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学院編:オヴェルニー学院
【150話】vsシリルとクラリッサ2
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《ジュリア選手がシリル選手に回復魔法をかけていますね?!》
《今までの戦いはエキシビションマッチだったのでしょうか。アーサー選手が"2vs2はこれからだ"と言ってましたね》
《確かに先ほどまで魔法使いが一切関与してなかったので、まるで剣術対抗戦を見ているようでしたもんね!で、今から彼らの2vs2の戦いも見れる、と!なんと贅沢なんでしょうか!》
《…と、話している間にシリル選手が回復しましたね。剣術戦と2vs2では戦い方が変わってきます。彼らがどのように戦うのか、とても楽しみですね》
傷口がふさがったシリルは、立ち上がりジュリアに深く頭を下げた。
「ジュリア王女、ありがとうございます。おかげですっかり完治しました。クラリッサもありがとう」
「いいえかまわないわ。さ、では気を取り直して戦いましょう。今度はバンバン魔法を打ちますからね」
ジュリアがそう言うとクラリッサがそれに返した。
「私も次は全力で戦うわよ。シリル、いいわね」
「もちろん。さっきは気をつかってくれてありがとう」
「いいえ。あんなに楽しそうに剣を振るあなたを見れて良かったわ」
「アーサー、2vs2の僕はさっきみたいにお利口さんじゃないよ。準備はいい?」
「いつでもいいよ!」
アーサーはこくこく頷いて剣を構えた。審判が再度試合開始の合図をする。アーサーがクラリッサに狙いを定めて詰め寄ろうとしたが、シリルの背後には誰もいなかった。
「え?」
「きゃ!!」
ジュリアの驚いた声が聞こえて慌てて振り返ると、なんとクラリッサがジュリアの腹に蹴りを入れていた。ジュリアは蹴り飛ばされ床に倒れこむ。意識を失ったのかぐったりしている。クラリッサはアーサーと目が合うと、ニッと笑って杖を向けた。その瞬間アーサーの全身が炎に包まれる。
「あつっ!あっつー!!」
「いや、あつーとかそんなレベルじゃないと思うんだけど…」
火だるまになっているアーサーを通り過ぎ、シリルが倒れているジュリアに剣を振りあげた。
「っ!」
間一髪、アーサーが二人の間に割って入りシリルの剣を受け止めた。アーサーから肉の焦げた匂いがする。クラリッサは呆れた声を出した。
「私の炎魔法を受けてまだ動けるなんて…。あなた、本当に人間?」
「真っ黒こげにされるのは慣れてるからね!」
確かにクラリッサの炎魔法は危険だ。アーサーかダフでないと耐えられないだろう。だが、彼女とは比べ物にならないほど強い魔法をアーサーは幾度となく受けてきた。カミーユ、リアーナとの2vs2戦。聖魔法や聖水を使い始めた双子に上手に手加減する余裕がなくなった時のリアーナは、ついアーサーが瀕死になるほどの攻撃をしてしまうことがあったほどだ(リアーナはそのたびにジルとカトリナに叱られていた)。それに慣れてしまったアーサーにとって、クラリッサの炎はそれこそ「あつっ!」くらいの感覚でしかなった。
(でも、クラリッサは危険だ…!魔法が強い上に、体術まで一流だ。機動力のある魔法使いなんて戦ったことがない。ジュリアを2人で狙われたら…ジュリアも僕も防戦一方だ)
クラリッサに戸惑い、注意が彼女にいっているアーサーにシリルの剣が飛んでくる。反応が遅れてアーサーの頬から肩にかけて浅くない傷が入った。
「くっ!」
「クラリッサの家は、ライラさんの家と同じで魔法と武術両方を習得しなきゃ認めてもらえないんだ。魔法も体術も一流のクラリッサは、普通の魔法使いみたいに遠く離れたところでじっとしていてくれないよ。僕たちは超攻撃型ペアって呼ばれてる。セオリー通りの2vs2の戦術じゃ僕たちに勝てないよ」
「ほんとに厄介だよ…!」
(クラリッサはジュリアより魔法が強い。彼女を倒さないとジュリアの目が覚めたとしても機能しない。彼女を先に倒しといた方が良いに決まってる…。でもシリルの攻撃からジュリアを守らないといけないからここを離れられない…!どうしたら…)
「よっと!」
「ぐぁっ」
シリルの剣を防いでいたアーサーの背後からクラリッサの蹴りが飛んできた。横なぎに吹っ飛ばされてジュリアの傍から離れてしまう。まともに蹴りを食らった腕がじんと痺れている。
(ひび入った…)
息つく間もなく腹を蹴り上げられ、アーサーの口からドバっと血が零れ落ちる。よろけたアーサーに無数の鋭い風魔法が襲い掛かり、全身から血が噴き出した。クラリッサの攻撃がやむとシリルが距離を詰め、アーサーに剣を突き刺した。
流れるような連携攻撃に、何よりあのアーサーが一方的に攻撃を受けている姿に、観客が声援を送ることも忘れて見入っていた。リーノとニコロも実況を放棄してしまっている。
「がふっ…」
シリルが剣を引き抜くとアーサーが腹を押さえながら膝をついた。
《今までの戦いはエキシビションマッチだったのでしょうか。アーサー選手が"2vs2はこれからだ"と言ってましたね》
《確かに先ほどまで魔法使いが一切関与してなかったので、まるで剣術対抗戦を見ているようでしたもんね!で、今から彼らの2vs2の戦いも見れる、と!なんと贅沢なんでしょうか!》
《…と、話している間にシリル選手が回復しましたね。剣術戦と2vs2では戦い方が変わってきます。彼らがどのように戦うのか、とても楽しみですね》
傷口がふさがったシリルは、立ち上がりジュリアに深く頭を下げた。
「ジュリア王女、ありがとうございます。おかげですっかり完治しました。クラリッサもありがとう」
「いいえかまわないわ。さ、では気を取り直して戦いましょう。今度はバンバン魔法を打ちますからね」
ジュリアがそう言うとクラリッサがそれに返した。
「私も次は全力で戦うわよ。シリル、いいわね」
「もちろん。さっきは気をつかってくれてありがとう」
「いいえ。あんなに楽しそうに剣を振るあなたを見れて良かったわ」
「アーサー、2vs2の僕はさっきみたいにお利口さんじゃないよ。準備はいい?」
「いつでもいいよ!」
アーサーはこくこく頷いて剣を構えた。審判が再度試合開始の合図をする。アーサーがクラリッサに狙いを定めて詰め寄ろうとしたが、シリルの背後には誰もいなかった。
「え?」
「きゃ!!」
ジュリアの驚いた声が聞こえて慌てて振り返ると、なんとクラリッサがジュリアの腹に蹴りを入れていた。ジュリアは蹴り飛ばされ床に倒れこむ。意識を失ったのかぐったりしている。クラリッサはアーサーと目が合うと、ニッと笑って杖を向けた。その瞬間アーサーの全身が炎に包まれる。
「あつっ!あっつー!!」
「いや、あつーとかそんなレベルじゃないと思うんだけど…」
火だるまになっているアーサーを通り過ぎ、シリルが倒れているジュリアに剣を振りあげた。
「っ!」
間一髪、アーサーが二人の間に割って入りシリルの剣を受け止めた。アーサーから肉の焦げた匂いがする。クラリッサは呆れた声を出した。
「私の炎魔法を受けてまだ動けるなんて…。あなた、本当に人間?」
「真っ黒こげにされるのは慣れてるからね!」
確かにクラリッサの炎魔法は危険だ。アーサーかダフでないと耐えられないだろう。だが、彼女とは比べ物にならないほど強い魔法をアーサーは幾度となく受けてきた。カミーユ、リアーナとの2vs2戦。聖魔法や聖水を使い始めた双子に上手に手加減する余裕がなくなった時のリアーナは、ついアーサーが瀕死になるほどの攻撃をしてしまうことがあったほどだ(リアーナはそのたびにジルとカトリナに叱られていた)。それに慣れてしまったアーサーにとって、クラリッサの炎はそれこそ「あつっ!」くらいの感覚でしかなった。
(でも、クラリッサは危険だ…!魔法が強い上に、体術まで一流だ。機動力のある魔法使いなんて戦ったことがない。ジュリアを2人で狙われたら…ジュリアも僕も防戦一方だ)
クラリッサに戸惑い、注意が彼女にいっているアーサーにシリルの剣が飛んでくる。反応が遅れてアーサーの頬から肩にかけて浅くない傷が入った。
「くっ!」
「クラリッサの家は、ライラさんの家と同じで魔法と武術両方を習得しなきゃ認めてもらえないんだ。魔法も体術も一流のクラリッサは、普通の魔法使いみたいに遠く離れたところでじっとしていてくれないよ。僕たちは超攻撃型ペアって呼ばれてる。セオリー通りの2vs2の戦術じゃ僕たちに勝てないよ」
「ほんとに厄介だよ…!」
(クラリッサはジュリアより魔法が強い。彼女を倒さないとジュリアの目が覚めたとしても機能しない。彼女を先に倒しといた方が良いに決まってる…。でもシリルの攻撃からジュリアを守らないといけないからここを離れられない…!どうしたら…)
「よっと!」
「ぐぁっ」
シリルの剣を防いでいたアーサーの背後からクラリッサの蹴りが飛んできた。横なぎに吹っ飛ばされてジュリアの傍から離れてしまう。まともに蹴りを食らった腕がじんと痺れている。
(ひび入った…)
息つく間もなく腹を蹴り上げられ、アーサーの口からドバっと血が零れ落ちる。よろけたアーサーに無数の鋭い風魔法が襲い掛かり、全身から血が噴き出した。クラリッサの攻撃がやむとシリルが距離を詰め、アーサーに剣を突き刺した。
流れるような連携攻撃に、何よりあのアーサーが一方的に攻撃を受けている姿に、観客が声援を送ることも忘れて見入っていた。リーノとニコロも実況を放棄してしまっている。
「がふっ…」
シリルが剣を引き抜くとアーサーが腹を押さえながら膝をついた。
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