17 / 17
第17話 エピローグ
しおりを挟む柏木浩一が里美を捨て、シンガポール支社長に着任してから三年後のお話です。
――――
「美羽、来月には日本に帰る。シンガポール支店長に着任して三年。美羽にも苦労掛けたな」
「いえ、私は何も。あなたに付いて来ただけです」
美羽は、見合いで初めて会った時の印象とは、まるで違った女性だった。
控えめで、芯を持っていて、いつも僕を気遣ってくれる。今の僕の立場からして妻と呼ぶに相応しい女性と感じていた。
三年間、制限もなく美羽を抱いたが、残念ながら子供は出来なかった。環境の問題。日本に帰れば出来るだろうと思っていた。
一か月後、
「吉田本部長。ただいま帰りました」
「帰って来たか。向こうでも何回か会ったが、US本社会議の時は目立っていたな。自分の事の様に嬉しかったよ」
「いえ、自分に課せられた仕事をこなしていただけです」
「はは、いつもながらだな。所でUS本社から日本法人に人事の横槍が入ってな。もめているんだ」
「はっ?」
「君の件だよ」
「僕の件?」
「そうだ。US本社よりシンガポール支社は、アジア地域を統括する拠点とする。そのアジア地域マネージャを柏木浩一とする。ってな。
こっちは、君が帰ってきたら、部長を飛ばして開発本部長職を用意してあったのにだ。いま、人事を含む関係部署がUS本社とやり合っている。
しかし、アジア地域マネージャとなると日本法人を除く、アジア地域全域を統括する立場だ。凄い出世でもある。
幸田専務はもろ手を挙げて大喜びだ。自分の目に狂いは無かったと」
「吉田本部長。一気に色々言われましても。僕は帰ったら一週間くらい休暇を貰うつもりでいたんですが」
「残念だな。でも二日くらいは良いんじゃないか」
「はあ」
「美羽、と言う訳だ。ごめん。帰ったら京都でも行ってのんびりしようなんて言って嘘ついてしまった」
「ふふっ、いいのよ。夫が出世することは妻に取っても嬉しい事ですから。それにすぐ行くわけでもないでしょう。それまでね。……ねっ、ねっ」
やはり、日本に帰って来ると何か違う。
夫のものが私の子宮とぶつかり合って体の芯まで痺れさせてくれるけど、今の方が何倍もいい。
「くーっ、い、いくーっ」
「僕も我慢できない」
思い切り私のあそこの奥の奥で夫のものと私の子宮がぶつかり合いながら、お互いに吐き出したものがせめぎ合っている。うーっ、たまらない。
来てる。来てる。もっとー。
もう後ろからの行為にも慣れた。始めは恥ずかしかったけど、こっちのが強く感じる時もある。
「うっ、うー。またいくー」
激しく突いてくる。たまらない。
「いくよ」
「来てー」
美羽は変わった。行為を楽しむ様になった。もう三年も過ぎるからな。当たり前か。
「ふふっ、早く子ども欲しいわ」
「そしたら、シンガポールいけないぞ」
「日本で待っている。偶には行くから。あなたも偶に帰って来れるでしょう」
三か月後、美羽は身ごもった。この状態では、連れて行くことは出来ない。単身で、行く事にした。
空港のラウンジで一人待っていると、前から、女性が小さな子供の手を繋ぎながら歩いてくる。綺麗な人だ。と思って見ていると
まさか。
「浩一。久しぶりね。浩二も挨拶しなさい」
「こんにちは」
「あなたのお父さんよ」
「………っ!」
―――――
いかがでしたでしょうか。夏の海の出来事。
題名よりずいぶん話は進展しました。
妻を犯され、更に自分の出世に利用された妻を一度は許そうとした夫。
でも妻は、次は自分の意思で浮気しました。
それから三年。まさかの再会と半同棲生活の中で、上司の娘との結婚。
そして、最後には、自分が元妻を捨て、これで元妻との関係が終わりと思っていたが、
しかし、運命の神様は、男にさらなる試練を与えました。
元妻そして、やっと出来た子供との対面。
この後の展開は、皆様の想像にお任せします。
面白そうとか、次の作品も読みたいなと思いましたら、ぜひご評価頂けると投稿意欲が沸きます。
感想や、誤字脱字のご指摘待っています。
宜しくお願いします。
10
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
うーん…この流れで元妻と復縁はしてほしくないですね…
裁判の時ですら黒田を選んだ発言して好き放題しておいて黒田とは別れたから復縁してというのはちょっと勘弁してほしいですね…
あとざまぁタグが付いてる割には黒田や土田へのざまぁがほとんどない(描写もほとんどないのでヘイトはまったく解消されてない)点も気になります。
ナゴさん
ご感想ありがとうございます。
黒田は第十話で土田は第十一話で解雇、警察が逮捕という流れでいます。
記載が少ないので申し訳ないです。
ちなみに元妻はこれからです。
次回以降もお楽しみ下さい。