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初夏編:まったりポントワーブ
【375話】ねえカトリナ。僕にくらい教えてくれたっていいんじゃない?気になって眠れないんだけど
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ポントワーブまったり生活6日目。カトリナとジルが双子の家を訪れた。突然の訪問にアーサーとモニカは大喜びで、二人の手を引いてダイニングへ案内した。差し入れに持ってきてくれたリンゴジュースと焼き菓子をつまみながらお喋りをしたあと、カトリナが本題に入った。
「アーサー、モニカ。トロワへはいつ行くのォ?」
「明後日の予定!」
「聞いて聞いて!トロワの子たちにね、おさがりの服をあげようと思ってるんだー!」
「それはいいね。トロワに設置した服屋は貧しい人たちでも買えるように品質を下げてるから。君たちが持ってるようなオシャレな服は置いてない。特に女の子たちが喜ぶだろうね」
「喜んでくれたら嬉しいなあ!」
双子の話をニコニコ聞いたあと、カトリナが咳払いをして話を戻した。
「ねえ、明後日のトロワ訪問、私たちも同行していいかしらァ?」
「えーーー!?」
「一緒に来てくれるのーーーー!?!?」
「うん。貧困層がどのくらい発展したのか目で見ておきたいし」
「久しぶりにキャネモに挨拶しにいこうと思ってェ」
カトリナとジルの提案に双子は大喜びだ。キャーキャーと大騒ぎしていてなかなか話が進まないが、隙を見てはちょっとずつ話を進めた。
カトリナとジルがトロワを訪問しようと思ったきっかけは、アーサーの女装があと1年ほどでできなくなると考えたことだった。貧困層を奪い返されないためにも、穏便に話を進めた上でアビーを退場させたい。
「だから私たちが直々にキャネモに挨拶しに行って、アビーのことを説明しようと思うの」
「アビーは異国の貴族と結婚が決まり、来年には異国へ嫁いでしまうと話すつもり」
「そっかあ…。僕、もうあと一年でアビーできなくなっちゃうのかぁ」
「寂しいよお~。アビーだいすきだったのに~」
アビーと一緒におでかけしたり、お買い物へ行ったり、トロワを歩くのが大好きだったモニカは、寂しくて泣きそうな顔で兄を見た。アーサーは困ったように笑いながら妹の頭を撫でる。
「モニカ。僕がアビーできなくなっても一緒にお買い物してくれる?」
「当たり前よ!」
「よかったぁ。それに、トロワのこと、最後まで一緒にできなくてごめんね」
「ううん、いいの。分かってたことだもん。アビーの分までわたし、がんばるからね!」
「そうねェ。キャネモに会うのはモニカの仕事になっちゃうわね。でも、モニカの友人としてならアーサーも貧困層には顔を出せるんじゃない?なにもアビーができなくなったからと言って、一切トロワに足を踏み入れちゃいけないわけじゃないわよォ?」
「ほんと!?僕、トロワに行ってもいいの?!」
「もちろん。キャネモは貧困層に顔を出さないんでしょ?だったらなにも問題はないよ」
「よかったぁー!!もうイチたちに会えなくなるんじゃないかって思って寂しかったんだぁ!!」
「やったー!!わたしもちょっと不安だったから嬉しい!!」
「トロワでやりたいことまだまだいっぱいあるしね!」
アーサーとモニカはホッと胸を撫でおろした。アーサーの言葉が気になったジルは、薄く微笑みながら尋ねる。
「アーサー、やりたいことってなに?」
「えっとね、まず美術館を完成させたい!」
「美術館」
「あらぁ!いいわねェ。観光地として集客できるし、なにより枯れた心を癒せる場所はあの町に必要よ」
「飾りたい絵はあるの?」
「うん!そのためにいっぱい貯めてたんだー!」
「あのルアンの画家かしらァ?」
「ああ、あの不思議な絵だね」
「いいわねェ。あの類の絵を飾ってる美術館はどこにもないから話題になるわァ」
「あと、ジッピンのウキヨエも飾りたい!!」
「へえ。ジッピンの絵も飾るんだね。すごくいい」
「あと、薬屋を建てたいの!」
「薬屋?でも薬師なんていないんじゃない?」
「今ね、僕たちが教えてるんだ!ポーションの作り方!ほかにも薬の調合を教えたいなーって思ってる」
カトリナとジルは驚いて目を見合わせた。二人が思っていた以上に、アーサーとモニカがトロワのことを考え、トロワのために動いていた。胸がじぃんと熱くなる。
「カトリナ。トロワはきっと素敵な町になるね」
「ええ。数十年後が楽しみだわ。…うーん、この子たちがこんなに頑張っているとなると、私もひと肌脱ぎたくなっちゃったわァ」
「え?」
カトリナはクスクス笑ったあと双子に向けて指した指をくるくる回した。
「アーサー、モニカ。トロワ行きを5日ズラしてくれないかしらァ?お願いを聞いてくれたら、あなたたちとトロワの人たちにとっても楽しい思いをさせてあげる」
「えー!なにしてくれるのぉ?!」
「それはお楽しみよォ。ふふ」
「なになにー!!気になるじゃないカトリナぁ!!」
「5日ズラしてくれる?」
「ズラす!ズラすから教えてー!!」
「カトリナ。僕も気になる。一体何を企んでるの?」
「あらジル。企むなんて人聞きの悪い。ちょっと実家におねだりの手紙を送るだけよォ」
アーサーとモニカ、それにジルも、気になって仕方ないのか、あの手この手で聞き出そうとした。それでもカトリナはただ微笑むだけで、結局その日になるまでネタ明かしはしてくれなかった。
「アーサー、モニカ。トロワへはいつ行くのォ?」
「明後日の予定!」
「聞いて聞いて!トロワの子たちにね、おさがりの服をあげようと思ってるんだー!」
「それはいいね。トロワに設置した服屋は貧しい人たちでも買えるように品質を下げてるから。君たちが持ってるようなオシャレな服は置いてない。特に女の子たちが喜ぶだろうね」
「喜んでくれたら嬉しいなあ!」
双子の話をニコニコ聞いたあと、カトリナが咳払いをして話を戻した。
「ねえ、明後日のトロワ訪問、私たちも同行していいかしらァ?」
「えーーー!?」
「一緒に来てくれるのーーーー!?!?」
「うん。貧困層がどのくらい発展したのか目で見ておきたいし」
「久しぶりにキャネモに挨拶しにいこうと思ってェ」
カトリナとジルの提案に双子は大喜びだ。キャーキャーと大騒ぎしていてなかなか話が進まないが、隙を見てはちょっとずつ話を進めた。
カトリナとジルがトロワを訪問しようと思ったきっかけは、アーサーの女装があと1年ほどでできなくなると考えたことだった。貧困層を奪い返されないためにも、穏便に話を進めた上でアビーを退場させたい。
「だから私たちが直々にキャネモに挨拶しに行って、アビーのことを説明しようと思うの」
「アビーは異国の貴族と結婚が決まり、来年には異国へ嫁いでしまうと話すつもり」
「そっかあ…。僕、もうあと一年でアビーできなくなっちゃうのかぁ」
「寂しいよお~。アビーだいすきだったのに~」
アビーと一緒におでかけしたり、お買い物へ行ったり、トロワを歩くのが大好きだったモニカは、寂しくて泣きそうな顔で兄を見た。アーサーは困ったように笑いながら妹の頭を撫でる。
「モニカ。僕がアビーできなくなっても一緒にお買い物してくれる?」
「当たり前よ!」
「よかったぁ。それに、トロワのこと、最後まで一緒にできなくてごめんね」
「ううん、いいの。分かってたことだもん。アビーの分までわたし、がんばるからね!」
「そうねェ。キャネモに会うのはモニカの仕事になっちゃうわね。でも、モニカの友人としてならアーサーも貧困層には顔を出せるんじゃない?なにもアビーができなくなったからと言って、一切トロワに足を踏み入れちゃいけないわけじゃないわよォ?」
「ほんと!?僕、トロワに行ってもいいの?!」
「もちろん。キャネモは貧困層に顔を出さないんでしょ?だったらなにも問題はないよ」
「よかったぁー!!もうイチたちに会えなくなるんじゃないかって思って寂しかったんだぁ!!」
「やったー!!わたしもちょっと不安だったから嬉しい!!」
「トロワでやりたいことまだまだいっぱいあるしね!」
アーサーとモニカはホッと胸を撫でおろした。アーサーの言葉が気になったジルは、薄く微笑みながら尋ねる。
「アーサー、やりたいことってなに?」
「えっとね、まず美術館を完成させたい!」
「美術館」
「あらぁ!いいわねェ。観光地として集客できるし、なにより枯れた心を癒せる場所はあの町に必要よ」
「飾りたい絵はあるの?」
「うん!そのためにいっぱい貯めてたんだー!」
「あのルアンの画家かしらァ?」
「ああ、あの不思議な絵だね」
「いいわねェ。あの類の絵を飾ってる美術館はどこにもないから話題になるわァ」
「あと、ジッピンのウキヨエも飾りたい!!」
「へえ。ジッピンの絵も飾るんだね。すごくいい」
「あと、薬屋を建てたいの!」
「薬屋?でも薬師なんていないんじゃない?」
「今ね、僕たちが教えてるんだ!ポーションの作り方!ほかにも薬の調合を教えたいなーって思ってる」
カトリナとジルは驚いて目を見合わせた。二人が思っていた以上に、アーサーとモニカがトロワのことを考え、トロワのために動いていた。胸がじぃんと熱くなる。
「カトリナ。トロワはきっと素敵な町になるね」
「ええ。数十年後が楽しみだわ。…うーん、この子たちがこんなに頑張っているとなると、私もひと肌脱ぎたくなっちゃったわァ」
「え?」
カトリナはクスクス笑ったあと双子に向けて指した指をくるくる回した。
「アーサー、モニカ。トロワ行きを5日ズラしてくれないかしらァ?お願いを聞いてくれたら、あなたたちとトロワの人たちにとっても楽しい思いをさせてあげる」
「えー!なにしてくれるのぉ?!」
「それはお楽しみよォ。ふふ」
「なになにー!!気になるじゃないカトリナぁ!!」
「5日ズラしてくれる?」
「ズラす!ズラすから教えてー!!」
「カトリナ。僕も気になる。一体何を企んでるの?」
「あらジル。企むなんて人聞きの悪い。ちょっと実家におねだりの手紙を送るだけよォ」
アーサーとモニカ、それにジルも、気になって仕方ないのか、あの手この手で聞き出そうとした。それでもカトリナはただ微笑むだけで、結局その日になるまでネタ明かしはしてくれなかった。
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