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バクエット・ド・パクス(7)
旅立ち(2)
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「まあまあ落ち着いてください、ミサトさん。私も考え無しに皆さんとこうして、お話をしているワケではありません♪」
「はあ……と言うと?」
「『デル・ゾーネ』と『U.J.I』を通ります♪」
「はあ?」
声を出したのはミサトだけだったが、他の二人もそこまでは言わずとも、困惑を顔に出した。
ノワールが口を開く。
「カトリーヌさん、本気ですか?」
「ええ、ノワールさん♪」
「……国…通るんですか?」
「ええ、二ヶ国を通りますよ。ブレーズさん♪」
怪訝な二人に対し、カトリーヌは120点満点の笑顔で返事をする。
「いや、『さん♪』じゃあなくて。南山城国は通っちゃあダメって言ったよね? て言うか他国はそもそもダメなんじゃあないの?」
「基本的には、ですよ。ミサトさん♪」
「ミサトさん、私から説明します」
ノワールが説明役を買って出る。自分が一番、話が早いと考えてのコトだ。
「基本的に他国を通ってはいけないというのは、国同士の関係上そうしているだけであって、別にルールとかではないんです」
「ほう」
ミサトもノワール相手には一応、聞き役に回る。なんせ声も良いのだ。
「“キョート”の五ヶ国は別に仲が悪いワケではありません。ただ、“召喚と旅”については全く別で、争い合う関係にあります」
「ふむふむ」
知っているが、聞き役に徹するミサト。なんせ声が(ry
「しかし我らがパクスは前回の召喚以降、“召喚と旅”には関与しないと他国に表明しました。南山城国が道を使わせてほしい、と言ってきたのもそのためです」
「なるほどね。話が見えてきたよ」
「流石はミサトさん」
「いや~」
ニヤつきながら後頭部をかくミサトだったが、すぐにいかんいかんと襟を正した。
しかしソレを見てふふと笑うノワールもまたヒジョーに良きなのだ、byみさと。
「ですので他国はパクスが今回、“召喚と旅”を行うとは思っていないのです。まあ、南山城国は何か勘づいているかもしれません。急に道の使用を拒否しましたからね」
「なるほど、その裏をかくってワケだ。カトリーヌ」
視線をカトリーヌへと移すミサト。
「わかっていただけましたか♪」
「……………と……………………仲…悪いのですか?」
急にブレーズがミサトとカトリーヌの顔を見て言う。
ミサトにはさっぱり聞こえなかったがカトリーヌにはわかったようで、笑いながら
「いえいえ♪ 国同士の関係と同じです」
「何がだよ」
「私たちの関係ですよ♪ 仲が悪いのかと聞くので」
「はっ! 悪くないよねえ、カトリーヌ?」
「ねっ♪」
「ブレーズ、コレが大人と大人の関係です」
ミサトとカトリーヌは互いに首を傾げて微笑み合う。
ノワールがブレーズにポツリと述べた。
ミサトは話を戻し、カトリーヌに聞く。
「でも、他国に簡単に入っちゃって大丈夫なの?」
「もちろん変装しますよ♪」
「えっ」
「はあ……と言うと?」
「『デル・ゾーネ』と『U.J.I』を通ります♪」
「はあ?」
声を出したのはミサトだけだったが、他の二人もそこまでは言わずとも、困惑を顔に出した。
ノワールが口を開く。
「カトリーヌさん、本気ですか?」
「ええ、ノワールさん♪」
「……国…通るんですか?」
「ええ、二ヶ国を通りますよ。ブレーズさん♪」
怪訝な二人に対し、カトリーヌは120点満点の笑顔で返事をする。
「いや、『さん♪』じゃあなくて。南山城国は通っちゃあダメって言ったよね? て言うか他国はそもそもダメなんじゃあないの?」
「基本的には、ですよ。ミサトさん♪」
「ミサトさん、私から説明します」
ノワールが説明役を買って出る。自分が一番、話が早いと考えてのコトだ。
「基本的に他国を通ってはいけないというのは、国同士の関係上そうしているだけであって、別にルールとかではないんです」
「ほう」
ミサトもノワール相手には一応、聞き役に回る。なんせ声も良いのだ。
「“キョート”の五ヶ国は別に仲が悪いワケではありません。ただ、“召喚と旅”については全く別で、争い合う関係にあります」
「ふむふむ」
知っているが、聞き役に徹するミサト。なんせ声が(ry
「しかし我らがパクスは前回の召喚以降、“召喚と旅”には関与しないと他国に表明しました。南山城国が道を使わせてほしい、と言ってきたのもそのためです」
「なるほどね。話が見えてきたよ」
「流石はミサトさん」
「いや~」
ニヤつきながら後頭部をかくミサトだったが、すぐにいかんいかんと襟を正した。
しかしソレを見てふふと笑うノワールもまたヒジョーに良きなのだ、byみさと。
「ですので他国はパクスが今回、“召喚と旅”を行うとは思っていないのです。まあ、南山城国は何か勘づいているかもしれません。急に道の使用を拒否しましたからね」
「なるほど、その裏をかくってワケだ。カトリーヌ」
視線をカトリーヌへと移すミサト。
「わかっていただけましたか♪」
「……………と……………………仲…悪いのですか?」
急にブレーズがミサトとカトリーヌの顔を見て言う。
ミサトにはさっぱり聞こえなかったがカトリーヌにはわかったようで、笑いながら
「いえいえ♪ 国同士の関係と同じです」
「何がだよ」
「私たちの関係ですよ♪ 仲が悪いのかと聞くので」
「はっ! 悪くないよねえ、カトリーヌ?」
「ねっ♪」
「ブレーズ、コレが大人と大人の関係です」
ミサトとカトリーヌは互いに首を傾げて微笑み合う。
ノワールがブレーズにポツリと述べた。
ミサトは話を戻し、カトリーヌに聞く。
「でも、他国に簡単に入っちゃって大丈夫なの?」
「もちろん変装しますよ♪」
「えっ」
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