。
「あ、ガゼルの事だよ!リアーナは随分雰囲気変わってたけど、ガゼルは変わってないなーって…。」
「そうか…リアーナとも会ったんだな。元気にしてたか?」
「うん。元気そうだったよ。」
「立ち話じゃあれだな…とにかくその辺に座ってくれ。飲み物持ってくるよ。」
「お、お構いなくー…!」
「ふーん…お前がイルムか。リアーナから話は聞いてたけど…ほんとドジなんだな。」
「あはは…すいません。」
「ガゼル…そんなにハッキリ言わなくても…。」
「わ、悪い…。嫌味を言うつもりはなかったんだが…。」
「だ、大丈夫です!慣れてますから…!」
「ウナとフェリは協会?」
「あぁ。まだ帰る時間には早いから…会いに行くか?せっかく来たんだし、ついでに街も見て回ろう。」
「はい是非!」
僕達は歩いて協会へ向かうと、扉を開いて中に入っていった。
「おーいフェリー。」
「あら?兄さん?どうかし…ルカくん!」
「あ、フェリ…!久しぶ」
彼女はこちらに駆け寄ると、勢いよく僕に抱きついた。すぐに身体を離すと、感触を確かめるように腕や肩をぺたぺたと触り始めた。
「本当にルカくん…!?幻?…それとも夢?」
「お、落ち着いてフェリ…!」
「そ、そうね…。夢でもなければ幻でもなさそうね…。」
「俺も色々聞きたいんだけど、お前等がいる時の方がいいかなって思ってさ。」
「確かにそうよね。私達3人に何度も話をするのは面倒だもの。…そちらの方は?」
彼女はイルムの方を見て、小さく首を傾げた。
「あ、私、ギルドの受付をしてます!イルムです!」
「あぁ…!あなたがそうなのね。初めまして、フェリシエルよ。フェリって呼んでねイルムちゃん。」
「は、はい!よろしくお願いします!」
「ウナは?」
「街に買い出しに行ってるわ。買い物が終わったらそのまま家に戻ると思うけど…。」
「なら俺達も街を見てから家に帰ろう。お前もそろそろ終わりだろ?」
「ええ。片付けが済んだら家に帰るわ。」
「じゃあ、また後でね。」
僕達は彼女と別れると、街の中をあちこち見て回った。しかしその途中でウナに会う事はなく、ガゼル達の家に戻って来た。
「ただいまー。ウナーいるかー?」
家から帰り、ガゼルが彼女の名前を呼んだ。すると奥の調理場から1人の少女が顔を覗かせた。
「ガゼル?どうし…」
「…ウナ!」
「ルカ…!?」
彼女は持っていた調理器具を手から離し、一目散に僕の元へやって来た。彼女の高さに合わせるようにその場にしゃがみ込むと、腕を広げて彼女を受け止めた。
ルナの身体としてここへ来た時、彼女は最後まで僕に心を開いてはくれなかった。しかし、元に戻った自分の身体で再びここへ来た僕に彼女は抱きつき、涙を流しながら僕の名前を何度も呼んだ。
「ルカ……っ…ルカぁ…!」
「っ……ウナ…。」
「ウナ…よかったな。ルカ、ちゃんと帰って来て。」
「うん…っ……よかった…!」
「ごめんねウナ…。心配かけて…。」
「ううん…。ルカが無事なら…なんでもいい!おかえり…ルカ。」
「うん。ただいま…ウナ。」
僕の無くしたものは、とてつもなく大きいものだった。けれどその分、取り戻したものも大きく、僕の心はそれで満たされたような気になった。
「そう…。ルナちゃんがあなたを助けてくれたのね。」
僕は、クラーレさんが考えた作り話を3人に話して聞かせた。
「2人の安否は…まだわからないんだけどね…。」
「お前の兄弟が見つかったのはいいけど、それ以外の記憶は戻ったのか?」
「ううん。それはまだ…」
「そっか…。まー、そう簡単にはいかないよな。」
「それと…しばらくの間、この島で過ごそうと思ってるんだけど…大丈夫?」
「何の心配してるんだよ。2人くらい増えても問題ない。必要ならルカの家を建ててもいいぞ?」
彼は冗談混じりにそう口にした。
「兄さん…さすがにそれはやり過ぎよ…。」
「なら増築するか?元々、客人用の部屋を作りたいって話をしてただろ?」
「まぁ…それくらいならいいかしら…。」
「もし作るなら、僕手伝うよ。」
「それなら私、ルカと同じ部屋がいい!」
隣に座っていたウナが僕の腕にしがみつき、2人に向かって主張し始めた。
「それは駄目よ…!」
「えー!なんで!」
「駄目なものは駄目なの。わがまま言わない!」
「うー…。」
フェリに反対されてしまい、彼女は残念そうに腕から身体を離した。
「ねえルカ…この人は?」
彼女は、僕の隣に座っているイルムを指さした。
「あ、ごめんねイルム。紹介するの遅くなって…。」
「あーううん!大丈夫だよ!私は、イルムって言うの。よろしくねウナちゃん!」
「…よろしく。」
「あ、あれ…?」
ウナは僕の身体に隠れるように身を寄せた。先程、僕達と会話をしていた時と別人のような彼女を見て、イルムは戸惑っている様子だった。
「ごめんねイルム…ウナは人見知りするタイプで…そのうち慣れると思うから!」
「そ、そうなんだ!うん!ゆっくりでいいよ!」
「イルムはいつ頃までこの島にいる予定なんだ?」
「えーっと…マスターがラヴィさんと連絡がとれたら、迎えに来て下さると言ってました!それまではお世話になります…。」
「わかった。ならそれまではフェリ達の部屋を使ってくれ。ルカは俺の部屋な。」
「ありがとうガゼル。」
「じゃあ…話も一通り済んだし、夕飯の準備をしましょうか。」
「あ、私手伝います!」
「僕も手伝うよ。」
「ありがとう2人共。じゃあお願いしようかな。」
「ありがとうございますクラーレさん。」
「行ってらっしゃい。」
「い、いってきます!」
翌日、ノースガルム港へやって来ると、僕とイルムはディオース島付近へ向かう漁船に乗せてもらう事になった。クラーレさんに見送られ、船は港を離れて沖に進み出した。
隣に立っている彼女は、身体の前で両手を握りしめて港の方を真っ直ぐ見つめている。
「イルム…大丈夫?」
「え?何が?」
「なんだか緊張してるように見えるから…。」
「実は…船に乗るの初めてなんだよね。ちょっと緊張してる…。」
「あ、そうなんだ。どおりで…」
「はっ…!ごめんなさい!ついルナと喋るみたいに…」
「ううん。その方がいいよ!…とりあえずそこに座る?」
「あ、はい!」
船の中央に設置された、ベンチのような場所に並んで腰を下ろした。
「やっぱり双子だね。喋り方も雰囲気もすごく似てる!」
「そう…かな?」
「うん。昔からギルドで暮らしてたルカくんが戻って来て、みんな嬉しそうだったけど…私はルナも一緒に帰って来てくれたみたいで嬉しいな。」
「一緒に…かぁ。」
僕もルナと一緒に、戻って来られるものならそうしたかった。しかし、彼女と身体が1つになってしまった時点で、いつかこうなる運命だったのかもしれない。
「あ…えと…!そのブレスレットも、ルナが付けてたのと同じ奴だよね?お揃いでつけてるの?」
「うん…そうだよ。」
「そっか!…あれ?それって、髪飾りじゃないの?どうして胸元につけてるの?」
「あーえっと、これは…」
僕は彼女と様々な話をした。とても気さくな彼女は、話をしているだけで明るい気持ちになり、数日かかる長い航海があっという間に過ぎて行くような気がした。
「乗せて頂いてありがとうございました。」
「とっても助かりました!」
「おう!それじゃ、元気でな!」
「はい!ありがとうございますっ…!」
無事、島に辿り着いた僕達は、乗せてくれた船の人達にお礼を言った。桟橋から離れていく船を見送ると、陸地へ向かって歩き出した。
「初めての船、どうだった?」
「思ってたより快適だった!船は揺れるから、酔いやすいって聞いてたんだけど…そうでもなかったなぁ。」
「ならよかった。移動に結構時間かかっちゃうからね…船が苦手な人には辛…」
「うわぁ!?」
ーバッシャーン!
彼女は桟橋から足を滑らせ、海へ転落した。
「イルム!大丈夫!?」
「大丈夫…!泳ぐのは結構得意なの!」
「待ってて!今引き上げ…」
彼女を海から引き上げようと、その場にしゃがんで手を伸ばした。
「あ!」
「ど、どうしたの!?」
「足がつっ……もごもご…」
もう少しで手が届くという所で、海に引き込まれるように沈んでいってしまった。
「うわー!?イルムー!え、えっと…こういう時はどうしたら…」
夢の中だったが、1度溺れた事があるせいで泳ぎに自信のなかった僕は、足がすくんでその場に立ち尽くしていた。
「どいてろ!」
「え…!」
突如現れた島の住人が、なんの躊躇もなく海へ飛び込んでいった。彼はイルムの身体を支えると、陸へ向かって泳いで行った。
「イルムー!」
浜辺に辿り着いた2人の元に駆け寄ると、彼女は飲み込んでしまった海水を吐き出していた。
「げほげほ…!まさか…こんな時に足がつるなんて…。」
「あ、ありがとうございました!助けて下さって…」
「いやいいよ。たまたま見つけ…ルカ!ルカなのか!?」
先程はイルムが溺れた事で頭がいっぱいになり、彼の事をよく見ていなかった。改めて彼女の隣に座っている彼の顔を見てみると、彼はギルドメンバーのガゼルだった。
「ガゼル!」
「え?この人が?」
「いつの間に戻って来たんだ?なんでここに?こいつは誰だ?」
「ま、待ってガゼル!ゆっくり話が出来る時間はあるから…まずは家に行ってもいい?」
「そ、そうだな…。」
「イルムは、もう大丈夫そう?立てる?」
「うん!ごめんねルカくん…もう大丈夫!」
「なら行くか。こっちだ。」
彼の案内で家に招かれると、以前ルナの身体でここにやって来た時の事を思い出した。
「変わってないなぁ…。」
「え?」
おもわず思っていた事を口にしてしまい、慌てて弁明を試みた。
「あ、ガゼルの事だよ!リアーナは随分雰囲気変わってたけど、ガゼルは変わってないなーって…。」
「そうか…リアーナとも会ったんだな。元気にしてたか?」
「うん。元気そうだったよ。」
「立ち話じゃあれだな…とにかくその辺に座ってくれ。飲み物持ってくるよ。」
「お、お構いなくー…!」
「ふーん…お前がイルムか。リアーナから話は聞いてたけど…ほんとドジなんだな。」
「あはは…すいません。」
「ガゼル…そんなにハッキリ言わなくても…。」
「わ、悪い…。嫌味を言うつもりはなかったんだが…。」
「だ、大丈夫です!慣れてますから…!」
「ウナとフェリは協会?」
「あぁ。まだ帰る時間には早いから…会いに行くか?せっかく来たんだし、ついでに街も見て回ろう。」
「はい是非!」
僕達は歩いて協会へ向かうと、扉を開いて中に入っていった。
「おーいフェリー。」
「あら?兄さん?どうかし…ルカくん!」
「あ、フェリ…!久しぶ」
彼女はこちらに駆け寄ると、勢いよく僕に抱きついた。すぐに身体を離すと、感触を確かめるように腕や肩をぺたぺたと触り始めた。
「本当にルカくん…!?幻?…それとも夢?」
「お、落ち着いてフェリ…!」
「そ、そうね…。夢でもなければ幻でもなさそうね…。」
「俺も色々聞きたいんだけど、お前等がいる時の方がいいかなって思ってさ。」
「確かにそうよね。私達3人に何度も話をするのは面倒だもの。…そちらの方は?」
彼女はイルムの方を見て、小さく首を傾げた。
「あ、私、ギルドの受付をしてます!イルムです!」
「あぁ…!あなたがそうなのね。初めまして、フェリシエルよ。フェリって呼んでねイルムちゃん。」
「は、はい!よろしくお願いします!」
「ウナは?」
「街に買い出しに行ってるわ。買い物が終わったらそのまま家に戻ると思うけど…。」
「なら俺達も街を見てから家に帰ろう。お前もそろそろ終わりだろ?」
「ええ。片付けが済んだら家に帰るわ。」
「じゃあ、また後でね。」
僕達は彼女と別れると、街の中をあちこち見て回った。しかしその途中でウナに会う事はなく、ガゼル達の家に戻って来た。
「ただいまー。ウナーいるかー?」
家から帰り、ガゼルが彼女の名前を呼んだ。すると奥の調理場から1人の少女が顔を覗かせた。
「ガゼル?どうし…」
「…ウナ!」
「ルカ…!?」
彼女は持っていた調理器具を手から離し、一目散に僕の元へやって来た。彼女の高さに合わせるようにその場にしゃがみ込むと、腕を広げて彼女を受け止めた。
ルナの身体としてここへ来た時、彼女は最後まで僕に心を開いてはくれなかった。しかし、元に戻った自分の身体で再びここへ来た僕に彼女は抱きつき、涙を流しながら僕の名前を何度も呼んだ。
「ルカ……っ…ルカぁ…!」
「っ……ウナ…。」
「ウナ…よかったな。ルカ、ちゃんと帰って来て。」
「うん…っ……よかった…!」
「ごめんねウナ…。心配かけて…。」
「ううん…。ルカが無事なら…なんでもいい!おかえり…ルカ。」
「うん。ただいま…ウナ。」
僕の無くしたものは、とてつもなく大きいものだった。けれどその分、取り戻したものも大きく、僕の心はそれで満たされたような気になった。
「そう…。ルナちゃんがあなたを助けてくれたのね。」
僕は、クラーレさんが考えた作り話を3人に話して聞かせた。
「2人の安否は…まだわからないんだけどね…。」
「お前の兄弟が見つかったのはいいけど、それ以外の記憶は戻ったのか?」
「ううん。それはまだ…」
「そっか…。まー、そう簡単にはいかないよな。」
「それと…しばらくの間、この島で過ごそうと思ってるんだけど…大丈夫?」
「何の心配してるんだよ。2人くらい増えても問題ない。必要ならルカの家を建ててもいいぞ?」
彼は冗談混じりにそう口にした。
「兄さん…さすがにそれはやり過ぎよ…。」
「なら増築するか?元々、客人用の部屋を作りたいって話をしてただろ?」
「まぁ…それくらいならいいかしら…。」
「もし作るなら、僕手伝うよ。」
「それなら私、ルカと同じ部屋がいい!」
隣に座っていたウナが僕の腕にしがみつき、2人に向かって主張し始めた。
「それは駄目よ…!」
「えー!なんで!」
「駄目なものは駄目なの。わがまま言わない!」
「うー…。」
フェリに反対されてしまい、彼女は残念そうに腕から身体を離した。
「ねえルカ…この人は?」
彼女は、僕の隣に座っているイルムを指さした。
「あ、ごめんねイルム。紹介するの遅くなって…。」
「あーううん!大丈夫だよ!私は、イルムって言うの。よろしくねウナちゃん!」
「…よろしく。」
「あ、あれ…?」
ウナは僕の身体に隠れるように身を寄せた。先程、僕達と会話をしていた時と別人のような彼女を見て、イルムは戸惑っている様子だった。
「ごめんねイルム…ウナは人見知りするタイプで…そのうち慣れると思うから!」
「そ、そうなんだ!うん!ゆっくりでいいよ!」
「イルムはいつ頃までこの島にいる予定なんだ?」
「えーっと…マスターがラヴィさんと連絡がとれたら、迎えに来て下さると言ってました!それまではお世話になります…。」
「わかった。ならそれまではフェリ達の部屋を使ってくれ。ルカは俺の部屋な。」
「ありがとうガゼル。」
「じゃあ…話も一通り済んだし、夕飯の準備をしましょうか。」
「あ、私手伝います!」
「僕も手伝うよ。」
「ありがとう2人共。じゃあお願いしようかな。」
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