【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco

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異国編:ジッピン前編:出会い

【252話】すごい人

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「この無限袋を私の屋敷へ運んでくれ」

「はいなぁ」

キヨハルが狩怪組の一人にそう指示したあと、彼らは商組(アキナイグミ)の間へ向かった。キヨハル、カユボティ、ヴァジーに気が付いた商組の人たちがにこやかに手を振っている。その前を通り過ぎ、キヨハルは一番奥で座っている女性に声をかけた。

「カユボティさんへお代を」

「はいなぁ」

例によって彼女も一度奥の間へ引っ込み、戻って来たときには大きな木箱を持っていた。それをカユボティに渡しながら女性は「8000万ウィンでぇす」と言った。カユボティは中を確かめることもせず「マイドアリ」と答える。キヨハルに目で合図をし、キヨハルが商組の一人にそれを屋敷へ運ぶよう指示した。

それを眺めていたアーサーとモニカは、首を傾げながらカユボティに尋ねた。

「カユボティも何か売ったのぉ?」

「ああ。バンスティンの商品を売ったのさ。一番需要があるのはアイテムボックスだね。ジッピンに空間魔法はないから、輸入するしかないんだ。他はここにいない魔物の皮もよく売れる」

ヴァジーに通訳してもらっていたキヨハルは、彼の言葉を補足した。

「本当に助かっているよ。アイテムボックスがこちらに来てからジッピンの生活は一変した。カユボティには感謝してもしきれない」

「あれ…カユボティって本当にすごい人なんじゃ…」

話を聞いていた双子がおろおろとカユボティを見上げた。カユボティは「そんなことないよ」と首を振っていたが、ヴァジーがクスクス笑いながら彼の謙遜を一蹴した。

「アーサー、モニカ。カユボティはね、はじめてバンスティンとジッピンとの交易を結んだ人なんだ。ちなみにキヨハルさんははじめてジッピンとバンスティンとの交易を結び、ジッピンにアイテムボックスを普及させた人だ。二人ともきっと歴史に残る人物になるよ」

「ほぇー…」

「これで名を残すのも悪くないけれど、やはり画家として名を残したいものだね」

「ふふ。それができるかは難しいところだなあ」

冗談を言い合うカユボティとヴァジーを見上げながら、とんでもない人とお知り合いになってたんだねえ、とアーサーとモニカは目を見合わせた。そんな双子の頭にカユボティがぽんと手を乗せる。

「さて、お待たせしたね二人とも。私の用事はもうすんだよ。ジッピンについてきてくれたお礼に、今から君たちにプレゼントを買ってあげよう」

カユボティの言葉に双子は目をキラキラさせた。

「プレゼントぉ?!」

「なになにぃ?!」

「ふふ。それはね…」

わくわくそわそわしているアーサーとモニカをしばらく焦らしたあと、カユボティはウィンクしながら答えを言った。

「カタナ」

「カタナーーーーーー!!!」

「きゃーーー!!私にも買ってくれるのぉ?!」

「もちろん。ジッピンの女性はカタナを持つことを禁止されているけれど、君はバンスティンの女性だから関係ないしね。ただ、モニカにカタナは大きすぎるかもしれないから…ワキザシを買ってあげる」

「ワキザシってなに?!」

「カタナよりも短いんだ。これだったらモニカでも扱えると思う」

「きゃーーー!!」

嬉しさでぴょんぴょんと飛び跳ねているアーサーとモニカに、保護者3人だけでなく商組の人たちも目じりを下げている。「かわいいなぁ」「めんこいめんこい」と漏らしながら、商組の間をあとにした外国人の兄妹を見送った。
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