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しおりを挟むカリッサさん、トーゾーさん共に本戦第一試合の相手は一般参加者だった。
流石に本戦に勝ち進む実力者だけあって、カリッサさんは大分苦戦を強いられる。
身体能力に勝るカリッサさんを、相手は独特の流れる様な動きで受け流す。
一進一退の攻防が暫く続いたが、不意に足場に敷き詰められた石板をカリッサさんが蹴り砕く。
飛び散った石の礫に対戦相手の流れるような動きが一瞬淀み、次の瞬間、間合いを詰めて相手を捕まえたカリッサさんは、その身体を場外へと投げ飛ばした。
結果はカリッサさんの勝利だけど、相手の選手は凄かったと思う。
僕は勿論カリッサさんを応援してるが、高められた技術への敬意もある。
派手な戦いだったので、見て居たアーチェットさんも楽しそうだった。
一方トーゾーさんの戦いの方は、地味と言うか、始まって直ぐに対戦相手が斬られて倒れたので、盛り上がりには欠ける内容だ。
物凄く高度な事をしてるのはわかるけど、僕には未だ其れを理解出来るだけの実力が無い。
とても残念な事である。
そして無手部門と武器部門の試合の後には、射撃部門の試合が余興の様に挟まれるのだが、結果から言うと僕は一回戦敗退になった。
射撃部門の試合を余興の様にと言ったのは、試合の内容を毎度クジを引いて決める為だ。
遠当てや速射等の普通の競技から、一斉に解き放った鳥をどちらが多く落とせるか等その内容は幅広い。
そして僕が引いた第一試合の内容は、騎射だった。
騎射と言うのは、馬に乗って走らせながら的を射る競技である。
ちなみに僕は、馬に乗れない。馬車の御者は以前に練習したのだけど、馬に跨って走らせた経験は無いのだ。
そうなるともう騎射以前の問題で、僕も頑張りはしたのだが、馬を普通に走らせる事すら無理だった。
なので普通に失格判定を受けてしまう。少し恥ずかしかったけど、まあ仕方ない。
なんだか馬が申し訳なさそうにしてたから、せめて一杯撫でて置く。悪いのは馬じゃ無くて、彼に乗れない僕だから。
弓姫ことフィオさんが射撃に関係ない部分で勝敗が決まるのはおかしいとか、怒って猛抗議してたらしいが取り敢えずルールはルールなので仕方ない。
午後に行われる2試合目は、カリッサさんは五将の1人である羅将と、トーゾーさんは一般参加者との試合だ。
トーゾーさんはしきりにカリッサさんを羨ましがっていた。普通は逆だと思う。
カリッサさんは気負った風も無く、舞台へと上がる。
会場の雰囲気は特には悪くなかった。
確かに五将はこの国の誇りだろうけど、其処に挑む力を持った人間にも敬意を抱く。武を重んじるとはそういう事らしい。
舞台の上でカリッサさんを待ち受けているのは羅将は、その大仰な二つ名とは裏腹に、身体のサイズはカリッサさんと大差がなかった。
でも其れは決して彼が膂力に欠けると言う事を意味しないのだ。
無駄を削いで鍛え上げた筋肉を圧縮し、また鍛え上げる。
そんな工程を何度も繰り返した、そう、まるで叩き上げられた鋼の様な身体が、衣服の上からでもハッキリとわかった。
開始の合図と共に踏み込むカリッサさんに対し、羅将はその場から動かない。
そして繰り出されたカリッサさんの拳を、羅将も拳を持って迎撃する。巨大な力がぶつかり合った衝撃に、空気が弾けた。
拳の打ち合いに競り負けたのはカリッサさんだ。衝撃的な光景に僕は思わず息を飲む。
だってカリッサさんが本気で拳を打ち込めば、熊だって一発で息絶えるし、オーガも数発で仕留めてしまう。
あの拳は恐ろしい破壊力を秘めた立派な武器である。
なのに、羅将はカリッサさんと拳をぶつけ合い、そして勝利した。
技術でいなした訳じゃ無い。真っ直ぐ正面から、練り上げた肉体の力で打ち勝ったのだ。
更に驚く事に、再度殴り掛かったカリッサさんの拳を、羅将は今度は己が身体で受け止めた。
身体を突き抜ける衝撃に苦悶の表情を浮かべながらも、羅将は反撃の拳をカリッサさんに叩き込む。
繰り広げられるのは、お互いにノーガードの殴り合いだ。
カリッサさんの怪力は、此れまでの試合で知られているだけに、羅将の行動は観客達にも驚きと興奮を齎している。
でも多分誰よりも喜んでるのは、その羅将と殴り合うカリッサさんだろう。
桁違いの身体能力を持つ彼女の力をまともに受け止めれる人間なんて此れまで皆無だった。
他の人間とカリッサさんは別種の存在だったと言っても過言では無い。
でも、そう、其れは過去の話だ。人間は肉体を鍛え上げれば、力でカリッサさんを凌駕する事が出来る。
彼女の身体能力は、人間の個体差の範疇だと、羅将によって証明された。
……何だか、少し悔しい。
打ち合いに押され始めたカリッサさんに、攻撃の手を止めた羅将が何事かを告げる。
カリッサさんは額に手を当て、何事かを呟く。アレは祈りだ。
以前、カリッサさんはミノタウロスに体格差で打ち負けた後、膂力に勝る相手にも通用する技を求めた。
しかし同時に、己の力をより発揮出来る術を模索していた事も僕は知ってる。
そしてカリッサさんは神に愛された神官だ。彼女が求め足掻く時、食の神は伸ばされたその手を掴む。
食神の権能の1つは、食による健やかな身体を作る事。活力に満ちた、強い体を。
カリッサさんの特異体質が、何故『食神の祝福』と呼ばれるのかと言えば、酷似した加護を食神が与えれるからだ。
つまり今、カリッサさんの肉体は自身の特異体質と、食神からの加護の2つの強化を受けれる。
勿論普段は意図的に加護の方は使用してないが、どうやら今回は本気で全力を出すらしい。
様子の変わったカリッサさんに、羅将もこの戦いで初めて構えを取った。
飛び掛かる為に地面を蹴れば、石の舞台が砕け散る。
常軌を逸したパワーとスピードで殴り掛かったカリッサさんを、羅将がどう迎え撃ったのかはわからない。
ただ次の瞬間、カリッサさんは舞台の上に血塗れで横たわっていた。満足げな笑みを浮かべながら。
カリッサさんは満足で、嬉しかったのだろう。全力が出せて、それでも敗北した事が。
でも、けれど、僕は、許せない。
「少年君、落ち着いて!」
ふと気が付けば、アーチェットさんが僕にしがみ付いていた。
え、この人は何をしてるんだろう。
そして僕はいつの間に弓と矢を取り出したんだろうか。
アーチェットさんが泣き出しそうな顔をしてるので、取り敢えず矢を床に捨てる。
もしかして僕、射ようとしたの?
「いや大丈夫。弓を手にした時点で止められておるよ。殺気は大分出ていたが、まあ多分問題なかろう」
首を傾げた僕に、トーゾーさんが笑って教えてくれた。
離してくれないアーチェットさんに大丈夫だとアピールしながら、僕はトーゾーさんを見詰める。
カリッサさんがやられた事で腹が立ったのは確かだが、僕は別にそんなに激情するタイプじゃないと思うだけれども。
「ユー殿は自覚が無いだけで、我等の中では一番情念が深く危ういのだよ。まるで蛇の如くな。まあこの藤蔵にお任せあれ。部門は違うとはいえ同じ五将に、多少の意趣返しはして進ぜよう」
そう言ったトーゾーさんは、その後悠々と一般参加者に勝利を納め、武器部門の準決勝に歩を進めた。
準決勝は明日、そして決勝は明後日となる。
カリッサさんは癒しの奇跡も受けたので、すぐに元気になって居たけど、僕はその日は一日中カリッサさんに引っ付いていた。
いや別にトーゾーさんが言ったみたいに情念が深いとかじゃ無くて冷静だけど、冷静に考えてもやっぱり心配だったから。
そう、仕方ないのだ。心配させたカリッサさんが悪いと思う。
ユーディッド
age13
color hair 茶色 eye 緑色
job 狩人/戦士 rank4(中級冒険者)
skill
片手剣5 盾4 格闘術4 弓7 短剣3 逆手武器2
野外活動5 隠密5 気配察知6 罠3 鍵知識3 調薬2
unknown 召喚術(ヨルム) 集中(new)(射撃精度上昇、精密作業時の精度上昇)
所持武装
鋼のブロードソード(高) 鋼のショートソード×2(高) 複合弓(高)
革の小盾(高) 中位魔獣の毛皮マント(高) 革の部分鎧(高) デススパイダーシルクの手袋(最高)
ヨルム
age? rank8(↑)(上位相当)
skill 縮小化 巨大化 硬化 再生 毒分泌 特殊感覚 脱皮
unknown 契約(ユーディッド) 感覚共有(ユーディッド) skill共有(硬化・ユーディッド)
カリッサ・クラム(guest)
age18
color hair 赤色 eye 赤色 (skin 褐色)
job 神官(食神)/戦士 rank6(中級冒険者)
skill 両手剣6 片手剣4 槌鉾5 格闘術5 神聖魔法7 野外活動2 気配察知2 調理5 乗馬3 その他
unknown 食神の祝福(身体能力上昇、食料消費3倍) 食神の加護(身体能力上昇、発動時は体力消耗)
所持武装 鋼のグレートソード(高) 鋼の槌鉾(高) 鋼のコートオブプレート(高)
フィオリーナ・マシリカ(guest)
age23
color hair 金色 eye 碧色
job 射手/将軍
skill 片手剣5 盾6 格闘術5 弓8 気配察知5 乗馬6 指揮6 軍略4 演説5 その他
unknown 集中(射撃精度上昇、精密作業時の精度上昇)
所持武装 魔弓(アーティファクト) 飛龍の鱗状鎧(最高)
ユーディッドが集中を習得しました。
ヨルムのrankが上昇しました。skill共有が可能になりました。
またカリッサ・クラムのステータスが更新されました。
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