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★フィオーレSide ★
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目の前に並ぶ5人の青年に、私はパチパチと瞬きを繰り返す。
コストナー王国に着いて、国王陛下と王妃殿下に婚約の報告をしたあと、テオ様のお兄様たちが5人、揃って出迎えてくれたんだけれど……。
テオ様の報告に、なぜか5人はそれぞれに叫び声をあげた。
「まさか、テオが結婚するって言い出すとは!」
嬉しそう雄叫びをあげたのは、第一王子。つまり、皇太子殿下。
……きっと、末の弟が婚約したのが、嬉しかったのよね?
……でも、そうなると後の4人は?
第二王子殿下は頭を抱えて天井に向かって何やら言っている。
「まさか! テオがフィオーレ嬢の相手だったなんて!」
「私じゃ悪いんでしょうか、兄上」
テオ様が困ったように突っ込むけれど、第二王子殿下は聞こえていないみたい。
……私のことを好きってわけではないと思うの。だって、第二王子殿下は、溺愛するお妃様がいるわけだし。
それは、他の王子殿下も一緒なのよね。だから、益々その反応が不思議でならないんだけど。
「番か! まさかそんなシステムにテオが組み込まれているとか思わないし!」
悔しそうなのは、第三王子殿下。
「あの、システムって訳じゃないんですよ? 本能と言いますか……」
一応、語弊がありそうなので訂正しておく。……悔しそうに唇を噛んでいて、聞いてはいないみたいだけど。
「あー。こんなことだったら、さっさとテオをフィオーレ様に差し出すんだった!」
地団駄を踏んでいるのは、第四王子殿下。
「あの、テオ様はモノではありませんので……」
「うん、モノじゃない。でも、そのつもりがあったのなら、無理矢理にでも会わせてくれれば良かったのに」
テオ様の甘い視線に、私も小さくうなずく。
……でも、益々4人が何を悔しがっているのか、わからなくなってきたわ。
「あー! まさかの兄上の一人勝ちか!」
第五王子殿下の大きなため息に、私とテオ様の動きが止まる。
……一人勝ち?
「まさか兄上たち、私が結婚するかどうかを賭けていたんですか?!」
テオ様の言葉に、5人の視線がテオ様に向く。
「「「「「当然」」」」」
見事なシンクロだわ!
「私の結婚で賭けをしないでください!」
呆れた様子のテオ様に、皇太子殿下が、ポン、と肩を叩く。
「私は、テオが結婚できると信じていたよ」
「兄上の言い方だと、他の4人は私が結婚できないと思っていたみたいですよ」
ため息をつきながら首を横にふるテオ様に、第四王子殿下が手刀を入れる。
咄嗟に避けたテオ様に、第四王子殿下がムッとする。
「避けるなよ」
「兄上の手刀など受けたら、洒落になりませんから!」
テオ様、第四王子殿下は脳筋なんだと説明してたから……。
肩をすくめた第四王子殿下が口を開く。
「私は結婚しません、と断言していたのはどこのだれだよ!」
「いや、確かに言いましたけど」
そうなんだ。じゃあ、テオ様が結婚せずにいてくれたのは、テオ様の意思ではあったけど、運命だったのかな。
「する気がないのがよくわかってたんだから、結婚しない方に賭けるだろう、普通」
第三王子殿下が、ブスリと告げる。
「普通っておかしいでしょう?」
テオ様がため息をつく。そうね。それには同意だわ。私も頷く。
「なのに! フィオーレ様に会った途端、手のひらを返したのかよ!」
第二王子が嘆く。……ちょっと表現がおかしい気がするんだけど。
「フィオーレ様を見た瞬間、フィオーレ様以外は目に入らなくなった。番ってそんなものらしいから」
「「「「「番じゃなくてもそれはわかる!」」」」」
……お妃様たち、愛されてるなぁ。
「テオは絶対結婚できないと思ってたのに!」
第五王子殿下が顔を覆う。
肩が震えてるけど、まさか、泣いているのかしら?
「泣くって!? 一体、兄上たちは何を賭けたんです!?」
テオ様の疑問に、満面の笑みの皇太子殿下が口を開いた。
「私の妃が一番だと言う権利だよ。他の4人は私の前ではもう言っちゃいけないんだ」
悔しそうな4人の肩が落ちる。
4人には悪いのだけれど、私は微笑みが止められそうにもなかった。
だって、何だか5人とも、可愛らしいんですもの!
「兄上、その賭けに私は入ってないんだから、兄上の前でフィオーレのことを一番だと言ってもいいんですよね?」
真面目な顔のテオ様に、私は頬が熱くなる。
コストナー王国に着いて、国王陛下と王妃殿下に婚約の報告をしたあと、テオ様のお兄様たちが5人、揃って出迎えてくれたんだけれど……。
テオ様の報告に、なぜか5人はそれぞれに叫び声をあげた。
「まさか、テオが結婚するって言い出すとは!」
嬉しそう雄叫びをあげたのは、第一王子。つまり、皇太子殿下。
……きっと、末の弟が婚約したのが、嬉しかったのよね?
……でも、そうなると後の4人は?
第二王子殿下は頭を抱えて天井に向かって何やら言っている。
「まさか! テオがフィオーレ嬢の相手だったなんて!」
「私じゃ悪いんでしょうか、兄上」
テオ様が困ったように突っ込むけれど、第二王子殿下は聞こえていないみたい。
……私のことを好きってわけではないと思うの。だって、第二王子殿下は、溺愛するお妃様がいるわけだし。
それは、他の王子殿下も一緒なのよね。だから、益々その反応が不思議でならないんだけど。
「番か! まさかそんなシステムにテオが組み込まれているとか思わないし!」
悔しそうなのは、第三王子殿下。
「あの、システムって訳じゃないんですよ? 本能と言いますか……」
一応、語弊がありそうなので訂正しておく。……悔しそうに唇を噛んでいて、聞いてはいないみたいだけど。
「あー。こんなことだったら、さっさとテオをフィオーレ様に差し出すんだった!」
地団駄を踏んでいるのは、第四王子殿下。
「あの、テオ様はモノではありませんので……」
「うん、モノじゃない。でも、そのつもりがあったのなら、無理矢理にでも会わせてくれれば良かったのに」
テオ様の甘い視線に、私も小さくうなずく。
……でも、益々4人が何を悔しがっているのか、わからなくなってきたわ。
「あー! まさかの兄上の一人勝ちか!」
第五王子殿下の大きなため息に、私とテオ様の動きが止まる。
……一人勝ち?
「まさか兄上たち、私が結婚するかどうかを賭けていたんですか?!」
テオ様の言葉に、5人の視線がテオ様に向く。
「「「「「当然」」」」」
見事なシンクロだわ!
「私の結婚で賭けをしないでください!」
呆れた様子のテオ様に、皇太子殿下が、ポン、と肩を叩く。
「私は、テオが結婚できると信じていたよ」
「兄上の言い方だと、他の4人は私が結婚できないと思っていたみたいですよ」
ため息をつきながら首を横にふるテオ様に、第四王子殿下が手刀を入れる。
咄嗟に避けたテオ様に、第四王子殿下がムッとする。
「避けるなよ」
「兄上の手刀など受けたら、洒落になりませんから!」
テオ様、第四王子殿下は脳筋なんだと説明してたから……。
肩をすくめた第四王子殿下が口を開く。
「私は結婚しません、と断言していたのはどこのだれだよ!」
「いや、確かに言いましたけど」
そうなんだ。じゃあ、テオ様が結婚せずにいてくれたのは、テオ様の意思ではあったけど、運命だったのかな。
「する気がないのがよくわかってたんだから、結婚しない方に賭けるだろう、普通」
第三王子殿下が、ブスリと告げる。
「普通っておかしいでしょう?」
テオ様がため息をつく。そうね。それには同意だわ。私も頷く。
「なのに! フィオーレ様に会った途端、手のひらを返したのかよ!」
第二王子が嘆く。……ちょっと表現がおかしい気がするんだけど。
「フィオーレ様を見た瞬間、フィオーレ様以外は目に入らなくなった。番ってそんなものらしいから」
「「「「「番じゃなくてもそれはわかる!」」」」」
……お妃様たち、愛されてるなぁ。
「テオは絶対結婚できないと思ってたのに!」
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「泣くって!? 一体、兄上たちは何を賭けたんです!?」
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4人には悪いのだけれど、私は微笑みが止められそうにもなかった。
だって、何だか5人とも、可愛らしいんですもの!
「兄上、その賭けに私は入ってないんだから、兄上の前でフィオーレのことを一番だと言ってもいいんですよね?」
真面目な顔のテオ様に、私は頬が熱くなる。
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感想ありがとうございます。
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