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United Japanese tea varieties of Iratsuko
魔術回路アノマリー
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彼女は立ち上がった。
目の前のマーブル上空間に、光の裂け目が数本走る。
それが人型の形を取り始め、衣服の端、手足、胴体、そして顔が現れた。
「男の子か」
言うが早いか、“男の子”が自由落下を始めた。
彼女もそれを追いかけるように、空中へ飛び込む。
「おい! 何か落ちたぞ!」
体内通信がまだ焦っている。
「“レア”よ。私も落下中」
届く声ががなり立てるのが一瞬聞こえたが、すぐに通信を切った。
落ちていく彼に向けて、彼女は右手を伸ばす。
彼女の指先からおよそ1mの距離。彼女の手は、届いた。
一瞬、彼女の手首と肘が分離してリーチを伸ばし、彼をつかんだ後、また戻ったのだ。
通信が、むりやり接続された。
「おい! 大丈夫か!」
「おいおいうるさいわね。大丈夫、左手を上に置いてきたから」
彼女の左手首から先はなかった。と、自由落下が減速して止まり、次は左手首が引っ張られるように二人は上昇していく。
屋上の端には、彼女の左手が引っかかっていた。そこに、二人分の重さを抱えながら左手首が帰っていき、吸いつく。
ふう、と彼女はため息を漏らした。
「CS園に出現するんじゃあなかったかしら?」
「どうも座標がずれてるみたいだな。他の国でも同様の事象が観測されてる」
「誰かが魔術回路をいじったのね。まあ、となるとメイちゃんってところでしょうけど」
「あの国ぐらいだからな、魔術回路に大手を振って干渉できるのは。ましてやあのじゃじゃ馬お嬢ちゃんなら」
「やってくれたわね」
右手に抱えた男の子を下ろす。
「歳は十代前半、男性よ。まあ、可愛らしい男の子ではあるわね」
目の前のマーブル上空間に、光の裂け目が数本走る。
それが人型の形を取り始め、衣服の端、手足、胴体、そして顔が現れた。
「男の子か」
言うが早いか、“男の子”が自由落下を始めた。
彼女もそれを追いかけるように、空中へ飛び込む。
「おい! 何か落ちたぞ!」
体内通信がまだ焦っている。
「“レア”よ。私も落下中」
届く声ががなり立てるのが一瞬聞こえたが、すぐに通信を切った。
落ちていく彼に向けて、彼女は右手を伸ばす。
彼女の指先からおよそ1mの距離。彼女の手は、届いた。
一瞬、彼女の手首と肘が分離してリーチを伸ばし、彼をつかんだ後、また戻ったのだ。
通信が、むりやり接続された。
「おい! 大丈夫か!」
「おいおいうるさいわね。大丈夫、左手を上に置いてきたから」
彼女の左手首から先はなかった。と、自由落下が減速して止まり、次は左手首が引っ張られるように二人は上昇していく。
屋上の端には、彼女の左手が引っかかっていた。そこに、二人分の重さを抱えながら左手首が帰っていき、吸いつく。
ふう、と彼女はため息を漏らした。
「CS園に出現するんじゃあなかったかしら?」
「どうも座標がずれてるみたいだな。他の国でも同様の事象が観測されてる」
「誰かが魔術回路をいじったのね。まあ、となるとメイちゃんってところでしょうけど」
「あの国ぐらいだからな、魔術回路に大手を振って干渉できるのは。ましてやあのじゃじゃ馬お嬢ちゃんなら」
「やってくれたわね」
右手に抱えた男の子を下ろす。
「歳は十代前半、男性よ。まあ、可愛らしい男の子ではあるわね」
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