いつまでも貴方を愛しています

kana_01

文字の大きさ
7 / 13

第7話 運命のいたずら

しおりを挟む
 私は、上白石優子。大学で夫と知り合い、熱愛した。どちらかというと、私が彼に積極的にアプローチしたと言った方が良いだろう。

私が、大学を卒業後、すぐに結婚。夫はその時、社会人三年目であり、両方の両親も快く認めてくれた。

 結婚生活が落ち着くと、私は設計事務所に契約社員として入った。それから六年。契約社員であっても、重要な仕事のメインを任せて貰える様になっている。

「上白石さん。明日の午後の元受けへのプレゼン。同行してください。プレゼンの重要ポイントの作成に関わって貰ったので、質問が出た時、対応お願いします。
「分かりました」

プレゼンサポートは、良くある話だ。いつもの事だと思い、QA資料の準備をした。

元受けの会議室に入ると、元受けの社員は、まだ来ていなかった。私は、テーブルに人数分の資料を配り、プロジェクタの準備が、終わった所で、社員が入って来た。

 その中の一人を見た時、私は思わず、声を上げそうになった。今から一か月前のあの時の人だった。
 向こうもすぐに気が付いたみたいだが、冷静な顔をしている。

「上白石君。新谷課長、初めてだろう。挨拶してくれ」

体が動かなかった。あいつは、平気な顔で微笑んでいる。
「上白石君。早く。プレゼン前に挨拶してくれ」

「わっ、分かりました」

鞄から名刺入れを出すと、あの男の前に立った。
「三上設計事務所の上白石です。宜しくお願いします」

名刺を差し出すと、名刺と私の顔をしっかり見た後に、
「新谷健司と言います。こちらこそ宜しくお願いします」

顔を作り、普通に名刺を渡してきた。
「頂戴いたします」

新谷というのか。しかし………。

運命のいたずらとは、こういう時の言葉だな。まさかあの時の女性に会えるなんて。しかし綺麗だ。スタイルも抜群。あそこも抜群か。面白くなってきた。

 この仕事、この設計事務所に発注で確定だ。プレゼンは、聞いても仕方ない。まあ、実績もある設計事務所だ、問題ないだろう。

一時間の説明と質問の間中、あいつは、横目で私を見ていた。私の体を見ていたと言った方がいい。気持ち悪かった。

私の出番はなく、というより質問内容が浅い。理由は、分からないが、簡単に終わった。

「結果は、見積もり提示全社終了後になります。宜しいですか」
新谷課長の発言に
「問題ありません」
と回答し、会議は、終了した。

「上白石君。君は、新谷課長と以前面識が有ったのかね」
「いえ、ありません」
「そうか」

気付くはずもない事だった。

一週間後、
「上白石君。先の案件、落札したよ。向こうの話では、プレゼンの内容が、他社に比べて非常に納得いくもので有ったという事だ。という事で、この案件、サブリーダで入ってくれ」
「ええっ、私がですか」
「何を驚いているんだ。前にも何回か有っただろう」
「あっ、はい。分かりました」
「来週、早々に詳細の詰めを開始する。資料の準備をしてくれ」

まずい、あの男と会う時間が多くなる。何とかしないと。


「結城、話居聞いてくれる」
「うん。何だ、改まって」
「実は………。私達、結婚して、もう六年でしょ。そろそろ……ねっ」
「そういう事か。そうだな。優子も二十八。上手くいけば、来年顔が見れるか」

私が顔を赤くして下を向くと
「もしかして、今日のおねだり」
「もう……。そうだけど。その前に決めないといけない事がある」
「なに」
「私、今の仕事、そろそろ辞めようかなと思って。もう六年でしょ。契約社員になって。だから、退職して。専念したい」
「えっ、あっ、そういう事。構わないけど。仕事の区切りはいいの」
「だって契約社員だもの。今度の更新、来月末だから、今のうちに行っておけば、大丈夫。有休消化を入れると、来月前半で終われる」
「なんか、積極的だな」
「いいでしょ………」

言い終わる前に夫が、私の唇を塞いできた。


「えっ、来月末で終わらせたい。冗談にしてはきついんだが。この前、この案件を君のおかげで取れたんだ。サブとはいえ実質的なリーダだよ。勘弁してくれ。せめて半年伸ばせないか」
「済みません。家の重要な事情で」
思い切り頭を下げた。

これでいい。せいぜい後二回会えば終わる。あいつも自分の立場があるだろう。変な事はしてこないはず。
 

「どうだった。会社の方は。辞められそう」
「うん。問題ない。子作りの為なんて言えないから、家の重要な事情って事にした」
「確かに。我が家の重要な事情だな」
「そうよ。だから……ね」

栄養ドリンク飲まないと………夫談。

―――――

上白石結城さん。ファイトー〇発。

面白そうとか、次も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。
感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

妻への最後の手紙

中七七三
ライト文芸
生きることに疲れた夫が妻へ送った最後の手紙の話。

『続・聖パラダイス病院』

菊池昭仁
現代文学
『聖パラダイス病院』の続編です。こんな病院なら入院生活も悪くはありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

秘事

詩織
恋愛
妻が何か隠し事をしている感じがし、調べるようになった。 そしてその結果は...

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

処理中です...