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シック・オブ・マイセルフ(2022/ノルウェー)
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承認欲求という名の底なし沼🤳
現代社会を生きる私たちにとって、切っても切り離せない「承認欲求」。
本作は、その欲求が暴走し、自分自身を破壊していく女性の姿を、これでもかというほど醜悪に、そして滑稽に描き出したホラー(ブラックコメディ?)です。
◆映画情報とキャスト
監督・脚本をクリストファー・ボルグリが手掛け、承認欲求の塊である主人公をクリスティン・クヤトゥ・ソープが演じています。
◆感想🤕
とてもいいヒューマンホラーで面白かったです!
学生時代に詐病して注目を集めるタイプの女性がいて、周囲から敬遠されていたのを思い出しました。その人はどんどん設定を盛って過去の設定を忘れる虚言タイプだったのでまだマシですが、本作の主人公は実際にヤバい薬を飲んでまで病気になり承認欲求を満たそうとしてきます。
主人公は最初からいけ好かない性格をしており、どんな目に遭っても同情せずに済むので観やすいです。
10代で卒業すべき痛々しさをいい大人になってまで熟成させ続け、そのせいで周りから真に好かれていない主人公。その雰囲気がものすごくリアルで、過去の自分に少しでも重なる部分があるなら見てられないかもしれません。
◆過激度:★★★
グロさは見せどころではないため控えめですが、ただれた肌や流血、嘔吐などがあります。グロいというよりもショッキングな感じです。
濡れ場はちょっとあります。
(※以下よりネタバレを含みます。未鑑賞の方はご注意ください)
◆映画の詳細:注目を浴びるための「自傷」
主人公のシグネは、何不自由ない生活を送っているように見えますが、内面は言い知れない劣等感と嫉妬に苛まれています。特に、アーティストとして脚光を浴び始めた恋人トーマスに対し、激しい対抗心を燃やしていました。
彼女が「注目を浴びる快感」に目覚めたきっかけは、働いているカフェで起きた事故。犬に襲われ血まみれになった女性を応急処置し、周囲から「勇敢な行動」と称賛されたことで、彼女の日常は一変します。
しかし、人の噂も長くは続きません。すぐに忘れ去られてしまう焦燥感から、彼女はとんでもない行動に出ます。
それは、重篤な副作用があるロシア製の違法薬物を大量に服用し、自らの皮膚をボロボロにすることでした。
シグネの目論見通り、顔面がただれ腫れ上がった彼女に、世間は同情と注目を寄せます。彼女はこれを「原因不明の奇病」と偽り、さらなる嘘を重ねていきます(病院で検査されると嘘がバレるから検査を拒絶するシーン、ムカつきます)。
• 恋人へのアピール: 自分が病気であることを強調し、トーマスの関心を自分に向けようとする。
• SNSとメディアの利用: 傷だらけの素顔をあえて晒すことで「勇気ある行動」としてバズり、モデル事務所からスカウトまで受ける。その上、自伝本の出版まで夢想する。
• 嘘の上塗り: グループセラピーでは「世界初の症例」だと嘘をつき、他の参加者と衝突する。
しかし、彼女の体は限界を迎えていました。モデルの撮影現場で吐血し、髪の毛が抜け落ち、ついには激しいけいれんを起こして倒れてしまいます。
最後、シグネの嘘はジャーナリストの友人に暴かれ、彼女は周囲の信頼を完全に失います。恋人のトーマスもまた、家具の窃盗がバレて逮捕・服役することになり、二人の関係は破綻しました(恋人も最初から普通にヤバい男です)。
物語のラスト、シグネは再びグループセラピーに参加しています。
そこで彼女は、今度こそ本音を語り、仲間たちと共に「生きたい」と涙を流します。この涙が、彼女の中の「毒」が抜けた瞬間だったのか、それとも新たな承認を得るためのパフォーマンスなのか……──。
◆私たちはシグネを笑えるのか?
本作を観て感じるのは、圧倒的な「痛さ」です。
シグネの行動は異常で人格障害とも言えますが、一方で「誰かに認められたい」「自分を見てほしい」という感情は、SNSが普及した現代において、誰もが少なからず抱えているものでもあります。
彼女にとって、他人からの視線こそが「生命維持装置」だったのでしょう。自分が透明人間のように扱われることへの恐怖が、彼女を自壊へと突き動かしました。
成功者の土俵じゃ戦えないから弱者バトルに参加して、そこでもより「弱い」存在に負け、満たされずに暴走していく。シグネは終始ウザくて痛くてダサいですが、自分にもその要素が皆無だとは言えないことを見せつけられる映画でした。
現代社会を生きる私たちにとって、切っても切り離せない「承認欲求」。
本作は、その欲求が暴走し、自分自身を破壊していく女性の姿を、これでもかというほど醜悪に、そして滑稽に描き出したホラー(ブラックコメディ?)です。
◆映画情報とキャスト
監督・脚本をクリストファー・ボルグリが手掛け、承認欲求の塊である主人公をクリスティン・クヤトゥ・ソープが演じています。
◆感想🤕
とてもいいヒューマンホラーで面白かったです!
学生時代に詐病して注目を集めるタイプの女性がいて、周囲から敬遠されていたのを思い出しました。その人はどんどん設定を盛って過去の設定を忘れる虚言タイプだったのでまだマシですが、本作の主人公は実際にヤバい薬を飲んでまで病気になり承認欲求を満たそうとしてきます。
主人公は最初からいけ好かない性格をしており、どんな目に遭っても同情せずに済むので観やすいです。
10代で卒業すべき痛々しさをいい大人になってまで熟成させ続け、そのせいで周りから真に好かれていない主人公。その雰囲気がものすごくリアルで、過去の自分に少しでも重なる部分があるなら見てられないかもしれません。
◆過激度:★★★
グロさは見せどころではないため控えめですが、ただれた肌や流血、嘔吐などがあります。グロいというよりもショッキングな感じです。
濡れ場はちょっとあります。
(※以下よりネタバレを含みます。未鑑賞の方はご注意ください)
◆映画の詳細:注目を浴びるための「自傷」
主人公のシグネは、何不自由ない生活を送っているように見えますが、内面は言い知れない劣等感と嫉妬に苛まれています。特に、アーティストとして脚光を浴び始めた恋人トーマスに対し、激しい対抗心を燃やしていました。
彼女が「注目を浴びる快感」に目覚めたきっかけは、働いているカフェで起きた事故。犬に襲われ血まみれになった女性を応急処置し、周囲から「勇敢な行動」と称賛されたことで、彼女の日常は一変します。
しかし、人の噂も長くは続きません。すぐに忘れ去られてしまう焦燥感から、彼女はとんでもない行動に出ます。
それは、重篤な副作用があるロシア製の違法薬物を大量に服用し、自らの皮膚をボロボロにすることでした。
シグネの目論見通り、顔面がただれ腫れ上がった彼女に、世間は同情と注目を寄せます。彼女はこれを「原因不明の奇病」と偽り、さらなる嘘を重ねていきます(病院で検査されると嘘がバレるから検査を拒絶するシーン、ムカつきます)。
• 恋人へのアピール: 自分が病気であることを強調し、トーマスの関心を自分に向けようとする。
• SNSとメディアの利用: 傷だらけの素顔をあえて晒すことで「勇気ある行動」としてバズり、モデル事務所からスカウトまで受ける。その上、自伝本の出版まで夢想する。
• 嘘の上塗り: グループセラピーでは「世界初の症例」だと嘘をつき、他の参加者と衝突する。
しかし、彼女の体は限界を迎えていました。モデルの撮影現場で吐血し、髪の毛が抜け落ち、ついには激しいけいれんを起こして倒れてしまいます。
最後、シグネの嘘はジャーナリストの友人に暴かれ、彼女は周囲の信頼を完全に失います。恋人のトーマスもまた、家具の窃盗がバレて逮捕・服役することになり、二人の関係は破綻しました(恋人も最初から普通にヤバい男です)。
物語のラスト、シグネは再びグループセラピーに参加しています。
そこで彼女は、今度こそ本音を語り、仲間たちと共に「生きたい」と涙を流します。この涙が、彼女の中の「毒」が抜けた瞬間だったのか、それとも新たな承認を得るためのパフォーマンスなのか……──。
◆私たちはシグネを笑えるのか?
本作を観て感じるのは、圧倒的な「痛さ」です。
シグネの行動は異常で人格障害とも言えますが、一方で「誰かに認められたい」「自分を見てほしい」という感情は、SNSが普及した現代において、誰もが少なからず抱えているものでもあります。
彼女にとって、他人からの視線こそが「生命維持装置」だったのでしょう。自分が透明人間のように扱われることへの恐怖が、彼女を自壊へと突き動かしました。
成功者の土俵じゃ戦えないから弱者バトルに参加して、そこでもより「弱い」存在に負け、満たされずに暴走していく。シグネは終始ウザくて痛くてダサいですが、自分にもその要素が皆無だとは言えないことを見せつけられる映画でした。
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