【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco

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画廊編:4人での日々

帰るとき

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ジュリアとウィルクがルアンへ来て1か月が経とうとしていた。
一向に学院へ戻ろうとしない彼らの前に、ビアンナ先生とカーティス先生が姿を現した。
一週間後には学院のダンスパーティーが開かれる。つまり、長期休暇が始まるのだ。王女と王子を迎えに来た王城の者たちに、ルアンで滞在していることがバレるのはまずいので、ジュリアとウィルクは泣く泣く先生たちに従うことにした。

「アーサー様、モニカ様……。私とウィルクは、明日ルアンを去ることとなりました……。1ヶ月という長い間、お世話になりましたわ」

「たったの1ヶ月でも、お兄さまとモニカお姉さまと過ごせてしあわせでした……」

その夜、ジュリアとウィルクは双子に別れを告げた。
アーサーとモニカは寂し気な表情を浮かべたが、それ以上にジュリアとウィクルが悲しそうな顔をしていたので、頑張って元気な声を出した。

「そんな、今生のお別れみたいな顔しないでよ!」

アーサーがそう言うと、モニカは頷く。

「そうよ! また会いに来てくれるんでしょ? ウィルク、ポルに約束してたもんね!」

「はい……」

「ジュリアもまた来てね! なかなか来れないと思うけど……。僕、ふたりにたくさんお手紙書くよ!」

「ええ……」

よほど寂しいらしく、ウィルクとジュリアは小さな声で返事をするだけだった。それから彼女はオリバ一家にもお礼を言いに行き、双子と同じベッドでくっついて眠った。

そして翌日、ジュリアとウィルクは馬車に乗り、北の方角へと帰っていった。

◇◇◇

「ふぅ……」

馬車を見送ったオリバ家は、伸びをして屋敷の中へ入っていった。緊張の糸がほどけたのか、全員がため息をつきソファーへ沈み込む。寂しさは一切感じていないようで、それよりも無事家族全員の首が飛ばなかったことにホッとしているようだった。
彼らの反応を見て、アーサーとモニカは少ししょんぼりした。

「そう言えば、アーサーとモニカはいつまでルアンで滞在するんだい? いっそのことここに住むかい?」

ふと思ったのか、オリバ男爵が双子に尋ねた。彼の冗談に夫人は大喜びで手を叩く。

「あら! 良い考えね。あなたたちなら大歓迎よ」

「やっぱりモニカがリーノと結婚したらいいんだよ」

「ちょっと! 父さん、やめてくれよ」

「どうしてだい。モニカじゃいやなのか? リーノ」

「そ、そういうわけじゃなくて!」

リーノは顔を真っ赤にしてモニカとアーサーをちらりと見た。

「モニカはアーサー大好きっこだから、俺に勝ち目なんかないんだよっ」

「あら! リーノったら、モニカのことが好きだったの~?」

からかう夫人に、リーノがめんどくさそうに答える。

「違う!」

「まあまあ! そんな顔を真っ赤にして~」

「違うって!!」

彼らの会話に、アーサーとモニカはクスクス笑った。

「おじさん、おばさん、何言ってるのー?」

「リーノが一番好きなのは、ニコロだよっ!」

「はぁぁぁ!? えっ? お前らそんな風に思ってたのか!? 違うからな!?」

双子のとんでもない発言にリーノが取り乱した。恋愛と友情の区別がついていない子どもを相手にするのは大変だ。

なんとか誤解を解いたあと、改めて双子に滞在期間について尋ねた。アーサーとモニカはうーん、と考え込み、しばらく話し合う。

「画廊の方は、もうローリエさんたちに任せて大丈夫だよね」

「うん! まだ知識不足なところはあるけど、そのあたりはカユボティとヴァジーがフォローしてくれるって言ってたし」

「じゃあ、ジュリアとウィルクも帰っちゃったことだし、僕たちもそろそろポントワーブに戻ろうか」

「そうしよっかー」

「おや、もう帰ってしまうのかい?」

男爵が残念そうな声を漏らした。夫人もリーノも寂しそうだ。
アーサーとモニカはこくりと頷き、お礼を言った。

「おじさん、おばさん、リーノ。長い間お世話になりました!」

「みなさんのおかげで、とっても楽しかったです! ごはんもおいしかった!」

「そうかい。また、いつでも遊びにきていいからね」

「ええ! 私たちは大歓迎よ!」

「アーサー、モニカ、また遊ぼうな!」

オリバ一家は双子と順番にハグをした。それからアーサーとモニカは帰り支度をして、馬車に乗る。

「またねー!!」

アーサーとモニカは、馬車の窓から身を乗り出して手を振った。
オリバ一家も手を振り返し、見えなくなるまで彼らを見送った。

こうして、双子の画廊生活はひとまず幕を引くことになる。
このままルアンで住みついていたら、もしかしたら……。

あのようなことは、起こっていなかったかもしれない。
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