【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco

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最終編:反乱編:侯爵家にて

ウム タイギデアッタ

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 こうして、オーヴェルニュ侯爵を筆頭とする貴族と王族との戦争が始まった。

 貴族の連合軍は、「アウス軍」と名を付けられた。そして当のアーサーはというと……
 貴族風の軍服を着て、カチコチになりながら次々と挨拶をしに来る貴族たちを労っていた。

「アウス様! 西部のマスルドでございます。本日到着いたしました!」
「ウム。タイギデアッタ」
「我がマスルド家の誇りに賭けて剣を振るうと誓います!」
「ウム。タイギデアッタ」

 隣に座っている、これまた貴族風の軍服を着ている綺麗に髪を整えたモニカが思わず噴き出した。マスターン伯爵が立ち去ると、アーサーは顔を真っ赤にしてモニカにぷんぷん怒る。

「も、もう! 笑わないでよモニカ!」
「だって……! さっきから〝タイギデアッタ〟しか言わないんだもん……! プフゥッ!」
「だ、だってこれしか言い方教わってないんだもん! なんかみんなかしこまってるしさぁー! こんな服着せられるしさぁ! モニカだって受け答えしてよぉ!」
「えー? だって私は妹だし。アーサーがお兄ちゃんだし。〝アウス軍〟だしぃ?」
「ううぅ……やっぱりあの時モニカにお姉ちゃんを譲っとけばよかったあぁぁ……」

 キャッキャとはしゃいでいるアーサーとモニカの元に、少し離れたところで様子を見ていたリアーナとカミーユが笑いをこらえてやってくる。

「ブッ……ブフッ……!」
「いや話しかける前からもう笑っちゃってるよリアーナ!?」
「ぎゃはははは!!」
「んもー!!」
「だっておまえらっ……えらい大層な恰好してっ……!」
「だってカトリナがこれ着ろってぇっ!」

 ゲラゲラ笑うリアーナのそばで、カミーユがアーサーの頭上ではためく旗を見上げた。

「ま、お前らがこの軍のシンボルだからな。しばらくそうして軍の士気を上げてやってくれよ」
「う、うん……」
「アウスとモリアのことを知っているやつらも、アーサーとモニカのことを知っているやつらも、お前らが立ち上がってくれて喜んでるぜ。日頃の行いのおかげだな。ま、頑張れよ」
「カミーユとリアーナは……?」
「俺らS級冒険者も貴族に挨拶に回ってる。ほらリアーナ、行くぞ」
「あーい」

 その後も次々と、アーサーとモニカの元に貴族が挨拶に来た。その中には双子と時間を共にした学友の顔もちらほらあった。

「おわー! まじでアーサーとモニカだ!!」
「うそだろぉー! お前ら王子と王女だったのかよぉー!」
「ちょっとお前たち……! 王子と王女にそんな口をきくんじゃない……」

 双子に挨拶にきたのは、同じリリー寮だったノアとチャド、そして彼らの父親だった。アーサーもモニカも二人との再会に大喜びで、二人に抱きつきぴょんぴょん飛び跳ねる。

「きゃー! ノアとチャドだー! 背が伸びたねえ!」
「それはこっちのセリフだ! モニカ、お前ぐんと綺麗になって! ……アーサーも……多少は背が伸びたな!」
「結構伸びたもん! それに声変わりだって来てるんだからね!」
「は!? お前まだ声変わり来てなかったのかよ!」
「ひぅっ……」

 息子たちの無礼な態度に、父親たちは冷や汗を流している。席に戻ったアーサーとモニカに、彼らは跪いた。

「アウス様、モリア様……。先ほどの息子たちの無礼、深くお詫び申し上げます……」
「う、ううん! むしろ前と同じように接してくれて嬉しかったです! だ、だからお父さんたちも僕たちには普通に接してくださぁい……」
「そういうわけにはいきませんが……。ありがとうございます」

 去り際、ノアとチャドが双子に手を振った。

「アーサー、モニカ! 絶対勝とうな! 勝って民がまた心から焼き菓子を楽しめる毎日にしような!」
「アーサーがオウサマになったら、俺んちの焼き菓子をごひいきに!」
「ばっか、俺の焼き菓子をだよ! アーサーもモニカもブランデー入りの焼き菓子はダメだからな!」

 彼らが去ったあと、にゅっとベニートが顔を出した。

「……あれがチャドか」
「わっ……びっくりしたぁ……」
「男前だな……」
「そうだよー! チャドはすっごく男前! ライラのボーイフレンド!」
「分かってるからズバッと言うな!」
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