【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco

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北部編:決断

守ろうとする王族

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「バチッてる……?」

「王族内で揉めている、もしくは守ろうとしてるやつがこっそり動いてる」

「僕たちを守ろうなんて……。そんな人、王族内にいるの……?」

「いねえとおかしいんだよ。今の状況が」

まあ、確かに、と考え込むアーサーの袖を、モニカが引っ張る。

「ねえアーサー、どういうこと……?」

「たぶん、僕たちを殺そうとしてるのは、国王と王妃だよね。彼らに反発して、僕たちを守ろうとしてくれてる人が王族にいるかもしれないんだって」

「そんなこと出来る人が王族にいるの?」

「いるとは思えない。でも、いる。じゃないと僕たちは魔女事件の時に死んでたはずなんだよね、カミーユ」

「そういうことだ。ベニートたちに指定依頼を出して、スイフィシュ村に派遣したやつが、お前らを守ろうとしてる」

「それは誰なの?」

「……」

カミーユがベニートに目で合図をすると、ベニートが双子に指定依頼用紙を手渡した。
依頼用紙を見つめるアーサーとモニカに、カミーユが尋ねる。

「ユリアン・ロベス。この名前に見覚えはねえか?」

「ない。誰だろう……」

「お前らもないか……」

「この人は本当に王族の人?」

「依頼主が王族かどうかは不明だが、承諾者のサインを見ろ。ヴィクス王子のサインが入ってるだろ」

「っ!」

「ユリアン・ロベスとヴィクス王子は、百パー繋がってる。つまり、お前らを守ろうとしているのは、ヴィクス王子なんじゃねえかってのが俺たちの辿り着いた答えだ」

そこで、サンプソンが口を開く。

「アーサー、君、言ってたよね。ヴィクス王子は君たちのことを慕ってたって」

「うん……。たぶん」

「君たち、教会事件の時に王城へ行ったんだろう? 会わなかったかい、彼と」

「分からない……。少なくとも謁見の間にはいなかったけど……」

「君たちの姿を、ヴィクス王子が目にした可能性はおおいにありえる」

「でも、じゃあどうして、ヴィクスはクルドたちに、わたしたちの暗殺を命じたの……?」

モニカの質問に、クルドが答える。

「考えられる理由は二つあるな。一つ目は、国王と王妃の目を欺くため。ヴィクス王子は恐らく、国王と王妃の前では、お前らの暗殺にノリノリのように見せてるんじゃねえかと思う」

「本当に殺したいなら、北国のクルドじゃなくて、お前らと一緒にいる俺らに出すんじゃねえかとも思うしな。……出されたって殺さねえが」

「カミーユパーティが殺さないとしても、それでカミーユが指定依頼を拒否したら処刑できるしな。ほんで守るやつらがいなくなったお前らを、誰かに殺させたらいいんだよ。それをせずに、カミーユパーティより先に俺らに依頼した。不自然だろ?」

「そうなのかな……」

「もう一つ目の理由……は、俺らの勝手な推測だが……。俺たちと対面しておきたかったんじゃないかと思ってる。ヴィクス王子は俺たちの前で、見せつけるように従者や臣下の首をはねた。指定依頼の儀式中にだ。そんなの、おかしいだろ」

「どうしてそんなことを……?」

「……俺らに不信感を与えるためなんじゃねえかと、思い始めたんだ」

「……」

「やべえ次期国王の命令で、アウス王子とモリア王女を殺すのは良くねえんじゃねえかと思わせるために……とかな」

「分からない……。分からないよ、カミーユ。わたしたちを守ってくれようとするなら、国王と王妃を説得したらいいんじゃない? だって、国王と王妃はヴィクスの言うことなら聞くんでしょ?」

「そうだ。だから変なんだよ。なぜ国王と王妃を操り人形にできるヴィクス王子が、こんなにコソコソと動いているのかが」

頭を抱えるモニカの肩に、サンプソンが手を乗せる。

「でもね、モニカ。僕たちはひとつの答えに辿り着いた。そう考えると、今まで滅茶苦茶に見えていたヴィクス王子の行動が、一本の糸となって繋がるんだ」

「その答えって……?」

サンプソンは応えず、カミーユを見た。
視線を受けたカミーユは深呼吸をして、ハッキリと答えた。

「ヴィクス王子は、民に反乱を起こさせようとしてるんじゃねえかというのが、俺らの答えだ」
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