22 / 43
2章 近からず、遠からず
8
しおりを挟む
十一月も終わりに近づき、南浜高校の学祭は例年通りに開催された。外部の客も招き入れ、文化部が一年で一番活躍する日といっても過言ではない。
だが、瑞希は何度もあくびを噛み殺さなければならなかった。与えられた教室に、今年度のものを含めた部誌やおすすめの本を並べ、客が来たら案内し、希望者には部誌を配布する。だが、軽音部や演劇部の華やかな舞台に比べ、ひたすら地味で客の入りが悪いことは間違いなく、とにかく暇を持て余していた。
だが、交代してあちこち巡るのも面倒で、時折訪れる客の相手をする時間を除き、瑞希と弥生はだらだらとお喋りに耽っていた。三年生は基本的に店番に入らない。部誌が無事に発行されて安心した日比野は、一度様子を見て満足すると、友人たちと出かけていった。
午後になり、ひやかしに来たクラスの仲良したちが去って二十分。喋るネタもなくなり、自分で並べた本でも読もうかと考えていると、男子学生たちの喋り声が近づいてきた。
廊下を素通りするものと思っていたそれが止まり、顔を上げた瑞希はぐっと口角を下げる。
「おー、先輩! こんなとこに」
ちゃっかり入ってくる佑に、しっしっと犬を遠ざけるように手を振る。だが彼は、出入口に溜まる友人たちに、先に行くよう促した。彼らは文芸部には全く興味がないらしく、「じゃーな」と口々に言い残し、去っていった。
「暇そうですね。お客さん来ますか?」
「余計なお世話。何しに来たのよ」
「何って、先輩に会いに」
隣で弥生が吹き出した。彼女も子どもではないので、部誌の一件で佑を毛嫌いすることはない。複雑な心境はあるものの、彼と瑞希の関係性を面白がっているのは変わらなかった。今もにやにやしてこっちを見ている。
「よかったね、瑞希」
「よくない! ちょっと、笑わないでよ」
「わざわざ後輩が会いに来てくれたじゃん」
「だから、こいつが会いに来ても迷惑……」
「先輩先輩、この本の推薦文、先輩が書いたんですか? 僕も読んだんですけど、やっぱりこの主人公が」
「あんたはうるさい!」
本を持ってぐいぐい迫る佑に、隣で笑い転げている弥生。せっかく平和な時間が訪れていたというのに。
「佑くん、その本、瑞希のお気に入りらしいよ」
「弥生、余計なこと言わないでよ!」
「ほんとに? 僕もこれ三回は読んだんです、奇遇ですね!」
嬉しそうに佑は喋り続け、弥生が茶々を入れてからかってくる。だが、こいつらを止めてくれる人は訪れそうにない。
瑞希は諦めかけていたが、ふと教室の入口に目をやった弥生が手を振った。黒のジーンズに青いシャツという私服姿の少年が、一歩だけ教室に踏み入れてこちらを覗っている。学祭目当てにやって来た他校の学生だ。
見覚えのない彼だったが、弥生は彼を「蒼汰」と呼んだ。そこで彼が、いつも彼女の惚気話に出てくる彼氏だということを知る。運動部なのか、身体つきはしっかりしているが、表情にはほんのりとあどけなさが残っている。一つ年下なのだと弥生は言っていた。
片手を上げかけた彼は、驚いた表情をしていた。その視線の先にいるのは、彼女である弥生ではなく、振り向いたまま硬直している佑だった。いつの間にか、佑は息を呑んだきり、何も言わなくなっていた。
どうしたと問いかける前に、佑は瑞希の机に本を置き、声を殺して囁いた。
「……用事思い出しました」
どれほど追い払っても居座っていた彼は、蒼汰少年とは反対側の扉をくぐり、あっという間に教室を出ていった。
どう見ても、佑は蒼汰を見て逃げ出した様子だった。
「あれ、どしたの、佑くん」
「さあ……」
ぽかんとする二人に、佑が出ていった方角を見ながら、蒼汰が歩いてくる。彼もまた驚きを隠せない表情をしていた。
「さっきの、結城?」
「蒼汰、知ってんの?」
問い返す弥生に、蒼汰は頷く。「中学が同じだったから」
それを聞いて合点がいった。一つ年下ならば、二人が元同級生であることは不思議ではない。こんなところで再会したから、どちらも驚愕していたのだ。
「偶然ってあるもんだね」
弥生はのんびりと言ったが、蒼汰は未だに不審な顔をして、首をひねっている。
「あれ、マジで結城だよな」
「結城佑くんだよ。……瑞希、どこの中学だったか知ってる?」
弥生から蒼汰に紹介され、軽く頭を下げた瑞希は、出会った当初に聞いた彼の出身中学を答える。そういえば、南浜高校とはだいぶ離れた距離の学校だ。この年に入学してきたのは、佑一人だけだと聞いていた。
「じゃあ、間違いないな。そっか、あいつ南浜だったのか」
「そんなに意外だった?」
彼は僅かに躊躇しながらも確かに頷いた。「だってあいつ、暗いやつだったから」
「暗い?」
思わず頓狂な声を上げて横を向くと、同じ表情をした弥生と目が合った。佑が暗い人間? とてもじゃないが信じられない。
「去年同じクラスだったけど、全然喋らない奴だったんだぜ」
「へえー。なんか想像つかないけど。高校デビューってやつかな」
「だから逃げたんだ。元クラスメイト見かけて」
瑞希の言葉に、弥生も納得して頷く。昔を知る人に、一新した自分の姿を見られたくない。その気持ちはなんだか想像できてしまう。
「どうだろ」
だが、蒼汰は腕を組んで呟いた。「違うの?」瑞希の問いに目を細めて考え、言い辛そうにようやく口を開いた。
「……あいつ、いじめられてたから」
うそ、と声が漏れた。佑がいじめられっ子だった? いつまででもべらべら喋って、常に自由気ままな結城佑が?
「いじめって、もしかして」
「違う違う、俺は加担してないって」
彼女に睨まれ、慌てて彼は両手を振った。だが、彼は佑を救うこともなかったのだろう。その気まずさのせいか、彼は苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「それなら、蒼汰の顔見て逃げたりする?」
「俺だけじゃなくて、多分あいつ、同じ中学のやつ全員苦手だと思う」
「なにそれ、みんなでいじめてたってこと?」
弥生は清楚な見た目だが、情に熱いところがある。彼氏が誰かをいじめていただなんて、許せないのだ。
「まあ、その、結構ひどくて。率先していじめてたやつが、怪我させたんだよ。指の腱切って、それで……」
瑞希は絶句した。佑は怪我の後遺症で指が動かなくなったと説明したが、まさかいじめによるものだなんて、それを聞いた誰一人想像さえしなかった。
「ひっど!」
弥生が勢い込んで立ち上がる。
「俺はしてねえって」蒼汰は弁解するが、彼女は「わかってるけど!」と憤る。
「蒼汰に怒ってるわけじゃないから。だけど許せないの、そういうの全部」
「……なんで、そんなにいじめられてたの。あいつ、なんかしたの?」
純粋な疑問を瑞希は口にした。多少相手が気に入らないからといって、生涯残る後遺症を負わせてよい理由にはならない。
「いじめる理由なんて、大した問題じゃない。誰かがターゲットになるしかなくて、それがあいつだったんだ」
佑にとって、同じ中学校の同級生は、全員敵なのだ。直接いじめに加担しなくとも、それを受け入れていた者は皆、恐れるべき対象なのだ。だから敵がいない学校を選んで進学したのだろう。
「それに、なんていうか……妬みっていうか」
蒼汰に問い詰めようと乗り出しかけた身を引いた。学祭らしく、楽しげな女子グループが教室に入ってきたのだ。忘れていたが、今は年に一度の大イベントの真っ最中だ。
後で時間をくれと約束し、弥生と蒼汰を送り出す。彼らも楽しい気分にはなれないだろうが、せめて二人で回ってくるべきだ。
席に戻り、瑞希は初めて佑を待ったが、学祭が終わっても彼は姿を現さなかった。
だが、瑞希は何度もあくびを噛み殺さなければならなかった。与えられた教室に、今年度のものを含めた部誌やおすすめの本を並べ、客が来たら案内し、希望者には部誌を配布する。だが、軽音部や演劇部の華やかな舞台に比べ、ひたすら地味で客の入りが悪いことは間違いなく、とにかく暇を持て余していた。
だが、交代してあちこち巡るのも面倒で、時折訪れる客の相手をする時間を除き、瑞希と弥生はだらだらとお喋りに耽っていた。三年生は基本的に店番に入らない。部誌が無事に発行されて安心した日比野は、一度様子を見て満足すると、友人たちと出かけていった。
午後になり、ひやかしに来たクラスの仲良したちが去って二十分。喋るネタもなくなり、自分で並べた本でも読もうかと考えていると、男子学生たちの喋り声が近づいてきた。
廊下を素通りするものと思っていたそれが止まり、顔を上げた瑞希はぐっと口角を下げる。
「おー、先輩! こんなとこに」
ちゃっかり入ってくる佑に、しっしっと犬を遠ざけるように手を振る。だが彼は、出入口に溜まる友人たちに、先に行くよう促した。彼らは文芸部には全く興味がないらしく、「じゃーな」と口々に言い残し、去っていった。
「暇そうですね。お客さん来ますか?」
「余計なお世話。何しに来たのよ」
「何って、先輩に会いに」
隣で弥生が吹き出した。彼女も子どもではないので、部誌の一件で佑を毛嫌いすることはない。複雑な心境はあるものの、彼と瑞希の関係性を面白がっているのは変わらなかった。今もにやにやしてこっちを見ている。
「よかったね、瑞希」
「よくない! ちょっと、笑わないでよ」
「わざわざ後輩が会いに来てくれたじゃん」
「だから、こいつが会いに来ても迷惑……」
「先輩先輩、この本の推薦文、先輩が書いたんですか? 僕も読んだんですけど、やっぱりこの主人公が」
「あんたはうるさい!」
本を持ってぐいぐい迫る佑に、隣で笑い転げている弥生。せっかく平和な時間が訪れていたというのに。
「佑くん、その本、瑞希のお気に入りらしいよ」
「弥生、余計なこと言わないでよ!」
「ほんとに? 僕もこれ三回は読んだんです、奇遇ですね!」
嬉しそうに佑は喋り続け、弥生が茶々を入れてからかってくる。だが、こいつらを止めてくれる人は訪れそうにない。
瑞希は諦めかけていたが、ふと教室の入口に目をやった弥生が手を振った。黒のジーンズに青いシャツという私服姿の少年が、一歩だけ教室に踏み入れてこちらを覗っている。学祭目当てにやって来た他校の学生だ。
見覚えのない彼だったが、弥生は彼を「蒼汰」と呼んだ。そこで彼が、いつも彼女の惚気話に出てくる彼氏だということを知る。運動部なのか、身体つきはしっかりしているが、表情にはほんのりとあどけなさが残っている。一つ年下なのだと弥生は言っていた。
片手を上げかけた彼は、驚いた表情をしていた。その視線の先にいるのは、彼女である弥生ではなく、振り向いたまま硬直している佑だった。いつの間にか、佑は息を呑んだきり、何も言わなくなっていた。
どうしたと問いかける前に、佑は瑞希の机に本を置き、声を殺して囁いた。
「……用事思い出しました」
どれほど追い払っても居座っていた彼は、蒼汰少年とは反対側の扉をくぐり、あっという間に教室を出ていった。
どう見ても、佑は蒼汰を見て逃げ出した様子だった。
「あれ、どしたの、佑くん」
「さあ……」
ぽかんとする二人に、佑が出ていった方角を見ながら、蒼汰が歩いてくる。彼もまた驚きを隠せない表情をしていた。
「さっきの、結城?」
「蒼汰、知ってんの?」
問い返す弥生に、蒼汰は頷く。「中学が同じだったから」
それを聞いて合点がいった。一つ年下ならば、二人が元同級生であることは不思議ではない。こんなところで再会したから、どちらも驚愕していたのだ。
「偶然ってあるもんだね」
弥生はのんびりと言ったが、蒼汰は未だに不審な顔をして、首をひねっている。
「あれ、マジで結城だよな」
「結城佑くんだよ。……瑞希、どこの中学だったか知ってる?」
弥生から蒼汰に紹介され、軽く頭を下げた瑞希は、出会った当初に聞いた彼の出身中学を答える。そういえば、南浜高校とはだいぶ離れた距離の学校だ。この年に入学してきたのは、佑一人だけだと聞いていた。
「じゃあ、間違いないな。そっか、あいつ南浜だったのか」
「そんなに意外だった?」
彼は僅かに躊躇しながらも確かに頷いた。「だってあいつ、暗いやつだったから」
「暗い?」
思わず頓狂な声を上げて横を向くと、同じ表情をした弥生と目が合った。佑が暗い人間? とてもじゃないが信じられない。
「去年同じクラスだったけど、全然喋らない奴だったんだぜ」
「へえー。なんか想像つかないけど。高校デビューってやつかな」
「だから逃げたんだ。元クラスメイト見かけて」
瑞希の言葉に、弥生も納得して頷く。昔を知る人に、一新した自分の姿を見られたくない。その気持ちはなんだか想像できてしまう。
「どうだろ」
だが、蒼汰は腕を組んで呟いた。「違うの?」瑞希の問いに目を細めて考え、言い辛そうにようやく口を開いた。
「……あいつ、いじめられてたから」
うそ、と声が漏れた。佑がいじめられっ子だった? いつまででもべらべら喋って、常に自由気ままな結城佑が?
「いじめって、もしかして」
「違う違う、俺は加担してないって」
彼女に睨まれ、慌てて彼は両手を振った。だが、彼は佑を救うこともなかったのだろう。その気まずさのせいか、彼は苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
「それなら、蒼汰の顔見て逃げたりする?」
「俺だけじゃなくて、多分あいつ、同じ中学のやつ全員苦手だと思う」
「なにそれ、みんなでいじめてたってこと?」
弥生は清楚な見た目だが、情に熱いところがある。彼氏が誰かをいじめていただなんて、許せないのだ。
「まあ、その、結構ひどくて。率先していじめてたやつが、怪我させたんだよ。指の腱切って、それで……」
瑞希は絶句した。佑は怪我の後遺症で指が動かなくなったと説明したが、まさかいじめによるものだなんて、それを聞いた誰一人想像さえしなかった。
「ひっど!」
弥生が勢い込んで立ち上がる。
「俺はしてねえって」蒼汰は弁解するが、彼女は「わかってるけど!」と憤る。
「蒼汰に怒ってるわけじゃないから。だけど許せないの、そういうの全部」
「……なんで、そんなにいじめられてたの。あいつ、なんかしたの?」
純粋な疑問を瑞希は口にした。多少相手が気に入らないからといって、生涯残る後遺症を負わせてよい理由にはならない。
「いじめる理由なんて、大した問題じゃない。誰かがターゲットになるしかなくて、それがあいつだったんだ」
佑にとって、同じ中学校の同級生は、全員敵なのだ。直接いじめに加担しなくとも、それを受け入れていた者は皆、恐れるべき対象なのだ。だから敵がいない学校を選んで進学したのだろう。
「それに、なんていうか……妬みっていうか」
蒼汰に問い詰めようと乗り出しかけた身を引いた。学祭らしく、楽しげな女子グループが教室に入ってきたのだ。忘れていたが、今は年に一度の大イベントの真っ最中だ。
後で時間をくれと約束し、弥生と蒼汰を送り出す。彼らも楽しい気分にはなれないだろうが、せめて二人で回ってくるべきだ。
席に戻り、瑞希は初めて佑を待ったが、学祭が終わっても彼は姿を現さなかった。
0
あなたにおすすめの小説
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
🥕おしどり夫婦として12年間の結婚生活を過ごしてきたが一波乱あり、妻は夫を誰かに譲りたくなるのだった。
設楽理沙
ライト文芸
☘ 累計ポイント/ 190万pt 超えました。ありがとうございます。
―― 備忘録 ――
第8回ライト文芸大賞では大賞2位ではじまり2位で終了。 最高 57,392 pt
〃 24h/pt-1位ではじまり2位で終了。 最高 89,034 pt
◇ ◇ ◇ ◇
紳士的でいつだって私や私の両親にやさしくしてくれる
素敵な旦那さま・・だと思ってきたのに。
隠された夫の一面を知った日から、眞奈の苦悩が
始まる。
苦しくて、悲しくてもののすごく惨めで・・
消えてしまいたいと思う眞奈は小さな子供のように
大きな声で泣いた。
泣きながらも、よろけながらも、気がつけば
大地をしっかりと踏みしめていた。
そう、立ち止まってなんていられない。
☆-★-☆-★+☆-★-☆-★+☆-★-☆-★
2025.4.19☑~
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
灰かぶりの姉
吉野 那生
恋愛
父の死後、母が連れてきたのは優しそうな男性と可愛い女の子だった。
「今日からあなたのお父さんと妹だよ」
そう言われたあの日から…。
* * *
『ソツのない彼氏とスキのない彼女』のスピンオフ。
国枝 那月×野口 航平の過去編です。
《完結》僕が天使になるまで
MITARASI_
BL
命が尽きると知った遥は、恋人・翔太には秘密を抱えたまま「別れ」を選ぶ。
それは翔太の未来を守るため――。
料理のレシピ、小さなメモ、親友に託した願い。
遥が残した“天使の贈り物”の数々は、翔太の心を深く揺さぶり、やがて彼を未来へと導いていく。
涙と希望が交差する、切なくも温かい愛の物語。
愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる