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鋼の剣を、目に近い高さに持ち上げる。見て取れる様な歪みは存在しない。
次に剣の腹を指で挟み、切っ先に向かって滑らせた。目では判らない細かい歪みも、指先でなら捉えられる事があるからだ。
キラータイガーとの一戦では装備に随分と負担をかけた。
剣も盾も、十二分に働いてくれたからこそ、僕はこうして生きている。
勿論ヨルムの存在が何よりも大きかったが、それでも少し前の僕ならあの戦いは乗り切れなかったと思う。
装備の質も、僕自身の実力も、此処最近で大分上がったのは間違いない。
ヨルムに比べたらまだまだ頼りないだろうけど、手応えの様な物は感じているのだ。
まあ冒険者はこんな時程死に易いそうなので、出来る限り調子には乗らないようにしようとは思う。
剣を油の染みた布で磨く。
でも正直、マントが出来るまで町中で活動というのは少し歯痒い。
別に雑用依頼が嫌いな訳じゃ無くて、色々学べる事も判ってるのだけれども、丁度今は戦闘に手応えを感じ始めた所なのでそれを物にしたかったのだ。
いや、正しくは戦う事、力を振う事が少し楽しくなって来てる。
オークを一撃で瀕死にした時、キラータイガーの猛攻から生き延び、逆に口腔内に矢を叩き込んだ時、痺れるような快感が走った。
魔物に抗う力の無かった僕が此処まで来れたって実感したのだ。
あまり良い傾向で無いのは自覚してる。先輩冒険者の誰かに相談した方が良いだろう。
冒険者は臆病で慎重すぎてもチャンスを逃すが、勇猛果敢過ぎればあっさりと死ぬ。
僕は勇猛果敢に戦って散っても満足ってタイプじゃない。死なないで、ヨルムと一緒に生きると決めているから。
もっと強くなりたい、もっと強い敵を倒してみたいって欲求は胸の内にくすぶってるけど、少し我慢だ。
綺麗に磨き上げた剣を構えて2度、3度振ってみる。
問題が無かったので布にくるんでテーブルに置いて、次は革製の鞘の掃除だ。
無理をさせたので細かな歪みや違和感があったなら鍛冶屋に持ち込もうと考えてたが、思ってたよりもずっと丈夫で良い剣らしい。
あの鍛冶屋は良い店だった。流石宿のおじさんが紹介してくれた店である。
控えの武器の必要性も前回で実感したし、短剣をあそこで買おうかな。
ふと窓から外を見れば、少し空が赤色に染まりつつあった。夕食まではあと少し時間があるだろう。
僕は手を綺麗に洗ってからヨルムを撫でると、木剣を持って部屋を出る。
夕食まで少し振ろう。防具の手入れは明日以降でも構わない。
今日は細々とした用事はこなしたが、基本的にはのんびりだった。ちょっと暇さと退屈さを感じる程度には。
明日以降は何をしようかな。
エルロー薬店に賦活石を届けるのを忘れていたし、先ずはそれから終わらせよう。
調薬の手伝いもあるかも知れないし、エルローさんと話せばくすぶってる闘争心も少しは落ち着くかも知れない。
あの人はとても気持ちの優しい平和な街の人だから。
擦り傷の手当て用の塗り薬も残り少なくなっていたし丁度良い。
他には、熟練冒険者のガジルさんの家の子守の依頼がまたあれば、訓練や相談にも乗って貰えて有り難いのだけど、そればかりはあちらの都合にもよる。
久しぶりに町中の配達依頼でも受けてみようか。
町の中に住んでても、隅から隅までを知る訳じゃ無い。配達などで町を走り回れば、新しい発見や知人が出来たりるするのだ。
新しいマントが出来上がったのは、加工を注文してから3日後の事だった。
思ったよりも早い仕上がりだ。皮革職人のマーレンお爺さんは、どうやら最優先でこのマントに取り掛かってくれたらしい。
そして仕上がりは早くても、その仕事は丁寧である。
真っ赤だった毛皮は加工して地味な色合いに落ち着かせてあり、けれども丈夫さはずっと増してる。
激しく動いてみても動きを阻害する事も無かったし、とても素晴らしい逸品だ。
羽織れば思わず頬が緩む。
この三日間、軽い雑用依頼だけを街中でこなし、後は体を休めたり買い物したり訓練したり、何よりヨルムと沢山遊んだ。
気になってた短剣も購入したし、準備は万端に整っていた。
さあ、稼ごうか。町の外が僕を待ってる。
ユーディッド
age13
color hair 茶色 eye 緑色
job 狩人/戦士 rank2(下級冒険者)
skill 片手剣3 盾2 格闘術1 弓4 野外活動2 隠密1 気配察知3 罠1 鍵知識1 調薬1
unknown 召喚術(ヨルム)
所持武装 鋼のブロードソード(高) 鋼のショートソード(高) 革の小盾(高) 弓(並) 中位魔獣の毛皮マント(高) 革の部分鎧(高)
ヨルム
age? rank5(中位相当)
skill 縮小化 巨大化 硬化 再生 毒分泌 特殊感覚
unknown 契約(ユーディッド)
装備の一部が更新されました。
次に剣の腹を指で挟み、切っ先に向かって滑らせた。目では判らない細かい歪みも、指先でなら捉えられる事があるからだ。
キラータイガーとの一戦では装備に随分と負担をかけた。
剣も盾も、十二分に働いてくれたからこそ、僕はこうして生きている。
勿論ヨルムの存在が何よりも大きかったが、それでも少し前の僕ならあの戦いは乗り切れなかったと思う。
装備の質も、僕自身の実力も、此処最近で大分上がったのは間違いない。
ヨルムに比べたらまだまだ頼りないだろうけど、手応えの様な物は感じているのだ。
まあ冒険者はこんな時程死に易いそうなので、出来る限り調子には乗らないようにしようとは思う。
剣を油の染みた布で磨く。
でも正直、マントが出来るまで町中で活動というのは少し歯痒い。
別に雑用依頼が嫌いな訳じゃ無くて、色々学べる事も判ってるのだけれども、丁度今は戦闘に手応えを感じ始めた所なのでそれを物にしたかったのだ。
いや、正しくは戦う事、力を振う事が少し楽しくなって来てる。
オークを一撃で瀕死にした時、キラータイガーの猛攻から生き延び、逆に口腔内に矢を叩き込んだ時、痺れるような快感が走った。
魔物に抗う力の無かった僕が此処まで来れたって実感したのだ。
あまり良い傾向で無いのは自覚してる。先輩冒険者の誰かに相談した方が良いだろう。
冒険者は臆病で慎重すぎてもチャンスを逃すが、勇猛果敢過ぎればあっさりと死ぬ。
僕は勇猛果敢に戦って散っても満足ってタイプじゃない。死なないで、ヨルムと一緒に生きると決めているから。
もっと強くなりたい、もっと強い敵を倒してみたいって欲求は胸の内にくすぶってるけど、少し我慢だ。
綺麗に磨き上げた剣を構えて2度、3度振ってみる。
問題が無かったので布にくるんでテーブルに置いて、次は革製の鞘の掃除だ。
無理をさせたので細かな歪みや違和感があったなら鍛冶屋に持ち込もうと考えてたが、思ってたよりもずっと丈夫で良い剣らしい。
あの鍛冶屋は良い店だった。流石宿のおじさんが紹介してくれた店である。
控えの武器の必要性も前回で実感したし、短剣をあそこで買おうかな。
ふと窓から外を見れば、少し空が赤色に染まりつつあった。夕食まではあと少し時間があるだろう。
僕は手を綺麗に洗ってからヨルムを撫でると、木剣を持って部屋を出る。
夕食まで少し振ろう。防具の手入れは明日以降でも構わない。
今日は細々とした用事はこなしたが、基本的にはのんびりだった。ちょっと暇さと退屈さを感じる程度には。
明日以降は何をしようかな。
エルロー薬店に賦活石を届けるのを忘れていたし、先ずはそれから終わらせよう。
調薬の手伝いもあるかも知れないし、エルローさんと話せばくすぶってる闘争心も少しは落ち着くかも知れない。
あの人はとても気持ちの優しい平和な街の人だから。
擦り傷の手当て用の塗り薬も残り少なくなっていたし丁度良い。
他には、熟練冒険者のガジルさんの家の子守の依頼がまたあれば、訓練や相談にも乗って貰えて有り難いのだけど、そればかりはあちらの都合にもよる。
久しぶりに町中の配達依頼でも受けてみようか。
町の中に住んでても、隅から隅までを知る訳じゃ無い。配達などで町を走り回れば、新しい発見や知人が出来たりるするのだ。
新しいマントが出来上がったのは、加工を注文してから3日後の事だった。
思ったよりも早い仕上がりだ。皮革職人のマーレンお爺さんは、どうやら最優先でこのマントに取り掛かってくれたらしい。
そして仕上がりは早くても、その仕事は丁寧である。
真っ赤だった毛皮は加工して地味な色合いに落ち着かせてあり、けれども丈夫さはずっと増してる。
激しく動いてみても動きを阻害する事も無かったし、とても素晴らしい逸品だ。
羽織れば思わず頬が緩む。
この三日間、軽い雑用依頼だけを街中でこなし、後は体を休めたり買い物したり訓練したり、何よりヨルムと沢山遊んだ。
気になってた短剣も購入したし、準備は万端に整っていた。
さあ、稼ごうか。町の外が僕を待ってる。
ユーディッド
age13
color hair 茶色 eye 緑色
job 狩人/戦士 rank2(下級冒険者)
skill 片手剣3 盾2 格闘術1 弓4 野外活動2 隠密1 気配察知3 罠1 鍵知識1 調薬1
unknown 召喚術(ヨルム)
所持武装 鋼のブロードソード(高) 鋼のショートソード(高) 革の小盾(高) 弓(並) 中位魔獣の毛皮マント(高) 革の部分鎧(高)
ヨルム
age? rank5(中位相当)
skill 縮小化 巨大化 硬化 再生 毒分泌 特殊感覚
unknown 契約(ユーディッド)
装備の一部が更新されました。
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