逆転の娼婦姫

ほか

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第5章 王子のひみつ

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 夕暮れ時に染まる空。

 泣き疲れ、居酒屋をふらりと出た彼女を呼び止める声があった。

「お帰り、パエリエ」

 足を止め、パエリエは男をまじまじと見る。

「ようやくわかったようだな、お前の居場所はここなんだよ」

 いやになるほど見た、濡れ羽色の瞳。





「シェンデルフェール……」

「もう戦いは終わった。私と来なさい」

「……あたし」

 差し出された手を取ろうとして、惑う。

 白くなめらかな手が何事か訴えるように見える。 

 彼が、大事にしてくれたから。

 パエリエはかつての主に、向きなおる。





「行かない。あなたとは」

 シェンデルフェールは口元を歪め、笑う。

「まだクズのようなプライドを纏っているのか。では」

 漆黒の闇が目の前に広がりなにかと思えば。

「これでも、そう言えるかな」

 シェンデルフェールが退き、部下らしい男が現れたのだった。

 男に抱えられた、ぐったりと青ざめた小さな身体を見て、パエリエはさっと青ざめた。

「コリンヌ!」





 きっと、パエリエは彼らを睨む。

「その手を放しなさい!」

 その一声で、かろうじて意識を取り戻したのか、現行犯の手からどうにか口を出し、コリンヌは叫ぶ。

「パエリエさま……だ、めっ。逃げてくださいっ。……こいつらの真の狙いはきっと――」

 うっと声がして、コリンヌが静かになる。

 腹を突かれて気を失ったのだ。

 ぷつん、と、パエリエの中でなにかが切れる。

 靴を脱ぐと、勢いをつけて男に投げる。

 それは顔面に命中し、その隙にとびかかろうと構えた。

 コリンヌを助けなくては――。

 その時。

 がんと頭に衝撃を受ける。

 背後を捕らえられ、動きを封じられた。

「たわいないわ。如才ないお前でも、所詮は女。背後が完全に隙だらけだった――連れていけ」

 勝ち誇ったシェンデルフェールの笑みを見たのを最後に、パエリエの意識は暗黒に覆われた。
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